開拓に振られ、物足りなかった夕方
皆に無理を言い乙女岩に付き合ってもらった。
狙うは乙女岩正面のproject。
狙うといっても感触の確認程度。
高さはそれなり、最近登った中ではそこまで際立った高さではない。
なら何故ここ何年と解決できていないのかというと……
ランディングがあまりよろしくない。
moveのめぼしはついているのだが、
いまいち踏ん切りがつかない。
数便かけて着地練習、高さとランディングに馴染ませる。
そしていざ一便突っ込む。
浅い窪みに指先をひっかけ、足場をあげて、リップへとデット…
したいが勢いをつける勇気なく、
届くところまで手を伸ばしてみることに…
苦しまみれに、明らかに戦力にならないであろうカンテを抑えようと試しみる。
ん???
重心が上がる、かかりがあった。
一旦降りることに。
次の便で突っ込むであろうことを考え
着地確認のため、備えて飛び降りる。
着地、かなり衝撃は強いがちゃんとランディングの良いところに落ちれたら大丈夫。
一旦上に回り込み、先ほどのかかりを確認する。
上からでは何もわからなかった。
とりあえず長いブラシを使い、表面についた苔を落とす努力はした。
少し休んで、仕留めに入る。
失敗=メンタル強打
どちらにせよ本日最終便であろう。
撮影を頼んだ。
完全なるイメージ、
その時間は実に短く、一瞬で終わった。
乙女岩正面 完登。
白虎
思えばえらく時間が掛かったものだ。
近くにはv12クラスが数本存在し、それらも年単位で打った。
が、白虎のトライ期間はそれら以上に様々な葛藤があった。
(更紗は除く)
それら葛藤も、登れる時は案外呆気ないものだ。
今や葛藤していた欠片ですら思い出せない。
登れるものは登っておかねば…
限界値を明らかに下回っている課題は、
どれだけ情熱を込めようとも、相応の応えはくれない。
登ってから暫く経ったが、いつもみたいに湧き上がるものはあまりない。
課題の巡り会いは一期一会である。
色々書いたが、それでも私はこの課題を長らく想っていた事実は消えない。
怪我をしなくてよかった。