「その他ナイト含む」カテゴリーアーカイブ

クリノシマDay2「トロイメライ」

空を見上げると虹が出ていた。
道路は濡れている。
午後からは本格的に雨が降るようだ。


クリノシマの記録二日目

1月13日
民宿で迎えた朝。

どこに行くかは任せることに。出発直前まで悩んでいたが岬のエリアに決まった。ここにはもう一本のキングラインがある。ならば…。

9年ぶりの岬。
岩盤の上から見る壮大な景色に感動した。

下にまわるとすぐにキングラインが。

見上げて怯む。

ハング中央に並ぶホールド。この明瞭さでかつて敗退していることを考えると、純粋に難しいんだろう。。。

正午過ぎに動きは固まった。あとは中央のフラットなカチを本気で抑えるだけだ。
予定時刻をわずかに過ぎたころ、狙っていた一手が止まりそのまま登り切ることができた。

と、簡単に書いたけど上部もかなりやばかった。
リップへの一手が厳しく選択を誤っていたら落ちていたと思う。

Träumerei(トロイメライ)

グレードはv12あたりか?

プロクライマーの残したトポをもとに探った9年前。

シンボルとなる岩の中央ラインはプロジェクトの文字すらなく…
そんなものに栗崎と夢を見た。
逸れることなく真っ直ぐ続くラインに憧れを抱いた。

今回も本当は二人でトライしたかったのだけど、数時間差で合流出来なかった。

岩は普遍だ。
またすぐに栗崎もトライするだろう。そのときにこの岩の夢と今を共有したい。

結局この日もフルで登ったが、二人とも良いクライミングができていたのでホッとした。
巨大な岩に二人とも苦戦していたが、最終的に心の壁・難度の壁を克服しいくつかのラインを登っていた。

車に戻った直後、ひどい雨が降り出す。あとはのんびりと過ごし島を後にした。


フェリーが到着してからも帰路は長い。

腹ごしらえをと寄った定食屋で貴重品を詰め込んだポーチを置き去るという大失態をかまし、仲間の疲労に追い討ちをかけた。

初めから終わりまで、冴えない私であった。。。
ごめんなさい。

終わり。

クリノシマDay1『青い宝』

フェリー乗り場で足の裏をきって病院行きとなった1月12日。
続きの話。

5針縫う手術、そして抗生剤の点滴。
1日潰れるかと思いきや昼過ぎに終わった。

手術終わりに恐る恐る…
『積極的に歩かない方がいいですよね?』
と聞くと
『強めに縫ったので刺激を入れる意味でもガンガン歩いてもらっていいですよ』
と逞しい回答を得られた。微かな希望が。

さて、
どうやって病院を出るか?

一応仲間に連絡してみる。すると、迎えを快く引き受けてくれた。
貴重な時間を私に使ってくれたことに最大限感謝したい。



急斜面を下り天然林を抜けると視界が広がる。
草原の向こうに壮大な海が。
9年前に見た光景と変わらず再度感動した。

今旅の目的は2本のキングラインに再度対峙すること。
ここにはそのうちの一本がある。

かつて見たその岩を前に、今なら何を感じるのだろう?

変わらずに在ったその岩。

相変わらず途轍もない存在感を誇るその岩は少しだけ小さく見えた。
今ならやれる。そう思った。

恐る恐るシューズを履く。踵を通す瞬間はズキっと痛いが履いてしまえばもう大丈夫。あとは下手な着地さえしなければ大丈夫だ。

軽く触ったところでリップの確認。

すると巨大な浮石が。回り込んでいてよかった。足が万全だったならそのまま突っ込んでいたかもしれない。と考えると運が良かった。

下から引かないと取れないブロックがひとつだけ残る。
そっと登ることとした。

完璧なラインだと思う。
1本目のキングラインが完結した。

9年前この岩を共に見上げて感動を共有した仲間、栗崎と相談し決めた。

「青い宝」

怪我もありグレードはわからないがv10ほどのようだ。


落ちゆく陽に染まる浜でKazahana片手にまったり巡る。

夜になり町に戻る。夕食を済ませて民宿へ。
1日の終わり。

明日の夕方に島を出る。正午あたりに雨が降るようなのでそれまでもう少しだけ岩を触りたい。

クリノシマDay2『Träumerei』へ

 

 

 

クリノシマ Day0〜1『はじまらないまま終わる旅』

2023年

正月は休みなくjoyを開けた。その代わり月半ばに二日程の休みを取る。

栗崎の故郷の島に開拓へ。


1月11日(旅0日目)

Joy閉店を少し早め夜中に出発。日は跨いだものの目的地であるネットカフェに到着。
無事宿を確保できた安心感でスッキリと就寝。というわけにはいかず。なんやかんやで寝れなかったが仲間もどうやら同じ状況だった模様。

1月12日(旅初日前半)

少し早起きをして朝食を済ませ船着場へ。眠くて仕方なかったがフェリーに乗り込んだ後少しだけ寝れた。

島に着くとテンション爆上がり。

仲間が観光協会に話を聞きに行っている間、暇だったので目についたスラブを走る。

すると靴が脱げて落ち、さらには落ちた先に金属片が。母子球を裂いた。

しばらくすると血が止まらなくなる。タオルで抑えている間、一瞬迷ったが当たり前に病院へ連れて行ってもらった。

そこそこな大事になってしまい、仲間らに迷惑をかけてしまった。

5針を縫う手術、抗生剤の点滴が必要とのこと。これ以上負担をかけたくなかったので仲間らには岩に行ってもらった。

一人取り残され、ただただ手術の順番を待つ。
旅の終わりを感じた。

クリノシマDay1『青い宝』へ続く

 

 

2022年岩登り10選と総括

2月に入ってしまったのでバタバタと振り返り。

2022年
四季変わらず仕事の合間に岩を登った。

難しさではなく印象に残った素晴らしいラインを10選(季節順)


❶天上桟敷 /唐泊 1月初登

チームKHBCにより公開された2002年よりprojectになっていたライン。台座の上にあるハングの中央ライン。ランディングがやばく中間部のmoveを起こせば戻れない。上部は果たして?

❷Art of life v13(四段+) 2月初登

大豪雨によりエリア完全崩壊から。存在した全ての岩がなくなってしまったけど、ほんの少しだけ巨石が出現した。そのラスボス。

❸メデューサ 2月初登

美しい水と渓谷、磨かれた甌穴に一筋のクラック。まさか身近にこんな完璧なクラックがあったとは。。。

❹ドン・コルレオーネ/傾川 2月初登

地元クライマーにより開拓が進む傾川。案内を受けエリアを回っているうちに出逢い一目惚れしたライン。2023年1月に完成体が登れ、より素晴らしいラインに。

❺Pandora 4月初登

3m程の高さにあるルーフ。とても格好良いのだけど…かつては背中落ちが怖くて攻めきれなかった。満を持して今。

❻閻魔堂 6月初登

川を覗くも石ころはない。ふと足元を、そもそも今立っているこの岩盤こそハング。ランディングは浅瀬、底はゴロゴロと石。魅力的なラインは決して落下を許されない。

❼ポータラカ v12(四段) 9月初登

普通に良い岩、良いライン。

❽ペンタプリズム v13(四段+) 10月初登

西のbig project。ブランクセクションをランジで解決できた時はテンションが上がった。核心はその上だとも知らずに。岩の美しさ、ラインとムーブの格好良さ、難しさ、構成、何をとっても一級品。

❾FAR/鶴見岳絶望岩 10月初登

20年来ずっと登りたかったライン、ずっとトライをしなかったライン。登れてしまった、登ってしまった。良かったのだけど、登ってよかったんだろうか。

➓君子無朋 v13(四段+) 11月初登

3年間暇な時にダラダラやっていたハードムーブ。春、その一手が止まった。それでも登りきれず、後半三段ほどの4手で落とされ続けた。秋に初登。ペンタプリズムしかり今季は難しい一手に向き合った。

岩登り日数 81日
初登本数 137本
v10以上 38本
v12以上 11本
v13-v14 4本
段数 173

例年以上に良い岩が登れた2022年、紹介してくれた縁や人に感謝。
また初登本数は例年の半分ほどだけどそれ以外は、(初登以外も含めると)高い難易度の岩を多く登ることができた。

雨続き、西の果てにて

いつまでも2022年の記録。
しかもまだ11月。。。


11月は雨が続いた。
今季やっているprojectはどれも乾きが悪い。ということで、ずっとやりたかったことに切り替える。西の果ての海岸へ。

11月21日

ローカルに場所を教えてもらいようやく実現した。手前の街で待ち合わせしいざ。

この地は、2000年以降枝村さんを中心にまったり登られていた。メインの岩の奥には元さん(平嶋元)初登のルーフ「無題v11/三段+」も。


11月ともなると流石に静か。奥に見える大岩壁は遠目からでも脆いのがわかる。

浜を歩くこと10分、ずっと写真で見ていた岩が。10年近く気になっていたのでテンションがあがりすぐさま登り出し。最難であるトラバースも登ったがそれ以上に正面がとてもよく。何度も登った。

そして「無題 v11」

メインの岩同様にかなり脆い。
どこまでホールド強度が信頼できるか未知数だったが、極力出力を抑えてのクライミング。
そういうものがとても楽しかった。

 

目的だった二つの岩を堪能したあとは、その辺に転がる岩を適当に登る。前夜の雨に半ばレストも覚悟したが、夕暮れまでフルで登ることができた。

良い場所、また夏でも海遊びついでに訪れたい。