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ユートピアと心霊スポット

8/6 (mon)

静かな夜、
目的のラインは濡れていた。
仕事終わりで疲れた私には丁度良かったのかもしれない、諦める。
代わりに、随分前に登った課題のやさしいバリエーションをまったりとやった。

休んでる最中、ふと近くの岩での大昔の出来事を思い出す。


「錆びた斧を持った何者かが潜む廃墟」

当時(およそ15年前)snsなどない時代、インターネット上でそんな噂が流れた地元のとある場所。

その廃墟には、確かに柄の悪そうな若者がたむろしていた。
ただそんな若者たちも心霊スポットとしての噂が広がるにつれ、徐々にいなくなっていった。
好奇心旺盛な人らが訪れるその場所は彼らにとって居心地が悪くなったのか…
その廃墟の脇にあるとある岩、当時の私には丁度良い規模で執拗に通った。

荒い岩質は指皮をえぐり、良く流血した。常時首に巻いているタオルで止血。
道中はイバラがひどいので大柄の鉈を。背にはウレタンパッド。

朝こそ誰もいないが夕方帰ることには、それこそ柄の悪そうな若者たちとすれ違った。

岩があるのは廃墟の下。傾斜がきつく、彼らとタイミングがガチ合えば、道を占拠するその側を数往復する他ない。

だいぶ後になって気づいたのだが、彼らにとっては私こそ不審者だったのではないだろうか。

そんな廃墟も最近ついに取り壊されたようだ。


思い出すことが豊富にある我が故郷周辺…
適度にレストをとり疲れた体に鞭打って何とか登りきった。


ユートピア V9/10(2/3段)

被験者クラブデータ
気温26度/湿度85%/スタート染み出し
max:boost+V3
シューズ:フューリアS(前半ポケットにねじ込むには変形しやすいこいつが最適)

iPhoneから送信

河頭山にて

7月31日、午前中の1時間だけ河頭山。

アップ後、
15年ぶりということで微かな記憶を頼りに動く。
若干の遭難の後、ハーフドームエリア再奥に潜むそこそこでかい石にたどり着いた。

この石の明瞭な弱点となる右カンテこそ河頭山を代表する「ラウンドヘッドオーバー 1級/初段」。
1986年初登(柏木さん)というスーパークラシックながら、今をもそこそこの人気を誇る一本。

こいつをキヨにさせたかった。

岩の弱点を突いたラインではあるがポジションの組み立てがやや分かりにくい。
昔ながらのクライミングを要求されるが、一周まわって実は今風なのではないかと。

キヨのトライを眺めながら、その左ラインの可能性に気づく。
しっかりとかかるポケットが運良く三つ並んだ後は一切ホールドが見当たらない。

ラウンドヘッドオーバーのトップからふと左ラインの真上を除くとガバがあるではないか。
取り付きから再び見上げると、例のポケットから届きそうな位置にガバはあった。

キヨのレスト時間にマットをかりやってみると、
その位置まさにジャスト!!!

全てのホールドが意味のある配置に並んでいる。

実はこのライン、私もすっかり忘れていたのだが2002年のお披露目コンペ時の決勝課題となったprojectではないか。
そしてその際、大トリのクライマー(弓月さん)がランジをとめた瞬間、壮大に盛り上がったという。
なぜこんな大事な出来事を今の今まで忘れていたのだろうか。

右には繊細なポジショニングが要求される「ラウンドヘッドオーバー」 1級/初段
左には豪快なムービングが要求させるビッグジャンププロブレム

初登のドラマもさることながら、
これら二本は内容的にとても素晴らしい課題だと感じた。

と、その後多少の遅刻で通谷家と合流。

(被験者データ)
5級-初/二段既存課題
気温25度 /湿度85% /岩台風明けでビシャビシャ
Black(グシャグシャすぎて何やっても無駄な抵抗に感じチョークバックに入っていたもので)
Scarpa furies (慣らし)

キヨと岩とリツ

Joc(富山にて開催されるジュニアオリンピックカップ)前ということで、名目一応最終調整。
調整なので今更トレーニングではなく、本番練習。

キヨとリード壁へ!

…行く予定が

いやいや目的は小倉OD。
店が開く前に寄っただけです。

何よりキヨの兼ねてからの課題は下半身、
ここまできて河頭山の花崗岩を触らないのはもったいない!

てことで、面白そうなやつを選ばせバタバタ登る。

最近股関節に関連する動作はかなり進展していたのだが、
やはりつま先からの動作は荒く、繊細な足場を踏み下半身で動くとなるとまだまだ。。。

よってシビアなスメアが要求される場面では余計なダメージを受けたり、
最悪オンサイト率が落ちることが予想される。
コンペルートの下部では確実に際どいスメアが要求されるので、もうちょいって感じでjocまであと2週間もがきましょう!

持久トレ等の優先順位はその次かなと。

何にせよ楽しそうで何より。

と…遅れること1時間、
律と合流。

律に関しては仕上がり十分ですが、
(実は前日チェック済み)

ここ一番で出し切る勝負になったとき、少し不安要素あり。
とはいえ、どちらもjocあろうがなかろうがやるべき事は一緒なので頑張ってもらえたらなと思いながら、一緒にセッションしました。

月照らす夜の岩

発見当初、ここいらの岩は杉と藪に覆われていた。
それもこの春から人の手が入り出し岩は一気に抜き出しに。

聞くところによるともう少し作業は続くようなので邪魔にならない夜に登る事に。

7月前半のこと、閉店後に岩登り。

手頃に登れる奴を選ぼうと思ったが、どうしても象徴的なでかい岩のカンテが気になり掃除開始。
流石にデカすぎるのでロープを使って泥を落とす。

夜の作業はやはり怖い。
ざっくりやったところで取り付く。
想像以上に面白く、良い一夜が過ごせた。

側面も随分昔に登った気がするが、面白そうだったので再度。

この周辺にはまともな岩がもうない、
それが残念だ。

雨上がりで湿気が酷く、グレードがよくわからない。

気温22度/湿度85%/雨上がり(岩は水分を含む)
ベスト
シューズ:BD シャドウ
チョーク:React+v3

繊月の如く

2014年初登 「繊月の如く」再訪

激流の奇跡。
三日月状に抉られた壁の中、クライマーのみ通ることのできる一筋の道筋。


その壁に存在するのは一本のラインのみ。
それ以外は弱点はおろか可能性すら存在しない。
可能となるそのラインは完璧で、マントルを返すまでずっと一定の強度が続く。
高さも傾斜もあるので、後半部での足切れによる振られ落ちやマントル落ちは正直避けたい…。

下地は浅瀬、力量分だけ砂を運びマットを敷いて登ればいい。どれだけ埋めようとも一雨きたら、全て流される。

そんな環境もある種奇跡かもしれない。

二段が安定して登れれば問題ないだろうが、マントルは明瞭なホールドがなくかなりプレッシャーとなる。

今回は20分くらいかけて砂を運び、取り付きにマットを敷けるように。
上で落ちてもランディングは岩盤ではなく浅瀬だ、何とかなる。
実際は仲間共々落ちる事なく済んだ。
もちろんそれなりに準備万端に、意を決して。


2014年は色々もがいた。その中で出来た課題の中には、もしかしたらこのクオリティのやつが埋もれているかもしれない。

度々聞かれるオススメの課題…
真っ先に思い浮かぶのはどれかと考えたら、
大体の場合が実はこいつだった。

…ただ記憶も曖昧だし、2014年の忙しさの中で慌ただしく登ったこともあり無責任な事も言えないので口に出せずにいた。

改めてやってみて、記憶は確かだった。
気になる人は一足先に連絡もらえたらと思う。