「RockPath」カテゴリーアーカイブ

日々開拓

雨上がり、寒波のやってきた週末。
途轍もなく寒かった…
そんな日でも仲間は付いてきてくれる。

濡れた岩を幾つか通り過ぎ、
雨を間逃れたのか乾く途中なのか定かでない岩の前に腰をおろし、
徐に準備する。

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数年前に登ったv2だのv3だのに、自ら弾き返される。
コンディションが悪いにではなく、単にグレードを大幅に外しているのだと思う。
幾ら何でも辛過ぎだ。

これが原因でリピートと再編は思うように進まなかった。
それでも幾つか新しい課題を登ったり、仲間にリピートを頼んだりと、
こんな過酷な状況を楽しんでいた。

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豪快さと繊細さを併せ持つ、随分昔の課題 歩みv5はクリにリピートされる。

その後、finite infinite v13のリピートを目指したが歯が立たず…。

夕方、龍体山遊歩道エリアに顔を出す。
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こんな日でも人が来ていることに少し驚いた。
みんなクライミングが好きなんだなぁ。
そしてこんな日に龍体山を選んでくれたことに、少し嬉しくなった。
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このエリアも、
変わらぬものあれば変わりゆくものもある。
いつの日も健気にこのエリアでクライミングが行えたら、
それはひとつの幸せ。

このエリアを愛した者として。

セイレーン

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暗闇の中でのクライミング。
ルーフの外は雨。
…とてつもなく悪い斜面を滑るように降りたどり着いたルーフ。

来た時はまだ、薄い雲の上の空は茜色だったのだが、
陽が沈むのも早くなったもので。

闇夜の中、湖畔に繋がる斜面を登るのは恐怖しかない。
とっとと片付け余裕を持って帰ろうと決めた。

moveを探る。
前回来た時は、濡れていた。
無理やりmoveを探ったがやはりコンディションが悪かっただけのようで、すぐにmoveは解決した。
ただ手数が10手overとやや長めなので、多めに休み繋げる。

無事、一便で仕留めた。
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…しかし、問題はここからで。
何故か映像が撮れていない。

v9程度と少し余裕のある難易度であったので、登り返す。

…すると、次は何故か電源が落ちていた。

時間的に余裕があったのでもう一便。
後半のholdがぶっ飛び、脇に広がる湖畔への崖に弾き飛びそうになったが、大腿筋フル活用で辛うじて間逃れた。
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意地になってもう一便出し、無事完登動画が撮ることが出来た。
というより、途中から動画などどうでもよくなっており、撮れないことにムカついていた。
払拭。

無駄なエネルギーをフルに使ったところで終了。
行き使ったアプローチは、地縛霊に弾きずれ込まれそうなので、流石にやめてイバラだらけの斜面を無理やり上がった。
その後も色々あったが…無事帰ってこれてよかった。

やはり名所はそれなりに由縁があることをはじめて痛感した。
反省。

そうそう、
名をセイレーンとする。
グレードはv9。

OBA合宿

先週末は中止になったOBAイベントに参加。

中止になっても、主催者の好意で案内頂いたのです。

土曜日、前日の雨を見越しゆっくり目の出発。
現地にて片島さん達と合流。
岩場をフィールドに置く古いクライマーと会うと落ち着く。

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まずは旧水門エリアの大ハング。土に埋もれていた巨石は
見事に綺麗になっており、
地元のクライマーに愛されていることがわかった。

ちなみに今は奥岳山と呼ばれている、
一体どこやねん、と開拓者は自ら突っ込んでいた。

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この日も素晴らしいラインが一本完成。
一級(v6)らしい。
みんなもハイボールを果敢に攻めていた。ボブは高さよりもmoveの強度にやられていたが…。

その後クーチ谷でこうたきさん達と合流。
何故か前回来た時よりもコンディションの良い美しきハング、
昔愛した課題にみんな打ち込んでいた。
こういう光景を見ると嬉しくなる。

モチヴェーション枯れ気味の私も、片島さんのproject tryに触発されシューズを取りに戻り、少しだけ登った。
やっぱり楽しい。

結局日暮れまで登り、1日を終えた。
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夜は適当に温泉と飯を済ませ、片島さんの好意に甘え、片島さん宅にて飲み会に参加しそのまま宿泊。
酒が入っていたので何を話したか覚えていないが、誰もついてこれない昔話やローカル話しを永遠繰り広げみんなに申し訳なかったと反省。

翌朝、天気は快晴。まったりと準備をし、昼に来る雨を見越し30分早めに出発。

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自宅にこんな壁があるなんて羨ましすぎる。
そして何より素敵なコンセプトの間取りと建築物。
建築を勉強していた身として少し衝撃を受けた。
田代工務店、すげぇな。。。
片島さん一家には世話になりっぱなしで本当に感謝感謝。

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10時前にエリア到着。
雨雲レーダーでは10:30に降り出す予報。
ダッシュで、4級と火ぐるまを登り、片島さんが名前忘却した高難度を触り始めた頃、雨が降り出す。
30分程度粘ったが他の人達がズボ濡れになってきていたので撤収。

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まぁ、なんやかんや絶望的な予報のなかで、岩に触れただけでも良かったと思う。
〜大分のみなさん、雨の中お世話になりました。久々に会えた人も初めて会った人もあまり話せなかったけど参加できてよかったです。〜

だらだらと撤退。
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絶望岩シーズン初日、二日目

2014年11月
今年初となる絶望岩のトライ。
(13年分の経過は一つ前の記事参照)

久々のトライ、決意までのラストシーズンなので負荷の確認が目標。あわよくばmoveをばらすこと。

後半は昨年バラした。
今回は核心部の確認。
どうしても繋がらない手順。

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(写真は昨年のトライ動画から)
このクロスが出来ればバラした後半のmoveに繋がるのだが…
一時間打ち込みの末、不可能だと分かった。

フックを解除し、足を送ってからクロスを試し見ることに。
いざ、トライ。すると最中に全く別のシーケンスが閃いた。moveを起こそうとするが怖すぎて一旦降りる。

核心部の可能性が見えた。

上部のシーケンスも影響しそうなので、一旦上部を組立て直す。
上手く辻褄があった。

後はもう、核心の足送りからの一手をバラすことに集中。
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一度だけ足送りに成功したが、次の一手が捨て身になった。
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あえなく落ちる。
修正すべき点は明らかで、足を送った際の踏み込みが甘かった。それが修正できれば手が出せる。
はっきりと分かっていた…
しかしその後、足送りが一度も成功せずに時間切れ……。

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ロープウェイの最後の便が着いたら、駐車場のゲートが閉まる。
その最後の便を駐車場で眺めているその瞬間、何処にもぶつけようのない、とてつもなく悔しい気持ちになった。

敗退。

エリアから20分の位置にある実家に泊まり、翌朝再びトライすることを決める。
この時はまだ疲労などあるなんて、思いもしなかった。

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眠そうな犬の声で起きようとするが、一瞬戸惑った。
筋疲労で起き上がれない…。
早朝からいきなり凹むことになった。

それでも、やるべき事に集中すべく、朝のルーチンをこなし、岩場へと向かう。

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数年前の水害の後、造られた砂防ダムの周辺ももう落ち着いた。それ程長い間、ここに来続けているのだろう。
あとどれくらい通うことになるんだろうか。

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私はこのエリアの木漏れ陽がとても好きだ。

アップを済ませ集中する。体力的に長くはトライできない。
数便でmoveを解決することを目標とする。
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ここまで集中したのは初めてかもしれない。

1便目は普通に足送りで失敗。

2便目、足送りに成功した。
昨日の教訓を活かし、共に3年を過ごしたTeam510をねじ込む。
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そして解決していない一手出し、上手く捉えた。
後半部はよく覚えていないがとりあえず上手くいったようで、
気づけば岩の上に座っていた。
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完登。
座ったまま、暫く湧き上がる感情を待ってみたが…
「何も感じない…」
そう分かってからは、すぐに取り付きに降りた。

たんたんと、荷物を片付け、山を上がり、こないだ消化し損ねたprojectをやるが全く出来ず一便でやめる。
生涯の目標が終わった。
もう別に難しい課題を攻める練習をしなくてもいいし、トレーニングもやめていいんだ。

気持ちが切れた。

すぐに帰り支度をし、
山を下る。

必ず通る絶望岩を通り過ぎる。

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背に、
木漏れ陽のあたる絶望岩を感じた。
振り向くと、
それはとても美しく
その瞬間、涙がこみ上げてきた。

さようなら、
生涯の目標よ。

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帰り、目をつけていた高原のボルダーに寄ったが景色を眺めただけで一度も靴を履くことなく終わった。
本当に気持ちの良い場所だ。

〜絶望岩、名を エトピリカ とする。
由来は前の記事に書いた通りエンディングである。

今回のラインはあくまでエスケープラインでありもっと素晴らしい課題は出来るであろう。

ただ、それらを完成させる気力は今の私に無い。この岩を初めて見上げた時の絶望感、そしてかすかな希望を現実のものにできただけで満足である。

すべての事象に感謝したい。