絵を描くことは好き、
でもデザインは嫌いだった。
何となく工業に進んだ高校時代、
最初はデザインに進もうと思っていた。
説明会で出された翌日が提出期限の宿題。
内容は不透明水性絵具をつかってグラデーションを作るというもの。
本来は嫌いではない作業、ただmotivationが上がらなかった。
重い荷物を持って帰って、紙の上に定規を置いて絵具を付けた筆で線を並べる、それが信じられないほどの苦痛であった。
結局提出日の朝、フリーハンドで丁寧に線を引き15分程度で終わらせて提出。
過去のことながらこの行為は酷すぎるし残念な感じだ。
デザインはそれきり。
〜作業時間が20時間を超えた深夜、というより早朝、デザインから逃げた過去を思い出した。
8周年感謝祭先日、早朝からholdを全て外す。
正午前からセット開始、ノルマは35本。
セット経験があれば分かると思うが、正直しんどいノルマだ。
ただ、年に一回はこういうセットをやっとかないと駄目になりそうな気がして決意。
何よりも勝手知ってるこの環境は、自身の本来の底力が試せる気がした。
昼からパラパラと仲間が手伝いに来てくれた。
作業開始から15時間かった23:00、流石に遅いので仲間を帰し、単身作業に入る。
形は大まかに出来ていたが完成した課題数は15本。
ここからが本番だ。
翌日のopen、即ちイベント開始まで残り12時間。
普段は課題はもとより一つ一つのholdの機能性を考えながらセットする。
思えば普段、自分なりに意匠を凝らしていたのだろう。
今回はそんな余裕なかった。
開始前にまっさらな壁を見たとき脳裏に過ぎったイメージを、そのまま大胆に再現することに終始集中した。
朦朧とした中で思い出す。
デザインは嫌いだけど、絵を描くのは好きだったな……と。
テープ貼りなどの残務が終わったのは30:30。
もう早く寝たかった。
色々考えることをやめ、残り僅かな開店準備時間まで眠った。
そして無事open,沢山の人に来店頂いた。
その話は散々私やスタッフが書き尽くしたので今回は略そう。
課題に関しては評判が良かったと思う。
今回はキャンバスが大きすぎたことで、意匠を凝らすことを諦めたのが良かった。
他人、納期、コンセプトを微かに意識しつつ、
絵を描けたのだと思う。
一年分の経験を十分に発揮出来た。
…ただ、今後はこの感覚でのセットはやめよう。
今回はたまたま上手くいき、共感頂ける人が多かったから良かったものの、
課題は本来、意匠してつくることが基本なはずだ。
そしてどちらかというなら私は、システム作りや意匠の方が本来得意だ。
好きなことを好きなようにやらせてもらったこの環境に感謝するとともに、
今年も感性を磨ける環境に身を置きたい。
もしデザインに進んでいたら、また違うスキルが身についていたのだろうか。
まぁ、後悔など微塵もないが。