梅雨明けの周遊で出逢った狭間の壁。
まだこんな出逢いが残っていたのかと。完全に一目惚れだった。
毎年、梅雨の終わりに来る酷い豪雨。
河川沿い偵察は数日に渡る。
偵察の終わり頃、
ふと降りた渓谷で凄いハング壁を見つけた。
久々の一目惚れ。
雨は降っていたがたまらず車まで戻り準備をし、慌てて壁まで引き返した。
本降りになるまでに何とか…。
そう願うも見た目通りの威圧感にやられ、モタモタしていたら大粒の水玉が落ちはじめた。
流石にここは水位が増すとやばい、撤収を決めた。
7/27
晴れ続きにも関わらずハング面は濡れていた。陽の当たる昼過ぎまで待ったが、むしろ状態は悪くなる。
「これは結露か」
雨が降っていた前回よりも悪い。
「今日はダメだ」
秋まで待つことにし、しばらく佇んでみたが待つことこそダメだった。
一目惚れしたその中央に在る一本のライン。そんなものにトライできないもどかしさこそダメだ。
一番湿気ている下部は雑巾で拭い、恐怖の上部は着地できる範囲で勝負をしようと決めた。
指先から湿気を感じるクラックを我慢して保持しリップに手を伸ばす。案の定湿気ており突っ込みきれず降りる。
葛藤を繰り返すも勇気がでない。
勇気よりも先に足から落ちれるシーケンスを見出す。
リップを捉えたそのトライで上部に突入。
あとは意外とコンディションが良く爽快に駆け抜けることができた。
Norma Jean
状況確認の周遊でまさかこんな宝ものに出逢えるとは。
存在感抜群の壁の中央に在る一本のライン。
岩もラインもロケーションも、シーケンスまで最上級。
良い夏のはじまり。