「その他ナイト含む」カテゴリーアーカイブ

福岡の至石「善蔵/三段」

ー 9月12日ー

猛暑が続き遠出はしたくない。かといって未知のパートを残しているzenzohもできる気はしない。それでも気負いせず出向く。湖畔沿いの遊歩道をのんびりと。

9月とは思えない暑さに少しだけめげそうだったが、早速背伸びで取り付き上部を探る。

開始15分ほどで身体が動きはじめたのかリップをとらえた。
未知が解決できたこと、トップアウトできたことでテンション爆上がりした。

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その僅か30秒後、遠い地面に絶望した。

裏のスラブの上に立ってもホールドが見えない、明瞭な下降路がない。
下から見上げたときは簡単そうに見えたのに…。

ここにいてもどうにもならないので意を決してクライムダウン、土を穿りながらホールドを探す。10分ほどかけ地面に戻れた。

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呼吸が整ったところで強度の高い下部のムーブ構築。終わった頃にはすでに気温30℃越え。曇りの一瞬を狙い登り切ることができた。

ー 善蔵 /三段 ー

静寂な森に佇むシンボリックな巨石のど真ん中を通る道筋。

九州北部は良い三段が多いがその中に混ぜても輝く1本。「月に叢雲」や「ティアマト」にも匹敵し福岡県下を代表する至石といえる。

 


( 情景と継承 )

偶然にもこの日、視察に来ていた市の方と話す機会を得た。

最近では色々な考えの人が岩でクライミングをするようになった。岩登りを心より愛する身としては不特定多数の人が見れるよう情報をネットであげるのは現状リスクしかないように思う。

また、何年も会っていないのに都合の良いときだけ連絡してくる人が増えた。

トポをまとめる規模ではないが大切な岩であり色々な約束事のあるエリアとなったのでこの岩を紹介する際は直接顔を見て伝えたい。

 


夜、店番をしているとTKTさんがやってきた。
前回同様、昼の出来事を笑顔で聞いてくれた。

小規模なエリアだったとしてもそのエリアに見合う公表の仕方を考えていきたい。

Zenzoh project

今年の夏は特に暑かった。
連続する猛暑日、毎日記録更新される観測史。

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ある日の夜、TKTさんが近場の岩の情報をくれた。どうせ岩を登る気分でもなかったので見に行ってみることに。

 

ー 8月末 ー

遊歩道沿いにあるらしいその岩。歩きもそこそこ長いので車で準備をしていると林業のおじいちゃんたちは現れた。

マットなどの大荷物を持つ私はきっと怪しい。すぐさま声をかけるとボルダリングを認知してくれていた。思えばこの下の集落にはコロナ前に挨拶に行っていたのだった。自称不審人物からボルダリング愛好家に昇格したところで歩を進める。

なだらかな遊歩道をのんびり歩くと目的の岩についた。

*

風貌良く圧倒された。しかもいつもやっているような岩とは違いランディングがガチャガチャしていない。シンプルにボルダリングとして良い岩だ。ほんの触りだけのつもりが結局夢中になってトライした。

散歩気分で出向いたので僅かな時間。気温も35°越えの猛暑。
それでも感触は良く秋の楽しみができた。
と言いたいがきっと待てずにすぐ来るんだろうな。。。(結果は想像に任せます。)

*

夜、店番がてら片付けをしているとTKTさんがやってきて
「どうでした?」
と。
「最高でした」
と返すと
「そうでしょう」
と笑っていた。

 

お尻岩

3月18日

ずっと行きたかったお尻岩へ。
圧巻の風貌に当然ながら観光地。

大分に在るのは知っていたけれど登っていいものか…。

積極的に調べることもなく、昨年暮れに突然「登っていいと確認が取れた」と聞いた。大分の熱いクライマーが観光協会や周辺の施設に掛け合ってくれたようだ。

 


潮の関係もあり早朝から。
お尻は実家からわずか30分の位置に在り、着いて驚いた。

小学生の頃、いとこや家族と何度も来ていた海岸の真横ではないか。


岩が沈むまで約2時間といったところだろうか。実質2つの岩であとはパラパラと。サーキットスタイルで順に周り15本ほどの道筋を登った。

糸島の荒々しい環境と正反対の快適さ。浜に転がるシンバリックな岩。ハードなクライミングはなくとも十分満喫できる。

と、言いたいところだけど一本だけ。

「ウミノウリボウ 」

二段というグレーディングをしたものの離陸の際のフットホールドが一切無く岩肌の絶妙なフリクションで身体を支えリップへランジする。強度も高くリップが止まれば気持ちが良い。


時間が余った。せっかくなので10代の頃登った山の上の岩を見に行く事に。
巨石探検道へ。

※お尻岩で遊ぶ際は出来る限り短時間で済ませたい。また観光者の記念撮影の邪魔にならぬようマットや荷物はすぐにどかすよう心掛けたい。一般観光者に私ら遊び人の誠意を見せたい。
※一応サーキットトポもまとめはしています。

百年の夜明け 再び

昭和二十八年 水底に沈んだ筑後軌道と巨石。


2017年 筑後川大水害で64年ぶりに現れた水底と巨石。
その3ヶ月を逃さす成したパーフェクトライン

「百年の夜明け」

もう生きている間に拝めないと思っていたけれど、昨年末から始まった治水ダム管理棟老朽化工事の影響で再び現れた。

この機を逃すまいと、TAKが取り組みはじめた。
再び沈むまでの期限は3ヶ月。

上部核心であるうえ巨石特有のプレッシャー。
こういうものはホールドを確認してしまっては台無しになる。

迫り来る期限というプレッシャーに打ち勝ち、TAKは下からトライし続けた。
(※初登の私は、横の岩からデッドしホールドを確認している)


2024年2月末
水底に沈む期日まで残り2日のこと、TAKは見事登りきった。

再び沈んだ巨石だけど、
関係者に聞くと今年度中もう一度チャンスがありそうだ。

またその時まで、おやすみ。


ー アウローラにて ー #石と風土 ❾

百年の夜明けに挑む友の敗退を見届けた初日の正午、
車を停めさせてもらった喫茶店で優雅なひとときを。

喫茶店のテラスから見える史跡「筑後軌道」。
実は2017年に64年ぶりに現れたということでひっそりと話題になった

本匠と虫月

学生時代に通い詰めた本匠。
この秋、その地の傍ら公開されたボルダーエリア「虫月」

10月16日

朝少し早めに出発。

三重の街並みを越え山間に入る。
車窓から見える光景はあの日々と変わらず。
レッドポイント前の重々しい感覚が思い出された。


エリアに到着。
渓谷に降りエリアを眺めると岩がまとまって転がっているのが見えた。

メインの岩はもちろん期待通り素晴らしい。
ただそれ以上に、アップでやろうと思った手前の岩や奥の岩も存在感があり驚いた。

目当ての the world 三段を筆頭にどれもハイクオリティハイセンスな課題で、やさしい課題から登りごたえもあり、この地を目的とした遠征で訪れたとしても満足させてくれるだろう。

夕方よりレイクストーン。

実はこの地のボルダリングシーンに興味を持ったのはこの岩からだった。
このハングを楽しそうに掃除し登る友人の投稿が実に良く、いつか来たいと思っていた。

渓谷のど真ん中にぽつんとあるハングが可愛い。
紅葉の時期はきっとさらにいいだろう。

日暮れ前、本匠まで来たからにはリードをせねばと遊歩道と宮前で遊びこの日のクライミングを終えた。

リードのエリアとして全国的に名の知れた本匠。
そこに追加されたボルダリングエリア、虫月とレイクはきっとこの先本匠を彩るエッセンスになっていくことだろう。次は泊まりで来たい。