王蟲

ずっとそこに在った岩。

かつて、
その岩に見下されていたことにも気付かず、
ただその下を通り過ぎていた。

15年の歳月が過ぎし今、ようやくその岩を見上げる。


コヤ竹林、エリアについては先に書いた通り。
手前の方を地元の方と一緒に探索した後は、マットを担いでエリア入り。

過去に殆どの岩が登られているものの、その痕跡は僅かに残っている程度で…
アプローチは竹と倒木に覆われ、岩の上は土、蔦、枯葉に覆われていた。

倒木を避けながら奥に進む。するといきなりバカでかい岩が現れる。

7m弱の船首状ハングを正面に構えるそいつは、
とても威圧的で魅力的であった。


かつて素通りしていたその岩。
見上げるのに、随分と月日を要した。

後で聞いたのだが、先人たちは口を揃えたようにこの岩の存在について話していた。


さて、車には幸いmoonサターンが二枚積んである。
準備を済ませ、いざ対峙。
横の竹を登り、スイングして上部をばらす。

Holdがありそうでない…
仕方なく距離を稼ぐmoveを選ばざるを得ないのだが…
リップの尖って見える部分、そこはガバなのか?

あまりに怖いうえ、土が積もっていそうな気もしたので、苦肉の策だがロープを使えるか判断すべく上にまわる。

結果、駄目。

側面には1990年代にトップロープで登られた課題があるのでしっかりとした終了点用ボルトが打たれているのだが、こいつには打たれていなかった。

船首状になっているので、ロープも下げ辛い。
クライムダウンを決行、木の枝で枯葉と土と脆いホールドを落とした。
尖った部分は多分、ガバだ。

引き続き、上部をやる。

ヒールフックで体制を固めて、思いきって左手をリップに伸ばす。
ヒールが外れたら間違いなく吹っ飛ぶ。
流石に7m付近ですっぽ抜けフォールはやばすぎる…。

恐怖のmove、完全に理解はできていないが可能なことはわかった。
何度もここをやりたくないので、下部をやる。

Holdはどれもこれも中途半端に保持でき、組み合わせに苦戦。
内容自体も想像以上に難しく、2時間程度かけてかなりシンプルなシーケンスを作った。

いかに最後の一手に力を残せるか…様々なholdを無視することで強度は増すが手数を削った。

繋げる。
リップ手前のヒールまでは幾度となく到達したが、
怖すぎて思い切れず…。

ただ、その度に少しづつ良いポイントを発見することができ、登れるなと思ったその次の便で無事登ることが出来た。

王蟲 V10

若干脆いことを除けば、完璧な岩であり完璧なラインだと思う。
そして結果的に、今の私にとって完璧なスタイルで登ることが出来たと思う。

初、中級者向きのこのエリアにしてこの存在は異質なものだが、異質さがまた逆に味となれば。オフシーズンに何としても全体の整備できる準備をせねば。

夕方まで現状において可能な範囲で作業をし、撤収。

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