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常盤

2月、4連休が取れた。
どこかに行こうとも考えたが、イマイチピンとこない。
ということで、もう一度絶望岩と真剣に向き合うことに。
全く手応えを感じない今抱えているメインのprojectから逃げたいという気持ちも強かったのかもしれない。

〜絶望岩、それは一旦解決した。
18歳の頃よりトップアウトに憧れ、力の実る32歳までにやることを決め、2014年無事成功させたエトピリカというライン。
ただこの課題には続きがあった。

トップアウトしたものの、それはハングからは大きく逸れ、しかも背伸びでスタート。

18歳当時、見上げた時はこのラインしか見えなかったのだ。
エトピリカを登った時、カンテに逃げずハングを直登するラインが見えた。
ただそれはホールドと思われる地点を繋ぐと1手1手の距離がとても遠く、失敗したら大幅に振ら落ちる。
激しすぎるランディング…上部で落ちたとき、着地に成功する自信は全くない。

無意識に、次世代のラインだと諦めていた。

そもそも私の目標は達成されたので満足していたのだ。

2/13 4連休に入る前に可能性を予め偵察する事に。
天気は雨。
ホールドは見事に濡れていた。

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どうにもならないので作業、リップに回り込み上部を確認。
根と土を退かす。ここでホールドが悪ければ絶望的。
繋がるであろう真上にはホールドがなかった。
これで諦めはついたがどうせすることも無かったので、作業継続。
カンテと離れた右側に掛かるポイントを見つけた。
こいつを一回抑えれば、リップ奥のガバが狙えるかもしれない。
可能性があることはわかった。

とはいえ、ハング最後のホールドからは距離があり、さらには危険ポイントに突っ込むmoveとなるので気は進まない。とりあえず、連休は直登ではなくエトピリカのsdsをやることにした。

2/18 連休初日
雪解けでコンディションが心配されたが、かろうじてトライ出来る状態ではあった。
ただ氷柱が溶けた染み出しで下部はあまりコンディションが良くない。

とりあえず触りでハングのダイレクトをやってみることに。

エトピリカから、ハング中央にあるホールドを狙う。掛はどんなものなのか…。
数便で、足を残そうとしていては届かないことが分かった。
翌便からは足をきって狙う事に。
着地に慣れてきたところで捉える事に成功。
リップの例の掛かるポイントは…
足がシビアすぎ万が一のスリップが恐ろしく、思い切り行かざるえない距離であった。

とはいえ届くと判断。
カメラをまわし、仕留めに行く。

無事リップを捉えた。
少しだけマントルが悪かったが無事に完登。

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まさかこのハング直登を自ら初登するとは思わなかった。
こいつに出逢ってから、完登のイメージを抱いた事などなかったのでイマイチ実感がわかない。

頭の中にある絶望岩ではないものを登った気分。
納得というより消化できないまま、sdsのmoveを作る事にした。
ただ下部はまだ湿気ている。
中間部でのチョークアップは必須であった。
下部の強度は比較的強く、がっつり短強いボルダーチックな内容。
ガバなどないダメージを受け継ぐトラバースを経由しそのままダイレクトに入る。

回復出来ぬままのリスキーでダイナミックな2手は完全にメンタル勝負であった。

夕方まで攻めたが幾度も手が出せぬまま降り続ける事を繰り返し、この日を諦めた。
ただ、翌日は雨予報。
準備し直して来ることを決め撤収。

その日の夜、数分おきに天気予報をチェック。
その際、登りたいんだ という気持ちに気付いた。
そりゃそうであろう。
思い焦がれた岩の完璧なラインに王手がかかっているのだ。

漸くその意味が実感したその瞬間から突然緊張し始めた。
寝つきに悪いまま夜を過ごす。

2/19 早朝よりエリアに入る。
想定外の出来事が。

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氷柱が溶け、さらに染み出している。
下部はキーホールドの二つが壊滅的。
予報は午後から雨。
レーダーをチェックし直すと12:00までは何とか持つことが分かった。

ギリギリまで乾きを待つ事にし、その機に登ることを決めた。

上部で感覚を研ぎ澄ますために柔らかいシューズ、左はvxiを選定。
下部の右フックは濡れたコンディションのなかでも成功したvsを。

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時が経つにつれ、乾いてくる。
ただどうしても乾きそうにない箇所があったのでmoveを作り直す。
乾いているholdで何とかなる事が分かった。
これで準備完了。
強度はv12程度、条件は、ラスト2手で絶対安定体制を残せる余力を残す事。

今日はまだほぼフレッシュ、機さえ逃さねば登れる。
メンタル勝負。

12:00 まだ太陽は見える。
回復を待つ。

13:00 一面雲で覆われた。
やる事に。一登。

練習の成果、下部は完璧、チョークアップまで計算通り。
上部、何度やっても一手出す前は躊躇する。
3度までの躊躇をイメージしていたので3度目で飛び出し成功。

リップ取りmoveを変えており、力が残っていれば成功するシーケンスを。
もちろん残っている。

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完登。

絶望岩で最も強烈なラインが完成した。
そして私にとっても過去最高のクライミングが出来た。

プラスティッククライマーと呼ばれた過去、現に今でも傾斜のある面一のクライミングが得意な私のスタイルにもぴったり、そして環境は岩場の経験値を要求される、これまでの集大を成す機会を突然得た。

これ以上に難しい課題も残してきたが、こいつ程衝撃的な課題は過去に存在しない。
この課題は、今後是非とも多くの人にやってもらいたい。

それは幾年も先のクライマー達にも…。

名を 常盤 とする。
大分最大のデパートTokiwaからであるが、あえて不変な岩という意味の 常盤 という字を使わせて貰う。
グレードはv12。

雨が降るまで余韻に浸ろうと思ったが、1時間経っても降ってこない。
諦めて帰る。

随分高いところにある雲を見て、少し勿体なくなり、
高原で日暮れまで登って撤収。

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動画は常盤とゆふ山麓のボルダー。

業v12

本題のprojectの合間に始めた道筋。
それはほんの少し高さのある刺激的なボルダー。

12/6
トライ2日目の3便目を終えた。
核心のピークは中間部、膨らんだ形状の先にある、いわゆるブラインドのカチを狙う一手。
しかもホールドに段差があるため、一発で良いところを捉えるのは不可能に近い。

気持ち悪いままの保持で一瞬耐えねばならず、
ハイボール、そしてシビアな足と心理的に結構やられるやつである。

ただ、この3便目でようやく思い切ることができ、精神的に少し吹っ切れた。
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休憩して仕留めに入ることに。
カメラをとめに歩く。
その際中、石棚が崩れ、崩れた石に足が巻き込まれる。

そこまで痛みはなかったので休んだ後、4便目を。
シューズを履こうとした時、先ほど挟んだ指先に激痛が。

打撲か捻挫。
この日は諦めることに。

12/9 雨、岩には行けず。
時間があったので病院に行くことに。
触診では打撲だと言われたがレントゲンを撮ってみると、人差し指の螺旋骨折が分かった。
これで暫くトライは出来なくなった。

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2016/2/8
トライ再開、とはいえメインプロジェクトのついで。
シューズをまともに履け出してまだ一週間。
正直まだ早いかとも思ったが試しにやってみる。
着地がとんでもなく怖かったが、この日何とか大丈夫なことが分かった。

メンタル的にこいつに絞ってこないとダメだと判断し、敗退を決める。

2016/2/15
ちらつく雪が非常に鬱陶しかった。
核心の見えないカチのコンディションがずっと気がかりで…。

1便目、動作中にカチをとらえたが、着地に備えたため落ちる。
コンディションは大丈夫だ。

決めることに。

2便目以降は力み過ぎてか、下部をぬけれず。
4便目あたりだろうか、完璧に決まった。
核心の一手もきっちりと半がかりで捉え、シビアな足も残った。
止まったことに一瞬驚いて叫ぶ。

残す2mはとても緊張した、落ちたらまずい高さ。
いざとなれば後ろの木になっかかろうと思ったが、登っている最中はそれどころではなかった。

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無事に完登。

長かった。
あっさり登れると思っていたが様々なアクシデントに妨げられ、長引いた…。
だからこそ、この一登は非常に嬉しかった。
登れて純粋にここまで嬉しいのはいつぶりだろうか…。

業gou v12とする。

余った時間で川のprojectを登った。

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天道 v7

締めにメインプロジェクトの上部を打ったが気持ちが切れており全く駄目。
終了。

動画は前回登った黒猫と業、天道。

岩場三昧

2.7 sun
福岡メンバーと出発、現地でえつさんや久留米メンバーと合流しまずはアプローチ整備。
経緯はfbに書いたが、簡単に書くなら工事の都合で通れなくなったアプローチを一旦閉鎖して、旧アプローチを復旧することに。

ただ、現地はまさかの雪、無事着けたから良いが高速降りてからがやばかった。

雪の中どうするか迷ったがみんなやる気満々だったので、やる事に。

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人数が多かったので難なく終了。報告はfbにて。
ここは登れそうになかったので龍体に移動。
そこは北九州や福岡メンバーが暖をとりながらクライミング。
みんなで和やかに登った。

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2.8 mon
久々の晴れ、そして私自身久々の万全コンディション。何をしようか暫く悩んだが、本題projectの一本をやる事に。

1時間程度打ったが、可能性は感じなかった。ただ、11月には手も足も出なかったのが今回はまだ勝負にはなった。

次に移動し、ハイボールpを。
流石に攻めるほどのメンタルはまだなかったが、着地できることは確認できた。

夕方、まだ岩の上に立っていないことに気付き、狙う岩の強度を少しおとすことに。
前回登った真白き道の隣のダイレクトをグランドアップでやる。

下部は上手く繋がったが、上部があまりに汚く…ホールドを握ると土と埃で、弾かれる。
流石にこれはぶら下がって掃除せねば無理そうだ。

結局岩の上に行けず…

ナイトに突入し、無理やり一本登り終了。
黒猫 v8
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よく登った1日でした。

真白き道

本日、小雨の中、唯一取り付けるのはこの岩であった。

骨折したその場所、その時に…
その場の裏で、鬱蒼とした空間を広大な空間に変えるべく作業に勤しんだ仲間が居た。

壁の中の浮いた石もへばりついた蔦も、ロープを使い落としてくれた。
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私はその岩の挑戦権を、グランドアップという特別チケットで与えられた。

一本は初見、アンサンブル v4とし、もう一本は日暮れ前ギリギリに完成。左足の出力調整に手間取り、時間がかかった。

それは真白き道 v10とする。

アンサンブルは早く彼に紹介したい。

写真は真白き道
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動画

骨折から52日目、
ようやく普通に歩けるようになり、まともなクライミングが出来だした。
医者が言ったように安静にしていれば日常レベルの復帰は6週出会っただろう。
ただ、競技レベルの復帰は遅れていたと思う。

何の支障もなくクライミングのリハビリが可能になった今、ストレスは大幅に減った。

岩場復帰

1.28 thu 骨折53日目

いい加減岩に出れるだろうと思い出した頃に大雪。
雨予報だったが居ても立ってもいられず、岩へ向かう。

朝日が昇る前に出掛けたが、昇ったのかどうなのかもわからない天気。

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霧なのか雨なのか、どちらにせよ岩は濡れる。
目当ての、今期最大projectは雪解けの染み出しが厳しく断念。

エリアを移動、比較的雨に強いエリアへ。
針葉樹林帯ですらしっとり。

暫く打つが雨がひどくなりここも撤退。
昨年秋に取り付いた全天候型のルーフへ。

すると…まさかの染み出し。
降り続く雨には弱いのか、全天候型と思っていただけに残念。

前回、終わりに何と無く取り付いた側面をやる。そんなに強度はないがパズル要素が強そうな前傾した変則凹角。

核心と思っていた一手は抑えたが実はその後も極めて悪く、終日打つことに。

ただ悪天の影響で、そんなに長くは打てなかった。

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今回落としにかかっていたので、仕留めきれずに少しメンタルにきた。

核心が続くなら、見込みよりもうワンクラス上となるであろう。