10月29日
ヨダカの岩の中央のprojectを登った。
「よだかの星 v13(四/五段)」
〜
9月に案内いただいた時、中央にすごいラインができると思った。できれば間違いなくv16(六段)以上。もちろん私が生涯こいつに捧げても登れない難易度だ。
来訪2日目、右足で踏んでいたホールドが欠けた。その影響で、思い描いていた中央のラインは不可能なものとなった。
少しだけ落胆。
すごく良い岩で、すごく良い課題もたくさんできる。現にCampanellaや超市蔵は極めて良い課題だ。良い課題なのだけど、あくまでv10(三段)。高難度の夢が少しだけ小さなものとなった。
〜
山の彩が変わる。ヨダカの岩以外にもやりたい岩はあったので通い続けた。
いつしか中央の新たな可能性に気付く。
確かに正面突破は不可能だけど、左からトラバースするようにホールドは繋がっているように思えた。左手で効かすサイドがいくつか続き、それらを右手ガスで入れればトラバース可能ではないか?
試してみると、難しくはあったがその日のうちに解決した。
極めて悪そうに見えるリップから先も、奇跡的な位置にポケットが存在し、丁度良い難易度で繋がっていた。
可能性大、集中してやることに。
〜
10月15日
トライ中キーホールドのガストンカチが欠損し腰を強打した。ホールドは大幅に持ちやすくなったものの、腰の痛みからトライを諦めた。
残念だけど明らかにやさしくなってしまった。なのに登れない日が続くとは……。
〜
2週間のレストを決めた。本当はもう少し休みたかったけど、回復と能力衰退の妥協点、このラインを登る能力をキープするのはそれが限度だと判断。
2週間経過
10月29日
正直トライできるか不安でしかなかった。
エリアに向かう途中、先行してエリア入りしているKさんから連絡あり。諸事情により下の駐車場から歩かねばアクセスできないとのこと。
マットを抱え長いアプローチを歩くことに一瞬躊躇したが、やめるという選択はなかった。
11時過ぎ、無事に岩の前に着く。欠けたはずのホールドは思ったよりも悪く感じた。メンタル的に少し弱っている。
アップを済ませ全てのmoveを出しても、いまいちしっくりこない。欠損により明らかにやさしくなってはいるはずなのに、前半3手を除き全てのmoveで落ちた。
感触は全然良くない、でも腰は大丈夫そうだ。
〜
多くの便数を出すことはできないような気がした。
12時過ぎ、集中して1便目
あまりしっくりこない保持感が続きつつも、落ちはしない。
核心のガス止めもそのマッチも、次のガス中継も、保持感微妙。何故か次のリップどめが完璧に決まった。
スイッチが入り、そのまま集中し乗っ越しへ。
ここまできたら安定するはずが…遠いポケットへの一手がかなり不安定。よくよく考えたら、右足を軸とした動きは、Joyでもまだ痛みがあったのだった。
正直ここで落ちたくない。岩を登りきりたいというより着地に自信がなかった。
随分と長い時間、とどまれるポジションを探したように思う。妥協点を見つけたところで右手を出す。いつもと体制が違ったので、勇気を要した。
ポケットをとらえる。
リップへの足上げ、いつもは空間を保ちインサイドでスメア。ポケット取りがギリギリになってしまったので空間が保てずアウトサイドになる。スリップしそうで恐ろしかった。
左足が上がった瞬間、終わったことがわかった。ゆっくりとスラブを上がる。登れたのだ。
よだかの星 v13(四/五段)
〜
長い2週間だった。純粋に岩を想ういつもの2週間と、ストレスのかかり方が全然違った。健康体で岩が登れるというのはなんと素晴らしいことなのか。登れた時の安堵感たるや。これで回復に専念できる、と。
〜
夕方、すぐ上の河原の岩を登ってみる。実は来るたびに少しずつ掃除していた。
右にトラバースする感じが「大いなる河の流れ(小川山)」を想わせた。
美しき河の流れ v9(二段)
ヨダカの岩からわずか30秒、とても良い岩だった。
このように岩の道は続く。もうしばらく通うことだろう。
撤収。