「RockPath」カテゴリーアーカイブ

枝村さんと共に/Tiamat

10.11
ライトフットワーク枝村さんと岩へ、場所は糸島。
まずは気候が良くなってきたのでニライカナイのエリアを案内。

img_0934

写真は閃雷 V8/9
何やかんや言いながらクリも登った。
色んなラインをまったりと登る。

img_0837

昼過ぎ、エリアの移動。
枝村さんガイドで野北へ行く事に。
私は初来訪、
アプローチは二つの崖を越える。
苦労して訪れた先に広がる殺伐としたエリアは、
とても美しく感じた。

ひとまず、既存課題 月に吠える 二段をやる。
img_0936
私もようやく二日酔いがさめてきたので参戦。
moveの作成に少し時間がかかったが、無事登ることが出来た。

他にもちょこちょこ触り、落ち着いたところでbig projectをやる事に。
メインのその岩は、
このエリア中央に崖に挟まるような形で在り、
ずっと気になっていた。
img_0935
こいつに対峙すべく、ここを案内してくれたのだと思う。

ぱっとこんな凄まじい岩を案内出来る情報量と処理能力…
先日に引き続き、先人の偉大さを感じた。

かなりのハイボール、そしてランディングの悪さ、マットの弱さ、
数便で完全に心が負けた。
下部の核心をこなして満足だと言い聞かせ撤収。

お世話になった枝村さんと別れ、仲間と共に帰路へ。

夜、
家に帰ってからもずっと、その岩は脳裏から離れなかった。

10.12
二日後、再来。
今回は単身、アプローチもそれなりに過酷なので荷物を迷った。Mサイズのマットを二枚持って行くか、大型マットにするか…。

どちらにせよ後半で落ちることは許されないので、未知なる部分、中間部の強度を見越して大型マット、サターンを選んだ。

big project再開。
とりあえず下部は順調に出来た。中間部、横の岩をステミングしてホールドを探るが案の定、あまり良くない。
そこそこ距離がある。

とりあえず高さがあるので、1便1便体力を有効に使って攻める。
現場合わせで想定したmoveと違ったが後半まで何となくわかった。

あと1手だすと引き返せなくなるところまで出来た。

リップを越えた先にある後半のスラブもやばそうな気がした。
クラックがガザガザしてて、少し脆そうだ…。

隣の岩の天辺から移って確認する事に。
移る際、かなり緊張したがホールドの効きは良さそうであったので思い切った。

予想通り、比較的良い。
マントル…リップにスメアするポイントがかなりたるい……。
引き返す。

これはやばい、大幅に休み再度トライ。
勇気がいる。
振り絞ってスメア、かきこむ。

右手クラックの中のホールドが欠損。
かなりビビったが、大して体重はかけていなかったので体勢は安定しているしフットホールドは生きている。
もう行くしかない事はわかった。

右手を持ち直し、マントル返し立ち上がる。
img_0937
安定。
残り1.5mのスラブ。足が震えた。
先程欠けたクラックに左足、出来る限り安定してそうな場所を選ぶ。
もう引き返せない、進む。

カチを発見、しかも両手分。
さらに次の右足スメア分の足も安定していそうなポイントがある。
そこに最低限の動作で乗り込み、リップを掴む。
言葉も出なかった。

無事にトップアウト。
放心状態、
ひとまず一箇所を除き全て出来た、これは可能だ。

相当休む、
気づけばトライ開始から3時間。

繋げる事に。
中間部を越えたとして、心折れていれば左の岩に、ようは後半部のスラブをバラすために使った隣の岩の天辺に逃げようと決めた。

集中、
1便目

中間部は上手くいく、バレていなかった場所も決めていたmoveにて成功。
後半に突入。
シビアなヒールが要求されそうなポイントも心の準備が完璧で、上手く出来た。
気持ちは最高潮、そのまま突っ込み足は震えていたが気づけばスラブに突入し、気づけばリップを掴んでいた。
そして気づけばトップアウトを終わらせていた。

無事に登れたのだ。

広大な海に因み、
名はTiamat とする。
グレードはよくわからないが一応V10を提示したい。

間違いなく言えるのは、
この地のこの壮大かつ大胆なロケーションの中に相応しい一本であり、
今の次元であれば、ここに訪れるクライマーなら誰もが見上げるラインであろう。

その可能性に、
早くも10数年前に訪れ見上げていた先人が、今尚最前線で開拓を続けており、一緒にクライミングが出来るこの環境に感謝したい。

暫く休憩し、
落ち着いたところで大好きな荒々しいアプローチを帰る。

月光嶽行 5.13初登

10.10 祝日
北部九州開拓者、八面中部を仕上げた武下さんと現地で待ち合わせをし仲間と岩へ。
目的は前回、うっすらと手をつけたサラマンダーの岩の左ライン。

梅雨前に取り付いたそれは、ホールドがとんでもなく悪い。
外傾したカチがとにかく続き、動くとふわっと身体が吐き出されて落ちる。

気温が低くないと無理だと判断し、トライを次シーズンに回した。
それが今日。

到着し、武下さんと話しながらダラダラと準備。
img_0902
昼前に取り付く。

気温は20度、前回より遥かに良い。
取り付くと、記憶より遥かに効く。
初便は行けると感じたが、前回成功したヒール解除が一向に成功しない。
数便出してやばいと感じ出した。
img_0903
そもそも今回のアップ便で欠けたホールドを前回踏んでいたような気がする。
moveの作り直し、
武下さん自身は、他のホールドを保持してヒールをかけずにやろうとしていたと聞いた。

試す、それがヒット。
ヒールをかけずとも悠々にこの一手に成功。
これは梅雨前に、保持がシビアすぎて見放したmoveだ。

気温等、状況が変われば一度つくったmoveも再考しなおすべきだ。
武下さんに感謝。

ホールドと呼べそうな形状こそ多彩にあるが、
保持できる状況はどれも限られる。
足場もシビアで組み合わせが非常に難しい。

最終的に、武下さんのmoveから始まり非常にたるい棚まで繋ぐシーケンスを、その後2便かけてつくった。

行けそうな気もするが後半二手がまたシビア。
案の定次の便は、その一手でふわっと吐き出されて落ちる。

なんとなく、
無駄な気がして、一手を省いて一気に棚に行くmoveを試した。強度は上がるが、確率は増す気がした。

登れるような気もしてきた。
組みたてに時間をかけすぎ、もはや日暮れ前。

可能性を込めて大きく休む。
そして1便、
凡ミスで出だしフォール、予想通り。
私のメンタル的に、
よく出来た便の次は、気負いすぎて良いことがあまりない。
運良くノーダメージだったので、次にかける。

登れる気がしたその便は、
安定して核心を越えることが出来た。
img_0904

たるい棚を保持し次、ホールドを見失い両手共に悪いリップになった。次はガバだとわかっていたので、デッド。

落ちる気はさらさらない
が、思ったより危なかった。
かろうじてガバを捉える。

その後は5.11aのパート。
グレードは易しいが明瞭なガバがなく、残り4mのスリッピーなパート。
パンプしていたことと、落ちたくない一心で動きが硬くなりすぎ際どかった。
落ちる可能性のあるシーケンスのままツッコミ続け、無事に最終リップガバを捉えた。終了点にクリップしマントル。
ロープ解除し、上から回り込んでおりようかとも思ったが今回はめんどくさいのでやめた。

無事に初登。

想像より苦戦、昼過ぎには’今日登れないかもしれない’と弱気になってしまった。
ホールドが悪いだけにシーケンスの組み合わせが非常にシビアで難しい。
解析だけでもかなり苦戦する上に、ボルダーグレードでもv9はあると思う。
短いだけにグレードをつけづらいが一応5.13。

名前は開拓者の意向に沿って、
月光嶽行とする。
私の意向で漢字表記に、由来は動画の最後を見て貰えばわかるだろう。

周辺の整備も順調に進んでいる。
もう少しもう少し。

白虎

10.3
雨上がり、森はコンディションが悪いことを予想して日の当たる場所へ。
メインprojectはかろうじてトライできそうではあったが気温30度オーバー、しかもシケシケ。

ダラダラトライを続けるついでに他の面にかかる倒木を処理することに。
しかしこれが思いの外かったるく、中々切れない。
ノコギリ一本じゃ無理かと諦めかけたが、やり始めたら後には引けず……

img_0732

終わった頃には軽い熱中症状態。
少し休んでproject再開。
昨シーズンは骨折でキーとなるトゥフックが全く出来なかったのでほぼトライ出来ず、実質2年ぶり。流石にオフのトレーニングもあり、moveの安定度は増していた。
とはいえポケットは相変わらずエグい。1時間で指皮が終わった。
この条件にしては手応えはあった。、

10.6
指皮は少し回復、また皮がえぐれそうだが数便は出来ると見込み、出向く。アップが終わり取り付く。すると、やはり指に痛みが。
駄目だ、全く回復していない。
仕方ないので前回バラし損ねた繋ぎの箇所をやる。
すぐに出来た。
核心をおさらいしたところで指かわが裂けて終了。

img_0730

ついてまだ1時間経たず…。
どうにもならないので仕方なく日の当たる面を。
暑い……ホールドが熱い。

白虎のsdsをやってみたが暑い!
moveはバレたけど暑い!!

昼過ぎに日陰になる気がしたので昼寝。
熟睡して起きた頃には、見事に日陰。

繋げに入る。
何便目かで上手く行き、後半パート、白虎。
ここはランディングが悪く数年間悩まされた。
当時、
リップ手前でたまたま右手を右カンテ奥に伸ばし、手掛かりを見つけたことにより、完登への道筋を見いだした。

ホールドさえ分かればそこまで難しくないであろうと、
油断していたが
スメアがシビアだ…
突っ込んで気づいたがこんなにもシビアだったのか……

スリップするかもしれない…そう思いながら足をあげる。
そして見事にスリップ。
マットめがけてジャンプする。

img_0731
着地成功、良かった。

とりあえず悪いことは再確認。
というわけで次の便で無事登った。

白虎sds.
グレードはv10に感じたが気温が下がれば易しく感じるかもしれない。

時間はあったが指皮もボロボロだし翌日のセットに備え撤収を決めた。

さぶさん達と海、夜は単身山へ

9.11
さぶさんグループと糸島の岩へ。
まずは大入。
気温上がりきる前に、仲間の目標HDJ。
必死に打ち込む。
この光景が何となく嬉しい。
image

潮が引いた頃合いを見計らい帯岩へ。
※帯岩は一応シークレット扱いとなるため、昔からネットには地名を上げぬよう協力お願いしています。

皆、それぞれ適当にセッションし楽しんでいる中私も色々触ってみたが、どれも全く進展なし。

数時間滞在し、まだまださぶさんチームは登り足りないようであったので唐泊へ。

image
到着すると満潮近く、
岩陰に人影があったと聞いたが会う時とはなく。

1時間程度サブエリアで登る。
私もパラノイアのext projectを。
何だか行けそうな気がしてきた。
というかサブさんがサブエリアで登るって何だか面白い。

みんな満足した所で撤収。
仲間を送るため、福岡店へ。そのままみんなで何だかまったり。
夜になってしまった。

その時間で私は完全回復。
翌日の天気は雨、急遽ナイトで山にある切株からジャンプするprojectをやる事にした。

ギアは昼のまま、食料や水もあまりがある。
突入。

切株からジャンプし、遠くのカチを狙う一手はこないだ成功していた。
前回は、そこからはるか遠い真上のリップに絶望を見た。
リップの右側なら狙えそうな気がしたが、それこそ落ちたら切株に突っ込む。

切株に落ちたくないなぁ、
何て考えながらマット折りたたんでスタートのジャンプを簡単にして、リップとりをバラす。

切株が怖すぎて腰がひける。
それでも掌1個分まで距離を詰めれたので行けることを確証。

マットをどけて、出だしから繋げる事に。
すると切株ジャンプが成功しない。
しかも失敗すると結構無様に地面に叩きつけられる。

落ち方があまりにもカッコ悪い…
落ち続けると情けなくなりそうなので1手目もちゃんと集中して跳ぶ。
image
3便目できちっととめ、そのままリップランジ。
とまった。
簡単なマントルを返しトップアウト、完登。

安心した。
何だかこのまま落ち続けたら、トラウマになりそうだったにで登れてよかった。

名はトラウマ、グレードは一応v9にしたいが、リーチによって明らかに左右する。
あくまで目安としてつけたい。

暫くのんびりし、予報通り雨がぱらつきだした頃、撤収。

仲間の迫真登攀

9.9
仲間に誘われ岩へ。
しかも苦手な朝活。
疲労でコンディションボロボロ、見学ついでに靴を持って行くことに。
でもどうせ行くなら、気温が上がる前がいい。ということで日が昇りだすと同時に岩へ。結局仲間より一時間、早く着いた。

アップでozv8をやったがはまった。やはり気温が高い。数十分かけてリピートし、こないだ登ったvidroのlow startを。というより初めからこちらがメイン。
予想通り、スタンドのスタートポジションとなる一手が出来ない。色々やろうとしてもホールドが乏しすぎて何も出来ない。
ひたすら二時間その一手を出し打ち続けたがダメ、本当にダメ。

気温が下がったら出来るんだろうか?
仲間がアップ終わった頃には疲れ果てていた。

どうやら久留米の女(topout)v5をやるらしい。
2便目でリップまで到達したが、核心はそこから乗り上がって岩の上に立つまで。明瞭なホールドがなく非常に怖い。

ギリギリで行くと、一か八かで足を上げて、行ける確信を持ってつっこみ、たまたまでも体勢が整っていれば登れる。
そんな感じだろうか、高さもある上にランディングも良くない。

時間もないので4便目でラストトライ。
やる前から気迫を感じた。

リップまでは安定し到達。ただ、インターバルが短かったのか、外傾したリップトラバースでは腕が痙攣している。
大丈夫か…?
頑張れとは言えない。

それでも、突っ込んでいく。
無理やりヒールを上げ乗り込んでいくが、途中で厳しいと判断したのか一旦ヒールを降ろす。

そのまま降りるかと思ったが、右手を持ち直し再びヒールを上げる。
左手で大して効きもしないマントルを返し数cm重心が上がる。
ヒールから足裏全面スメアに切り替える。
この二つの動作が功を奏した。

image
僅か数cmの重心移動と細かいシーケンス、
そのおかげで明らかに安定した。

ここからはもう大丈夫だろう。
その予想通り、後は見ていられるくらい安定して登り、無事に岩の上に立った。


見ていて怖かった。
ただ、迫真の登攀を前に興奮した。

登れていたからこんなことを言えるのかもしれないが、
クライミングの迫真はこんな所にもあるのではないかとも思う。

危ないことを全て禁止されてしまったら、クライミングはとても面白くないものになるだろう。

社会のルールの中で行うものをスポーツとした時、自然の中で行う登攀行為全てをスポーツの中に留めることは到底無理な話だ。
万が一そうなってしまったとき、私はクライミング以外の遊びを探すだろう。

一瞬の出来事に、そんな事を改めて考えさせられた。

おめでとう。

その後、クールダウンで左端のラインを掃除し登った。
image

MoD v9。

仲間の動画は後ほどインスタとFacebookに貼っておく。
よくよく考えたら9月初の岩であった。