「ヒスイエリア2023★★」カテゴリーアーカイブ

ヒスイイベント【私感】

5月14日 ヒスイイベント公開【私感】

フリーセッションの時間、万が一の事態に備え役割を外してもらった。万が一がない限りは自由に動ける。


前日の雨で苔はイキイキと碧く輝いていた。
濡れた岩を、皆に混じり私も登る。

実はまだ登っていない岩も多い。
カザハナパッド片手に岩を巡り、その都度そこで打ち込む人らと過ごす。

順に山をあがっていたところ。
ふと気づけば辺りに誰もいない。

立ち止まり小岩に腰を下ろした。

森も風も静か。
時折、岩に励む人らの歓声が聞こえてくる。

「あー、野下さん。今結構幸せかも。エリアも私も」

ふと無意識に溢れた言葉を自覚し、ほんのり涙が込み上げてきた。


クリとボブ。
二人が通い詰め、登れる岩が出揃ったヒスイ。

森はいつも静かだった。
尊敬する氏が初めて歩いたあの日もきっと。

静かな森が今日は少しだけ賑やかだけど、
明日からまた、静かな日常に戻ることだろう。

ヒスイの森にロッククライマーが加わった、はじまりの一日。
願わくばこのまま綺麗な森で在り続けてほしい

ヒスイイベント【記録】

ヒスイ公開イベント前日

       5月13日

雨が酷い。明日は晴れるようだけどベストコンディションは望めない。それでも全会一致で開催を決めた。

決定後、参加者に状況を伝え当日を待つ。


      5月14日


早朝より準備。
駐車場班、受付班、エリア班、案内班に分かれて作業をし時間を待つ。

8:00 受付開始1時間前

想定通り徐々に人が集まりだし前倒し。これはむしろ駐車班的にも受付班的にもバラけてよかった。

9:00 受付開始

トポと協賛品を配布。いただいた豆乳はかなり喜んでもらえた。特にタンパク質多めの抹茶味は人気ですぐに無くなった。
受付が済んだ方から順に30分の道のりを歩いてもらう。

10:00 開会式

エリア前の広場にて。栗崎、そしてボブから説明。エリアのこと、今後のこと、今日1日の流れを丁寧に話す二人を見守った。

10:30 フリーセッション

朝は苔がイキイキと青く、岩も黒かったもののみんな登れる岩を探し歩きまわっていた。
昼過ぎにようやく目当ての岩に取り付けるくらいのコンディションにはなった。
スイッチが入ってきた頃、終了時刻に。

15:00 ジャンケン大会と閉会

協賛いただいた商品をかけて、本気のジャンケン大会。
スペシャルな協賛品のお陰で、盛り上がったままイベントを終えることができた。

ー協賛ブランドー

kazahana packs

こういう雨上がりの日に重宝するシートや、スタートがゴツゴツしているときに役立つスタートパッド、色々な岩を素早く巡りたい時に役立つサーキットマット。そんなクライマー目線の道具が充実しているメーカー「カザハナ」
じゃらし工房

晴れた日も、曇りの日も、雨の日すら、岩の側でそっと美しい久留米絣のチョークバック「じゃらし工房」

 

16:00 撤収

スタッフ全員でエリアを一周、無事終えたことを確認する。

17:00 参拝

移動を終え、縁ある場所に参拝。イベントを無事に終えたことに感謝、そしてこの先の安泰を一同で祈願。

 


二人の力はもちろん、仲間らの協力により解放できたエリア。
そしてそんなエリアを愛してくれるであろうクライマーたち。

全ての事象、関わった全ての人に感謝したい。

良きはじまりの1日だったと言える。

 

翡翠

3月のヒスイ公開にむけ

慌ただしく進んでいた公開準備も、段取りが決まってからは順調に進んだ。
雪、そして雨の影響でprojectの解決だけが残された。

トポの入稿は3月上旬。
このままでは流石に間に合わない。苦肉の策だが当日までには登れる見込みで名とグレードをつけることとなった。


やるしかない。

そんなプレッシャーのなか、まず先に「瑠璃ノ坏」の完全体が栗崎により完成。
その後「巨いなる黄昏(田嶋)」「スモーキーアゲート(ボブ)」などができていく。

そして、1本のビッグラインが残った。エリアの名が付いているproject「翡翠」。見込みではv11。

グレードだけ見れば、通えばいつか登れる範疇。だけど実際は違った。自身これまで避けてきた要素が1手に詰まっている。

「えぐいカチ」
「壁との距離を空けれない動き」

無対策では勝負にならないこと明らか。2月は上記2点を集中的にトレーニング。キーホールドの保持感はクマクリンプに近く、体幹トレもそれ用に組み替える。


3月終盤、時間がない。
いよいよ対峙。
チャンスは三日間。13日、16日、そして公開前日の20日。

3月13日

長雨のせいでしっとりするホールド。深追いはせず、後日に活かすべく練習。
トライしはじめに相性の悪さを実感する。もしかしたら達していないかもしれない。


ここで諦めるわけにはいかない。やれるだけやる。夕方、少しだけ感触がよくなってきた。深追いを決める。

16日のトライに支障は出そうだけど、今何か掴んでおかねばまたリセットされそうな気がした。
勝負は20日に。


練習感覚で跳び続けたある瞬間、
ふと、ランジがとまった。
捉えた瞬間何が起こったのか分からず。

[ 翡翠  初登 ]

通えば出来るなんて絶対にない一手。
そういうものにどう向き合うか。

逃げ道をつくらず挑めたのは良い経験になった。
とはいえ、次に活かすことはもうないだろう。今後もやりたい岩をやる。


やりたい岩をやる。
えぐいカチ、そして壁との距離をあけれない動き。そういうものも面白いと感じれるようになった今、やりたい岩が少しだけ増えた。

これで、公開に向けた大きな準備は終わった。
あとは整えつつ当日を待つだけだ。

 

 

 

 

 

ヒスイ公開に向け

年明け、ヒスイボルダーの公開日が決まった。
9年前のメサ公開日と同じ3月21日。
いよいよだ。


1月後半

雪が降り続けエリアは閉ざされた。10年に一度の雪らしい。奇しくも9年前のメサ公開前も大雪で1ヶ月丸々入れない日が続いた。偶然とは思えない。


2月中旬

主要メンバー揃って現場に出向いた。
グレードの確認とともに話し合い、これまで放置していた岩もちゃんとやることを決定。作業量が大幅に増えた。

トポの印刷依頼は3月頭。時間がない。


できる限り見守っていようと思っていたけどさすがの最終局面。放置していた岩をやると決定した一端は私にもあるので動きはじめる。

雨上がりの日にざっと掃除を済ませ、とある晴れた日に下から順にまわった。

「ノボルベカラズ」

ガバを頼りに豪快に強傾斜を駆け抜ける好課題。ただしどのガバも吹っ飛びそうなくらいに脆い。だからこの名を。

「巨いなる黄昏」

メインクラスの巨石、中央ライン。ザ・垂壁な内容がとても好印象でスケールもあるので痺れる。ただしかなり脆い。

他もいくつかいい課題ができたがまたそのうち。
公開準備は続く。

ラムール・エブル

2023年1月
ずっとやっていたルーフのprojectが登れた。


発見当初より可能性は見えていたものの、2018年をピークにトレーニングをやめていたのでフィジカルが達していないのは明らかでトライを保留していた。

 

若手に「春の公開を目指すので1月中に登ってほしい」とお願いされ、応じるべく昨年暮れより通い出す。ひとつのエリアに通い詰めるのが苦手な私だけど、このルーフは長くやっていてもずっと楽しくいられた。好きなんだろう。


思ったよりも早くその瞬間は訪れた。


1月10日
コンディションは良くない、ただし流れは良かった。
通った甲斐あり自動化は完璧、栗崎の集大成「瑠璃ノ坏」の初登を見届け気持ちは入っていた。

『l’amour est bleu(ラムール・エブル)』

追い詰められていたはずなのに登れてほっとする感覚も高揚する感覚もなく、逆に滞在中ずっと楽しかった。


グレードは悩む、久々に悩む。

初登、再登含め近年登ったv13よりは明らかに難しい。かといって2018年に登った「AveMaria」に比べると数値ひとつ分明らかにやさしく。

一応 v13/14あたりにしておきたいが、やはり私自身に苦手も多いのでv13程度かもしれないことを補足しておきたい。

シーケンスが難解でパズル要素も強い。
動画をあげる許可はもらったが、このエリアの主導開拓者二人にならい導き出したmoveは伏せたい。ということでショートバージョンの動画を上げておく。

開拓は続く。

後日の話だけど、この後母指球のあたりを5針縫う怪我を怪我をしてしまい治った頃に大雪。この機を逃せば2月までもつれ込んでいただろう。運が良かった。