「RockPath」カテゴリーアーカイブ

番外、奥の細道

5月に入る。

巨石探検道、まずはその地をより深く知ること。
園長さんの計らいで専門家に案内していただけることになった。色々と声をかけてくれ5月は食草の先生。その日が楽しみで仕方なかった。

5月13日  とうとうその日が来た、と書きたいところだけど…その日まで待てず。

ー 5月7日ー

雨続きでやりたい岩もできず。どうせならと思い切ってやってきた。朝には止むはずだった雨が正午前まで降り続いた。

巨石探検道はもう無理だ。前回見つけていた別エリア「奥の細道」の全容把握と歩きつつアプローチ整備を。

 


雨の影響でクライミングどころではなかったが被った岩の基部なら遊べた。リップ付近にガバが存在するものは登れると判断しいくつか登りきった。

桔梗 / 二段

夕方、手頃なサイズの中で最もやりたかった岩に向き合う。
実は昼過ぎにリップの泥だけ落としておいた。コンディションはギリギリ行けそうに見える。

上部を心配していた訳だけど下部が想像以上以上に悪く、森に光が届かなくなる寸前で下部を突破することができた。上部は警戒していた通りの悪さだったもののなんとか熟すことができた。

鬼の座 / 三段

この日にできた課題はどれも三つ星。

暗い森から出るとオレンジ色の空も紺色に染まりかけていた。
駐車場にて夕陽に染まりながら吹き抜ける風が気持ちよかった。

 

マリーゴールド low start 初登

雨が続く。
梅雨前に一度しっかり向き合いたい。感覚薄れぬよう。

5月9日 ー2日目ー

案の定湿気を感じ、マリーゴールドのランジの精度は50%ほど。下部も良くはないが意外と精度は悪くない。

来た以上、感覚を高めるためにも狙う。どうせ当分指皮もいらない。1トライごと全力で握る。

1トライ目、突然の勝機を焦って逃す。
下部を完璧な形で突破できマリーゴールドの一手を有効に出せた。驚きでキャッチが甘くなり機を逃してしまった。

チャンスはある。

2トライ目は力を抜きすぎ下部を突破できず。やっぱり易しくない。
3トライ目、4トライ目はランジで落ちた。
そもそも今日はマリーゴールドの精度自体が50%なのだから頑張っている方だ。

 


初手のポッケがエグく左薬指の関節が痛くなってきた。

5トライ目、初手が甘く入り必死に握り返したがその瞬間パキッたのを感じた。どうせ次はないので降りずにそのまま通す。案の定2手目も浅くなるが、ここをしっかり決めておかねばマリーゴールドの一手はでない。

3手目を成功させた後、右手を握り返し、いつも以上に姿勢を整えランジに入る。結果この一手間が良かったのだと思う。かつてないほどポケットがミート。

その後も落ちそうだったが必死に堪え右手がリップにかかった瞬間、心より安堵した。


マリーゴールド (low start)

 

綺麗な面のなか必要最小に空いた穴がまた美しさを引き立たせる。
トロイメライ以来の完璧なラインだと思う。

なのに全然実感が湧かない。
登れるまでは感動が保証された登攀になると思っていた。登れてしばらく待ったがずっといつもと変わらない時間が流れているだけだった。

どれだけ素晴らしい岩を登ったとしても感動するとは限らない。挑む過程で自信が感動を受け入れる準備をしていかねば何も起こらない。熱を込めれる対象に全力で熱を。

 


周辺をざっと整理し撤収。
岩もそこまで多くないので秋に軽くまとめて表に出したい。

*

ちなみにこの時痛めた左薬指は未だ痛く、6mmカチ以下のプレートは保持できない。秋までにはリハビリまで終えておきたい。

Mary gold1|マリーゴールドの季節

美しすぎる面一の壁、ラインなんて存在しないと思った。
近づき気付くポケットの存在。

ラインになっていたら奇跡だ。

***

2022年8月 延岡帰り

下部は無数にポッケが散らばっているが、上部はリップまで空いた穴はひとつ。
果たして…

「そのポケットまで到達できるのか?」
「そのポケットからリップまで届くのか?」

検証。

ポッケをランジで狙う。
勢いに上手く身体が乗ってきて距離が出る。

ポッケに指が入り可能だと確信した。
そして、背伸びスタートにて

[ マリーゴールド 三段 ]

*

同月、何日か通う。

パーフェクトラインへ道はそんなに甘くなかった。

可能だと見込んでいた下部が想像以上に悪く大苦戦。マリーゴールドへの一手までわずか3手ほどだがその全てが悪い。繋がる気配は微塵も感じられずその季節を終えた。

***

2024年 春が終わった。マリーゴールドの季節だ。
標高のあるこの地は4月からが良い。ベストとなる秋に向けて。

2024年4月11日ー初日

雨上がりで岩は湿気ていた。それでも感触は良くマリーゴールドのランジは7割方とまる。2年前、あれほど苦戦した下部もムーブごとの精度は100%近い。

狙えると感じたものの、自分も岩も万全ではなかったので次機へ。

巨石探検道Day2「舵を切る」

「舵を切る。自問、私の大義」

巨石探検道 day 2____________

2024年4月 生憎の雨。それも酷い雨。

「いつか0から面白いことを一緒にやりたいね」と話していたモリッシーと駐車場で合流し園長さんに挨拶に行く。

 

のち山に入る。

降り続く雨のせいで土も苔も酷い状態。モリッシーに聞くと
「ひとまずこのままやりたい」
というので私はそっと付き合った。

濡れてガバでも滑る岩、握ると水が溢れてくる苔、ずっしりとした黒い土

こんな状態で登ったのは初めてだとテンション爆上がりしていた。楽しそうでなによりかと。私は掃除。市の方々が万が一エリアに訪れても大丈夫なように枝を払ったり落ち葉を纏めたりと少しだけ綺麗にした。

正午

園長さんが市職員の方々と顔を合わせる機会を設けてくれた。10畳ほどの和室にあげてもらった瞬間モリッシーの様子が変わる。想定していなかった事態のようだ。

時間になり皆揃ったところで「ボルダリングとはなんぞや」という説明をする。リスクがある遊びに疑問点が多かったのかたくさん質問してもらえてむしろ有難かった。クライミングの説明を終えたところでモリッシーが話し出す。説明し忘れていたが実はモリッシー、パタゴニア福岡店の中の人なのだ。今後の活動も視野に入れて話を展開していた。


夕方、雨はやまない。さすがに岩は駄目だと諦め散歩に切り替えた。周囲一帯まわった頃には全身ビチャビチャ。戻ってすぐにシャワーを借りれるこの環境は素敵だ。


夕食を済ませ再びミーティング。

昼は、岩も道もピシャっと整備すると話をしたが、何かのきっかけで園長がポロッと
「岩に3種類の苔がいるんですよね」とこぼし、すかさず私はそれを拾った。

「そういうの詳しいですか?」

と返してしばらく話は続いたが内容までは覚えていない。ただ、この一言をきっかけに舵を真逆に切ることを決めた。

*

安全を理由に”過度”に環境を変化させることにずっと抵抗があった。

安全とは本来環境整備に尽力するものではなく、自身のスキルを磨くべきものなのではないだろうか?

そもそも私は何もせずそのまま登れるのなら、そのままにしておきたい。ただしエリアを公開するとなるとそうともいかずある程度は整備をする。(自分のクライミングとエリア管理との境界線が難しいし今後もきっと悩み続けるだろう。)

*

クライミングに限らず、
安全や管理を名目に環境に手を加えるのが当たり前になっているように思う。そして万全の環境が提供されないければ、それを不満に思う層も出現してきている。

 


私の大義
「手を加えずにすむならばその方がいい。手を加えるにしても”何を残すか”しっかりと選択をする。そしてその選択をしっかりと伝える努力をする。」

ではその選択の基準とは。

そこがずっと弱かった。だから踏み切れない部分もあった。「私はこのままで大丈夫」は整備の基準にならない。安全な方がいいに決まっているという多数決には勝てない。

 


選択の基準

土、苔、植物、生物(環境)、浮石

開拓活動に於いて選択する場面はあげだしたらキリがない。浮石なども全て排除はしない。利用者と情報共有し回避する方向が理想だ。そうすることにより、いやそうしていかないとクライマーがクライマーに育たないと思う。そういう選択の積み重ねが今後より一層大切になってくると思う

“何を残すか”

そのヒントが園長のこぼした
「岩に3種類の苔がいるんですよね」
だと直感した。

選択は私ひとりでするものではなく、その地の生態を知る人、その地の歴史を知る人、何よりその地で過ごす人々と一緒に決定していくもの。

「その地の風土をどう考えるか、何を選択していくか」

一緒に検討し色々なことを共有しながら活動を積み重ねていきたい。という思いをメンバーに伝えて就寝。翌日の大分市内での仕事に備えた。

Day3 へ…

石の人と巡る竜体

石の人、草野俊達さんと。

2024年4月

最近たびたび九州入りされている草野さんたちと竜体山へ。
思えば最初立ち寄ってくれたあの日から随分経っていたようで。印象が強すぎてそんな気がしていなかった。

虫が少し鬱陶しく緑濃くなりはじめた山中。それでも竜体山はまだ開けており多少過ごしやすい。

遊歩道を進みつつたまに脇の岩を登る。目的を持って九州入りされた草野さんにまったりと着いていき穏やかな時間を過ごす。

特に何を登るでもなく、だからといって登らないわけでもなく、談話もしたけれど何を話したか聞かれても覚えていないくらいまったりと。

良い時間でした。

#joywallrocknavi #竜体山ボルダー
#climbing #bouldering