「RockPath」カテゴリーアーカイブ

敗退の日々(通算26日目)

限界以上の登攀を臨むとはこういう事だったのか…。
OZroof projectのトライが通算26日を越えた。


当時からProjectをやるっていうスタイルは変わっていないが、ここ数年限界以上を求めることはほぼなく、現に4日以上打ち込む事が殆どなかった。

いつの頃からか…
確か生涯の目標であった絶望岩「常盤」や、生涯最高のラインと思われた(今は相当するクラスはいくつか登ったと思う。)ニライカナイを完成させたあたりだったと思う。

自己の限界を一本くらい登っておきたい、
そう思うようになった。
そこで着手したのが、昨年登れた玖珠川乙女岩の更紗であり、未だprojectのこいつである。

OZroof project

昨シーズンの終わり、繋げて初めて核心の一連に成功し後半のV10パート2手目で落ちた。
それは非常に上出来で、今シーズンは正直良くない。

12/1 day23
雨上がりで状態は全く良くないが、来たる時に備えて練習。多少湿気ていても一手一手は練習出来た。

12/8 day24
1便だけ核心突破し、V10パートの優しい一手で指先がすっぽ抜け落ちる。どちらにせよ限界であった。
ここまで到達してしまうともはや回復しなくなる。パート練習して終了。

12/18 day25
指皮が抉れた状態で行った。ここ数日回復に努めたがダメだった。案の定バラしすら出来ず。

12/21 day26
シューズを変えてみた。安河内カスタムVsr、トウフックがバチ効きしだす。

ここで問題が発生、トウの解除が出来ない。そこパート練習をひたすらやったがダメ。
結局シューズを戻して、トウが外れると同時に次のモーションに入るいつも通りのコーディネーションシーケンスを取り入れる事に。効きすぎて困る事があるとは……。シューズ自体は完璧だという事が確認された。。
確認で力尽き終了。


限界以上の事をやろうとする事。
身体や岩のコンディションを完璧に合わせないと挑戦すらできず、そこに気持ちを持って行かねばならない。

とてつもなく果てしない作業だ。

こんな事を繰り返し、通いつめ一本の課題を落とす。
今やこんなクライミングはみんなにとって当たり前になっているが、飽き性な私にとって正直かなり苦手な活動だ。

それでも今回まだ続けれるのは、そこに明確な動機があるからだろうか。
この動機が続くうちに登りきりたい。

気分転換でやるクールダウンで、どんどんバリエーション課題が増えていく……

写真は天道

竜体山ホールド欠損情報

先日、竜体山でホールド欠損しました。

場所は竜鳴岩、課題番号50 コツブの足元です。

コツブ V2のグレード自体は変化ありませんが、シビアなフットホールドを踏む技術を強いられるため、限界値であった利用者の方には多少影響するものだと思われます。
ただ、岩は人が登れば影響を受けるものですし、自然の中に人が入ればなんらかの変化は起きます。
それら全て受け入れての、野外活動だと思います。

ちなみにトラバース課題、鳴閃等はグレードがグレードなだけに変化なしと言っていいでしょう。

最近、人気の竜鳴岩ですが遊歩道沿いにあるため、開拓当初は控えていました。
一応ルールを作っての公開に踏み切りました。
今一度確認のほどよろしくお願いします。

※遊歩道沿いということでブラッシングの徹底と荷物置き等

快刀乱麻 三段

11月末、
仲間が見つけた岩に出向く。
その岩はとても美しかった。
岩を上下分けるかのごとく、中央に走るか細いクラックが特徴的だったので一刀両断岩と呼ぶことにした。

さてどこを登るか、弱点が見えない。ひとまず一刀両断クラックの上は中央に顕著なクラックがある。
そこを掃除することにした。土が詰まっていそうだったので、流石にロープを使う。
案の定、そこそこ時間がかかってしまったがそれなりに綺麗になった。
ホールドは見た目以上に悪い。もしかしたら上部は2級(このエリアは開拓者の希望により級段式)以上あるかもしれない。
落ちたくない高さだけに多少緊張は強いられるだろう。

夕方、下部をやる。
顕著な弱点がないので登れそうなところで離陸し、行き詰まってラインを変える。そんな作業を繰り返し、指の皮をズタズタにした。特に成果はなく、ラインすら分からないままこの岩を後に。

流石にこれだけだと不完全燃焼、移動しmagical slotの左のバリエーションをやるがキーホールドが濡れており苦戦。
敗退などしてられないとムキになってしまい帰るタイミングを失った。
日暮れまでかかったが、かろうじて登ることに成功。

大黒天 二段とした。
夕方見た光景に秋の終わりを感じた。

12月14日
一刀両断岩、どこをやろうか迷った。
前回中央周辺で痛い目にあったので右端から、一刀両断クラックを横断しようと試みるがそもそも出だしのランディングが悪すぎて、というより下地はなく落ちたらそのまま下の斜面に転がるの突っ込みきれず諦める。

結局、中央。

初手、真上にカチがある。前回と手順を変え左手で無理矢理出すことに。不可能と思ったその一手はすぐに成功し次、右の見えるガバまでランジ。
かなり遠い…とりあえず捨て身。

やりこむうちに渋い右足フットホールドに体重を掛けれるようになる。
徐々に到達高度も上がる。

とまった!
と思ったらまさかのガバではない!
そのまま無抵抗に落ちる。

唖然……ガバじゃないんか。

とはいえ動作も安定しだし、このトライで効きも分かった。数便でとまる気はした。
次の便、指の温度が上がりすぎて結露ですっぽ抜け。
暫く休み次の便、とらえることに成功。

あとはガンガン行きたいが足場が異常に悪い。
突っ込みきれず一手一手の時間がかかってしまいパンプ。
それでも行くしかないので、慎重に進む。

クラックパート、感覚が鈍っておりジャムが決めきれない。
迷っている暇はないのでガストン気味に効かせ最悪、指先の保持に保険を託し突っ込む。
かろうじて突破しリップにあった枯れた木に抱きつく。

結構やばかった。
久々に落ちる可能性を感じながら突っ込んだ。

今回は無事登りきれて良かったが、次ここを通る時はしっかりとイメージして行こうと反省。
名は 快刀乱麻 グレードは三段。

その後、指皮やられるまで左のラインを攻め撤収。

絶望岩、濡れたホールド

手帳を見返さねば、もはやいつの事かもわからない11月のある日。
鶴見岳へ。

目的はローカルクライマーの案内、
利用するにあたって気をつけてもらうと良い点などは、やはり口伝した方が想いも伝わると思ってやや遠いが行ってみた。

人の岩登りに関して、私が書くことではないので極力書かないようにしているのが、
個人的には楽しんでもらえたのではないかなと思っているし、気持ちの入った登りも見れたので良かったと思う。


私自身はリピートメイン。

登って見て思ったのが、グレードが多少ずれているということ。
2003年あたり、ようは10代の時に登ったのが特にあてにならない。
実家に長期滞在する時に一旦見直そう。

少しだけ絶望岩のprojectをやった。
相変わらずスタートとしているholdは濡れていた。
ここ5年、乾いているところを見たことがない。

いつ乾くのか、とりあえずその状態でやってみると思いのほか感触が良い。
これは常盤V12やエトピリカよりも登りやすいだろう。

問題はいつ乾くか…、もしくはこのまま登りきるしかないのか。
何にせよ、中央始まり中央突破のこのラインは登りたい。


わざわざこのために来るほどでもないが、帰省して暇が出来た時にでもやろう。


夕暮れに降り行くゴンドラを見て、昔を思い出した。
よくボロボロになりながらも今と同じ光景を見て、充実した1日の終わりを感じた。

あの頃よりも遥かに登攀能力は上がったし、
時間と労力の費やし方は上手くなった。
ただ熱の込め具合は如何なものか…

金華山の旅

11月22日、旅に出る。向かうは宮城。

元々は翌23日に行われる金華山復興支援イベントに参加する事が目的であったのだが、21日の夜、雨で中止という連絡をもらう。とはいえずっと気になっていた金華山、見るだけ見たいと思っていたところ、イベントの指揮をとっている特定非営利活動法人FAJの村上さんが案内してくれるという事で、ご厚意に甘えいざ決行することに。

※FAJはクライマーだからこそできる震災復興を目的とし活動している組織。

正午過ぎ、仙台にあるFAJの事務所にて村上さんと合流。そのままエリアのある石巻まで乗せて頂いた。私は旅に出る際、そもそも下調べなどほとんどしない。よって当日困ることが多く、それらに比べると今回は非常に楽させて頂き、もはやこの時点で感謝してもしきれない。
道中、石巻の話やエリアの話、震災や復興の話、活動の話などを聞かせて頂いた。

夕方、石巻に到着。震災の痕跡が見えた。
九州でも近年酷い災害が続き、復興まで膨大な時間を要する事はわかっていたが、やはりいざ目の当たりにすると、言い尽くせない感情が恐ろしい程湧いて出てくる。

感情を整理できぬままいると、牡鹿総合支所に着いた。どうやら支所長と打ち合わせらしい。私は待機するものだと勝手にぼっとしていたら、せっかくだからと声をかけて頂き、同行させて頂いた。そのまま復興応援隊(正式名称を忘却…とても素晴らしい活動をしているのに失礼。。。)の方々とも同席させて頂き、今後の復興ビジョンの中にクライミングが関わっている事を知った。
内容は私が書くことではないので省くが、私自身とても良い経験をすることが出来た。

支所からでるともはや陽がない。
「日暮れはや!そして暗!」
思わず口に出た。やはりここは九州ではない。

夜、おしかのれん街にて牡鹿名物を食す。何て美味しいのだろう、これはリピートしたい。

その後、民宿へ。ここで飲み過ぎ記憶をなくして初日を終える。

11月23日、起きて迷わずカーテンを開ける。
雨。
そのうち晴れてくれるだろう。美味しい朝食をいただきフェリー乗り場へ。
相変わらず雨は降っているがどうやらフェリーは出るらしく、金華山には行けるようだ。

船には比較的慣れていると思っていたが、とても揺れた。
なんだかフラフラする。
でもよくよく考えたら朝民宿を出るときも足がもつれた。これは船酔いなのか二日酔いなのか……。

〜そもそも私は何故金華山に興味が湧いたのだろうか。
宝島というどっかの島に転がる岩を登っている写真がとても美しく、いつか行ってみたいと思ったのは覚えている。
岩がある事は確実だが、課題の情報はほぼない島でのボルダリング、想像的でワクワクする。
縁あって去年の年末、旅先岡山でFAJのメンバーと出逢う事ができ、半年に一回のイベントを行っている事を知った。これは絶対に行きたいと思い、イベントがある日程が予めわかれば教えて欲しいとお願いし、今回の旅に至った訳だ。

昼前、島に着く。天気は雨。クライミングは諦めた。

エリアまでは遊歩道を歩いて行く訳だが、震災や度重なる台風の被害で荒れていた。どちらにせよ普段通っているどのエリアのアプローチよりははるかに歩きやすく、島の壮大なロケーションも相まって、飽きる事はないどころかとても気持ちが良かった。

エリアに着くが雨。
岩は手頃で面白そう。
色んなラインが出来そう。


我慢出来ずに結局登る。

完全に濡れた岩の登り方をはじめ忘れており、少し苦戦したが徐々に慣れて来た。
そんなところで時間切れ。岩に触れただけでも良かったと思うことにした。
少し急ぎ足でフェリー乗り場まで歩き、定刻、島を出た。

〜そもそもこのフェリー、実は観光用ではなく参拝用なのだ。ということで、週に2便しか出ておらずクライミングを行うのは上手く工夫せねばならない。
逆にいえば、750年の歴史を誇る黄金山神社が離島にも関わらず多くの人を呼ぶ。島に立ち、気づいたがこの壮大な環境は登らなくとも訪れるだけで価値はある。そこに歴史ある神社があるとすれば自然と興味も湧く。


帰りのフェリーで見た西の空には晴れ間が広がっていた。また来よう。

夜、ありがたい事にまたまた仙台まで送って頂き、ホテルにチェックインを済ませ、またまた仙台名物を食し就寝。

11月24日、遅めにホテルを出て、オススメのジムを聞いていたのでトレーニングを兼ねて出向く。
雰囲気は我が第2の故郷ボル天に似ており、懐かしくも私の居場所を感じた。
結局ボルダーしかしていないのだが、課題がとても丁寧に作られており楽しく登ることが出来た。

夕方の飛行機で仙台を発つ。


FAJ代表 村上様や仲間の皆様、この機会をサポートして頂いたミカさん、留守を守ってくれていたスタッフや常連方、本当にありがとうございました。