「RockPath」カテゴリーアーカイブ

ラムール・エブル

2023年1月
ずっとやっていたルーフのprojectが登れた。


発見当初より可能性は見えていたものの、2018年をピークにトレーニングをやめていたのでフィジカルが達していないのは明らかでトライを保留していた。

 

若手に「春の公開を目指すので1月中に登ってほしい」とお願いされ、応じるべく昨年暮れより通い出す。ひとつのエリアに通い詰めるのが苦手な私だけど、このルーフは長くやっていてもずっと楽しくいられた。好きなんだろう。


思ったよりも早くその瞬間は訪れた。


1月10日
コンディションは良くない、ただし流れは良かった。
通った甲斐あり自動化は完璧、栗崎の集大成「瑠璃ノ坏」の初登を見届け気持ちは入っていた。

『l’amour est bleu(ラムール・エブル)』

追い詰められていたはずなのに登れてほっとする感覚も高揚する感覚もなく、逆に滞在中ずっと楽しかった。


グレードは悩む、久々に悩む。

初登、再登含め近年登ったv13よりは明らかに難しい。かといって2018年に登った「AveMaria」に比べると数値ひとつ分明らかにやさしく。

一応 v13/14あたりにしておきたいが、やはり私自身に苦手も多いのでv13程度かもしれないことを補足しておきたい。

シーケンスが難解でパズル要素も強い。
動画をあげる許可はもらったが、このエリアの主導開拓者二人にならい導き出したmoveは伏せたい。ということでショートバージョンの動画を上げておく。

開拓は続く。

後日の話だけど、この後母指球のあたりを5針縫う怪我を怪我をしてしまい治った頃に大雪。この機を逃せば2月までもつれ込んでいただろう。運が良かった。

続く碧の道

碧の谷風そよぐ道。

岩探しの先駆者、故・野下善秋氏
氏の残した岩に続くを辿り広げてきた。それももうじき終着する。

残された道標を頼りに進んできたけれど、
どうしても辿り着けない岩があった。

2020年、とうとう若手が辿り着く。
激しく荒れた林道の先、私一人では絶対に辿り着かなかった。

ずっと探していた岩。すぐにでも登りたかったが導かれたのは私ではない。発見したのは先の世代、そんな彼らに託そうと決めた。私が辿り着かなかったのは、そういうことなのだろう。


岩のある山のすぐ下で農作業に励む地元の方々、
時折出会う地権者の猟師さん、
信仰のある山の麓の宮司さん、

関わる全ての人へ説明しつつ岩の整備を進めた。


2023年1月

とうとうメインの岩を栗崎が登った。


[瑠璃ノ坏]

栗崎だけではなくボブも、翡翠の岩や瑪瑙の岩の良質なラインを丁寧に登っている。
二人により周囲はボルダリングエリアに近づきつつあった。

2022年2月

公開に向け地元の方々に挨拶。
みんな笑顔で迎えてくれた。
きっと二人が上手くやってきたのだろう。

継承する者らもしっかり先を見据え道を守り進んでいる。
来たる終着点の先は…

碧の谷風そよぐ道。

ー記実ー
未開拓だった大分県西部から福岡県の石ころや壁を求め探し歩いていた故人、野下善秋氏。生前は雨の日などに登りに来てくれ岩の話を聞かせてくれた。かつて聞いた話や氏の残してくれた情報をもとに私も様々なところを歩いてきた。氏の通った道は私の道標にもなっていた。ヒスイもその一片である。

 

 

 

 

 

2022年岩登り10選と総括

2月に入ってしまったのでバタバタと振り返り。

2022年
四季変わらず仕事の合間に岩を登った。

難しさではなく印象に残った素晴らしいラインを10選(季節順)


❶天上桟敷 /唐泊 1月初登

チームKHBCにより公開された2002年よりprojectになっていたライン。台座の上にあるハングの中央ライン。ランディングがやばく中間部のmoveを起こせば戻れない。上部は果たして?

❷Art of life v13(四段+) 2月初登

大豪雨によりエリア完全崩壊から。存在した全ての岩がなくなってしまったけど、ほんの少しだけ巨石が出現した。そのラスボス。

❸メデューサ 2月初登

美しい水と渓谷、磨かれた甌穴に一筋のクラック。まさか身近にこんな完璧なクラックがあったとは。。。

❹ドン・コルレオーネ/傾川 2月初登

地元クライマーにより開拓が進む傾川。案内を受けエリアを回っているうちに出逢い一目惚れしたライン。2023年1月に完成体が登れ、より素晴らしいラインに。

❺Pandora 4月初登

3m程の高さにあるルーフ。とても格好良いのだけど…かつては背中落ちが怖くて攻めきれなかった。満を持して今。

❻閻魔堂 6月初登

川を覗くも石ころはない。ふと足元を、そもそも今立っているこの岩盤こそハング。ランディングは浅瀬、底はゴロゴロと石。魅力的なラインは決して落下を許されない。

❼ポータラカ v12(四段) 9月初登

普通に良い岩、良いライン。

❽ペンタプリズム v13(四段+) 10月初登

西のbig project。ブランクセクションをランジで解決できた時はテンションが上がった。核心はその上だとも知らずに。岩の美しさ、ラインとムーブの格好良さ、難しさ、構成、何をとっても一級品。

❾FAR/鶴見岳絶望岩 10月初登

20年来ずっと登りたかったライン、ずっとトライをしなかったライン。登れてしまった、登ってしまった。良かったのだけど、登ってよかったんだろうか。

➓君子無朋 v13(四段+) 11月初登

3年間暇な時にダラダラやっていたハードムーブ。春、その一手が止まった。それでも登りきれず、後半三段ほどの4手で落とされ続けた。秋に初登。ペンタプリズムしかり今季は難しい一手に向き合った。

岩登り日数 81日
初登本数 137本
v10以上 38本
v12以上 11本
v13-v14 4本
段数 173

例年以上に良い岩が登れた2022年、紹介してくれた縁や人に感謝。
また初登本数は例年の半分ほどだけどそれ以外は、(初登以外も含めると)高い難易度の岩を多く登ることができた。

くる年へ繋ぐ12月

2022年は、思うよう良い岩が登れた。
気持ちにも余裕が出来たので12月は衝動に流されず難しい岩に絞ろうと決めた。

狙うは3本。

1.   ヒスイのルーフ(通称LEBproject)
2.    VV3.0project
3.    ゾウネルラproject

普段であればその時格好良いと思う岩を、その瞬間最大熱量で狙う。
その衝動的熱量を捨て限界値を。3本。

 


最初に狙いを定めたのは

3.ゾウネルラp (よだかの岩)

市蔵のスタートからカンパネルラにつなげるライン、ゾウネルラ。実は初秋にmoveを発見していた。

12月8日 スタンドで初登

新たなシーケンスの発見で当初よりやさしくなってしまったものの、「ここが通せたら凄いラインの可能性が広がるな」なんて感じていたブランクセクションの突破に成功。

となると後はルーフの付け根から繋げるだけだ。
なんて簡単に書いたが下部はv10。果たして繋がるのか。

ゾウネルラlow start project

12月半ば、雨上がりでの挑戦にも関わらずラスト一手までは攻めることができた。
このまま通い勝負をかけようかと思った。

 


その矢先、仲間から春にヒスイを公開したいと相談を受けた。
となると1月中にヒスイのprojectは登っておきたい。ゾウネルラlowは春でもできる。仲間の気持ちを汲み、ヒスイのルーフを優先することにした。

 


1、ヒスイのルーフ

果てしないルーフ。
二日ほど通い全ての動きが解析できた、同時に自動化も進む。ルーフの奥行きが身近なものとなった。

となると早めに勝負をかけたい。そんな気持ちと裏腹に雪が。山が白く覆われる。雪解けルーフは染み出し年内の完成は絶望的となった。
それでも通う。できるパートの自動化をはかる、来たる瞬間をより早く迎えるために。

湿気た山で終えた2022年の岩登り。
岩の上に立つことは叶わなかったけど、
ゆく年に悔いなく、くる年を期待を。

2023年1月へ。

 

動画 よだか開拓記10【ゾウネルラ】

再入荷【玖珠川ボルダリングガイド vol.6】第2版

再入荷【玖珠川ボルダリングガイド vol.6】第2版

フルカラー47ページ

再発刊しました。¥1,500-にて配布しています。

エリアの大切な情報です。エリア説明もしたいのでJoywallRockNavi主宰田嶋までお願いします。Joy店頭、もしくは岩先、旅先で引き継ぎたいと思います。

今回は前回分と特に違いはありません。いくつかのグレード改定と分かりにくかった椿達磨の岩のライン詳細を付録しています。

天ヶ瀬のハングは今季珍しく陸地ができているようです。
良きシーズン、楽しんでもらえたら幸いです。