春の大探索の末、
最後にたどり着いた巨大なバルジ。
魅力的ではあったもののアクセスが悪すぎ、次はないだろうと思っていた。
帰り道、遠くで反射する何かが見え寄り道。すると予期せぬ林道が出現。林道はもちろん車道と繋がっており大幅にアスセスが良くなった。
ヨータに「さっきのバルジやっていい?」と尋ねると快諾してくれた。
9月25日
掃除道具を持って山に入る。
巨大なバルジのハングを抜けた先は土と苔で未知数。ホールドがなかったら終わる。
良い季節が訪れる前に可能性を探ろうとロープに下がる。苔と土の下は思った以上に傾斜があり、ホールドも乏しかった。それでも左面に可能性を見出し、少しだけ安心した。
ヨータから聞いていたけど、山の影にあるこの谷はほとんど陽が入ってこない。
乾きが悪いのはもちろん、長居していると少しずつ気が滅入ってくる。
掃除したての上部はトライできるような状態ではなかったのでせめてハング中の動きを探り1日を終えた。
長期戦になる。
それから3日後
9月28日
まだやれる時季ではないということはわかっていたけど少しでも可能性を見ておきたくて再訪。
再びロープにぶら下がり残った砂を落とす。
出てきたホールドを握ると、指は湿るが保持できないほどではなかった。
前回見込んでいたラインで間違いなさそうだ。
陽があたり状態が良くなることを期待し昼過ぎまで待ったが駄目。これ以上はないと判断し、トライをはじめる。
13時
ハング中の核心は突破することができ上部まで突入。
もちろん突っ込みはせずとび降りる。あとは心の問題。
14時過ぎ
微かに入っていた木漏れ陽も消え暗い。
高気温、高湿度、威圧感にやられ1時間動けずにいたが心がふと楽になる瞬間を見つけ、すかさずトライ。
一筋の勝機を掴むことに成功した。
Baba-yaga (バーバヤーガ)
暗い森の入口に聳え、奥に進むのを拒むように我々を見下している。到底美しいなんて思えず、どちらかというなら禍々しい存在感。
時季は良ければ陽があたりでもして美しく見えるものなんだろうか?
その日の朝までは登れるかもどうかも半信半疑だったもの。昼には可能性あるものになり、夕方には成せた。
正直出来過ぎで、少しだけ物足りない気もしたがこれはまだ序章。
これで妖婆に後ろ髪引かれることもなく森の奥に進める。
さて、先へ。