リピートを含め登った課題の中で最も難しいものの一つ、ウラノメトリアの消滅。
それは工事が始まった今年4月から分かっていた。
ただ一応間近で確認しておくことに。
12/28 骨折22日目
工事も終わり、水も引いているのだろう。
にも関わらず、その岩は沈んでいた。
骨折した足で辿り着くにはそこそこ疲れた。
岩の前で休む。
なんとなくぼっとしてたら、この岩に費やした数年の記憶が順番に思い出された。
過去に書いたが発見した時は、同じように水の上にあった。どちらにせよ当時歯が立つ産物ではなかったので気にもしなかったが。
2012年、あの水害で陸が現れ、その時改めて見てみると、ラインになっていることに気付く。そして通いつめてホシノクララv13が完成。
完成を待ったかのように、後の災害で今度は埋まる。この時まだ完全体は登れていなかった。
2014年、多少能力が上がった頃に再び訪れると、また都合よくトライ出来る環境がそこにはあった。
近いことをいい事に通った、ここまで通い詰めたのは後にも先にもなく、こいつだけであった。
先にウラノメトリアが完成し、その後スーパークララが出来る、これで終結だ。
2015年に入り、災害の復旧工事が始まる。工事は知人の知人が関わっており、何となく状況は知っていた。
そして案の定大きく変わったその地は、例外なく岩も変化した。
叩き壊された岩、下地が水になった岩、逆に下地が出来た岩。
消滅した課題は残念だが仕方ない。
新しく引けそうな可能性はというと…
下地がいい悪いに関わらず片っ端から登っていたので特になかった。
ウラノメトリアとスーパークララは…
残念な事に下地は一部埋まり一部は川となった。
ただ、ホールドを観察したところ、ほぼ変化はないように見えた。重機も入っているので、傾斜がもしかしたら変わっているかもしれないが……。
随分長い時間、岩の前で休憩をした。
感じたのは、岩自体が存在してくれてよかったということ。
ここにある限りは、
また誰かが想いをよせる時、
きっと陸の上に現れることだろう。
私は奇跡的なタイミングで登れた。
きっとクライミングはそんなものだし、
再登者が出る時も似た感じになると思う。
この想いを共有出来るという事が嬉しい。
岩登りというものは本来そんなものだ。
岩登り…
自然のままを受け入れる。
話は逸れるが
初登があり、道となった岩を人為的に加工してしまえば、その道は途切れる。
今後その道で起きる予定の奇跡も途絶える。
強烈な努力を重ねた上で条件が整って起る奇跡…
自己都合で変化させられるようなものに奇跡は起きない。
強烈な努力を要す…
少なともウラノメトリアはその次元の一本だと自信を持って言える。
その次元の課題…先日久留米にて講習して頂いた室井氏の道筋が幾つか殺された。
そこにあり続けたら、初登者と同じ想いを共有出来たかもしれなかったのに、それはもう別の廃棄物となった。
それが私はとても悲しい。
話を戻す。
骨折した足を庇い、簡単なものをいくつか登る。
片足でもある程度は登れるが、不意落ちした時に左から着くと致命的なので、絶対に落ちない動きか、右足からちゃんと落ちれる動きを選択せねばならず、課題を選ぶのに難航した。
まぁとりあえずクライミングは出来だしたので良い。慎重過ぎかもしれないが、悪化だけはさせたくないので仕方がない。