川を眺めながら、エリアを想う。
丁度その時、私は伏魔殿の岩の下にいた。
初登者はタック。
彼は口癖のように、岩ころでも壁でもでかい奴をやりたいと言っていた。
ビビリのくせに。
思い返せば、このエリアもよく一緒に来ていた。
エイドリアンもaftakもレッドノアも…
長期に渡って共に岩を登り続けてきた。
時に私の暴走をなだめてくれ、
時に一緒に走ってくれ、
時にお互いぶつかりあった。
いつもjoyのことを考えてくれ、
いつも私を支えてくれた。
彼の、突然の引退宣言。
長い付き合いだから、覚悟ははっきりとわかった。
だから、聞いた時は戻ってくるまでおれもしっかりしてようと、
覚悟した。
一人、伏魔殿の下でぼっとしてると
不意に彼が初登した時の情景が過る。
そしてとても寂しくなった。
友が去って、私はどこまで進めるのだろうか。
ただ、彼の覚悟は家族を思ってのこと。
引き止める気など微塵もない。
ただただ、自身が不安なだけだ。
ひどく沈んだ夕方、伏魔殿のロースタートを登った。
グレードはv8,名を 赤き虎 とする。
岩を見るたびに切なくなりそうだ。
早く隣のprojectも登ってしまおう。