「RockPath」カテゴリーアーカイブ

LonelyNightMagicSpell 初登

難しい岩を登れる季節が終わった。
それでも、ハードなクライミングがしたいという気持ちが強かった。

空白の4月、そして5月前半。
今年はこの季節に珍しく程よい気温が続き、岩を想う時間が長かった。

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5月25日
新たなprojectを探しに出る、来季のために。ついでに難しい岩に挑戦できればラッキーだ。

まず最初の狙いは玖珠川上釣のハイボール。過去一度だけやろうとするも、その時はランディングの悪さにビビリ突っ込めず。
今回はマットを二枚運び挑戦してみることに。

たるい棚にヒールで乗り込み、次の一手を探る。足がすっぽ抜けそうで怖い。ヒールが残って上半身から落ちるのも怖い。

前回やった際はmoveを起こし闇雲に次の一手を探ろうといたが、今回は明確なターゲットホールドを決めた。ひとまずリップ手前にカチが見えているのでそいつを狙うことに。

落ちたくない箇所の攻め方を学んだのだと思う。狙いを明確にすることで、目標とする動きや落ち方鮮明になる。すると、恐怖心も和らぐ。

試しにやってみた1便目、早くもその一手がとまった。リップへ。想像していたよりもたるい。一回降りることに。マットにジャンプする。衝撃は軽い。万が一ここで落ちても、大丈夫そうだ。

裏から周り、リップを掃除する。ホールドはないが、形状をうまく効かすことができると思った。しばらく休む。
その間にも気温はどんどん上がる。日差しも強く、岩は熱くなる。

はじめは秋に登れれば良いと考えていたが、目の前に登れそうな岩があれば、無意識に完登を意識する。
雲が出てきた。やる。

リップから先、形状がうまく効かすことができず少し焦ったが、何とか予定のmoveが決まり、無事にトップアウトに成功。早くも登れてしまった。

LonlyNightMagicSpell グレードはよくわからない。けれど間違いなく良い岩良いラインだと思う。

素晴らしい体験をすることはできたけど、秋の目標は見つからなかった。
時刻は15時。
時間はまだある、もう少し彷徨うことにした。

湯釣ルーフ 動画と課題とアクセス

先にアップした湯釣ルーフの登攀日記。
湯釣ルーフ周辺には特に良い岩はなく主だった課題は鬱金、ザクロ、ドグママグマの3本のみ。

それでも、ルーフのクライミングは面白く存在意義はあると思います。

湯釣ルーフの記憶 movie

ドグママグマv8
ザクロ v11
鬱金 v12

駐車位置等は既存のエリア、山側と同じです。
(メインエリアとなる山側のトポは昨年RockClimbing誌012で再公開。アクセス、エリア的に非クライマーと接触することはほぼほぼないと思います。平日であれば昼休み涼みにきた作業者に、駐車スペースで出会う可能性くらいかと)

誌面をチェックしてもらえたらと、さらに誌面購入してもらえたらとても嬉しいです!

湯釣上流のマニアックな情報については、以下リンクにて開拓協力金徴収のもと利用いただけたらと思います。こちらにもアクセス情報や課題情報、アプローチ、注意事項、鬱金のランディングについて記載しています。

湯釣上流ルーフ トポ

https://note.com/2020joywall/n/n2aa53bc11f20

安全に楽しんでもらえたら幸いです。

鬱金 v12/四段

今季(今となっては前季だけど)最大目標、RedNoah project。

3月に入りそれなりに通ったもののどうも勝負にならず、不完全燃焼に終わること度々。
そんな日は決まって天象ルーフに寄り、ずっと放置していたprojectをやった。

3月24日
高まる気温に終わりを感じ、今季のRedNoah挑戦を諦めることにした。

そしてターゲット変更。
まずは天象ルーフ側面。2015年時点ではまったく勝負にならず放置。

ザクロ v11(三/四段)

v11は幾分と前に到達していたグレードだけど、moveを解析する力や1手における突破力は今の方が遥かに良い。登れてみて思うは、過去もう少し頑張ればよかったのだと思う。


ちょこちょこやっていた天象のロースタート。

2015年初登の天象、ホールド欠損によりガバが出現し易しくなったわけだが、お陰でロースタートの可能性もうまれる。
メインprojectに見切りをつけたことだし、せっかくなので勝負してみようと。

最終チェックにmoveを確認。
すると…
キーホールドのガバが吹っ飛んだ。

相当難解なパズルを解きここまで仕上げたが、全て台無しだ。
妙なクロス、足送りのタイミング、しっくりこないジャム…
キーホールドがなくなったことで完成したはずの奇妙なパズルは跡形もなく崩れさった。

全てが台無しになり、次に出来上がったのは、パズルと呼べるような複雑なものではなく、完全なる真っ向勝。数度の足ブラをいかに耐えるか、かなりシンプルなシーケンス。

この日、繋げきれるほどの余力は残っていなかった。

4月6日 再訪
流石に体力あると全然感触が違った。moveを確認し、しばらくレスト。
そしていざ。

足ブラのフラレに耐えきれず…

川に落ちる。シューズがビシャビシャだ。実は5年前、天象をやった時も川に落ちた。その時の教訓が活き、フックの効くシューズをもう一足持ってきていた。

気を取り直して次の便、無事登りきることができた。

二度目の足ブラは結構ギリギリだった。むしろ前半ミスが続き、なぜ耐えれたかわからないくらいキツかった。後半パートもよく覚えておらず、
終始落ちるかもしれないと思いながら、川に落ちたくないなと思いながら前進。結果でいえば落ちることなく進むことができ岩の上へ。

鬱金 v12/四段

岩質はあまり良くないが、傾斜に見合った激しいmoveは極めて良い。ルーフ好きは是非トライしてもらえたらと。

一応この岩で登りたかった全てのラインが終わった。あと一本projectはあるがまたそのうちでよい。

湯釣上流に位置するルーフ
主要な課題はドグママグマ/ザクロ/鬱金の3本しかないが、どれも内容は濃いと思う。
アクセスと課題情報は次の記事にあげたい。

「ペインキラー」北部九州初期の二段の話

それまでももちろん、九州に二段はあった。
小川山や御岳、関西周辺で二段、もしくは三段を登ったクライマーもいた。
それでも「2005年」は記憶に残っている年。

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2005年4月
福岡のクライマー枝村さんによってペインキラー(二段)が初登される。
その後すぐ再び枝村さんにより糸島の海岸にて放浪カモメ(二段)が初登される。

九州ローカルによる二段の誕生
(これより前に伝説的クライマー外林氏により初登されたデッドマンウォーキングなどもあるが、それらはほとんどがv8なので実質は初/二段)

当時、枝村さんとほぼほぼ面識がなかったよう記憶している。むしろ当時の私はボルダリングの先駆者に「リードがしたいのでボルダリングはしません」などと平気で発言するような(私は記憶にない。。。)人間だったので、先駆者たちからすればあまり印象は良くなかったと思う。

それでも私は、枝村さんの記録をずっと見ていた。
中でも 放浪カモメ 二段 の記録は印象に残っている。もしかしたら明確に二段の初登を意識しだしたのは、これがきっかけだったのかもしれない。

同年秋
ルーさん(当時熊本在住)が祝子川にて「Stigma 二段」を
同時期、私(当時熊本にて学生)も尾平にて「風の子 二段」を初登した。

その後順調に二段というグレードが追加されていき、二段は九州のクライマーにとって馴染みあるグレードになったよう思う。

※2005年以前に登られたものの中にもホワイトラング(八面山 当時初段)など、いくつかおかしな初段もあり、以前からこの次元には到達しているように思う。

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ペインキラーと放浪カモメ

放浪カモメは縁あって 2014年6月、初登者である枝村さんに案内いただき登ることができた。
逆に、ペインキラーは見たことすらなかった。

ペインキラーのある脊振山には数度行ったことがあるのだけど、その時やった岩は全て山の上にあり、山の下にあるというペインキラーの存在すら認識していなかった。

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2019年冬、栗崎が先にペインキラーの前に立つも雨上がりでトライ出来ず。岩は凄くいいと聞いた。

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2020年5月
仲間ら数人と丁度タイミングがあった、ただし時間がない。どうするか話し合った結果、そこまで遠くないペインキラーへ向かうことに。

トライ出来ても1時間程度、半分敗退を覚悟して出向く。何せ放浪カモメは相当悪かった。

久留米から思った以上に近く、1時間半のトライを許された。岩はとても良い。フットホールドがどれも渋く解析も複雑で楽しげ。
moveがわかってきたところで感じたのは、身体にかかる強度は高さ、そして指皮を抉るかの如くホールド内に在る結晶のストレス。
これは厳しい、時間があったところで長時間のトライはできないだろう。悪名轟く理由がわかった気がした。

全moveができたところで時間わずか。気温の下がった秋に出直そうと、その日のためにmove練習。すると一番嫌な2手目の感触が良くなった。

指皮抉る覚悟で本気で狙うことに。多分一発勝負だろう。

しっかり登りきることができた。

初登後15年、何故か風の子を登った日の空気を思い出した。

当時の熱量を思い出せる課題、そうじゃない課題がある。
きっとこういう課題は思い出せる方に分類される。

トライを通じ、
課題生誕に全く関係ない人らにも、きっと熱量伝染することだろう。

コアなクライマーに是非ともやって欲しい。
強くそう思った。

腰付チョークバック「CB」

久留米かすり
その生地の美しさや性質に惚れ込んだのは昨年末。

じゃらし工房に依頼し粉袋ができたのが今年2月。

いつかは腰付チョークバックもつくりたいと思っていました。粉袋の現在,通算生産依頼数は約50、私なりに少し気持ちが落ち着いてきたので、これはもう着工時期かと……。

何気に形はあらかた決まっていました。そこでまずは紙で形作り、チェック後、布で依頼。いきなり良い線に辿り着き、いくつかの改良を経てプロトタイプ版が完成。

偶然だけど久留米かすり特有の手触りと心地よさ、柔らかさがここでもまた引き立ったように思います。

手が入りやすく
チョークアップしやすく

中の素材はチョークの劣化をなるべく抑えるため、ナイロン系の素材を。さらに、手がパンプし苦しく、チョークボールを握る余裕がないときにバック背面を叩いて済ますことを想定し、ひとつパーツを増やしました。

詳しくは書かないけど良い感じに仕上がっているように思います。

プロトタイプ完成。

入口が硬いタイプと柔らかいタイプを。
手入れを考えると更に剛性がほしい気がする。

とはいえ……逆に
この柔らかさはむしろかなりコンパクトになる、そして何より手触りが好き、久留米かすりの特性が引き立つのはこちらのバージョンではないかと……いうことでソフトタイプCBは一旦の完成形だと思っています。

こちらは今後いくつかパーツを変更し製品版へ。

剛性のあるバージョンは、構想を一気に変更しまたチャレンジしたいと思っています。

また今回のCBは通常メーカーのMサイズのもので手長(手首から指の先端までの長さ)17〜20cmあたりが心地よく感じるサイズです。今後SとLも考えています。今現在は特注にて作成依頼を受付ています。

★★★

現在(6月3日)Joywall baseにてひとつだけ在庫あり
興味を持っていただけたらぜひ♪
私の考える機能性以上に、久留米かすりの魅力は実際手に取ってもらえたら確実に伝染する!と思います。

Joywall base

ラス1CBはもちろん、腰付チョークバックにぴったりなブラシや、オリジナリティ豊かな腰紐を近々アップしたいと思います。

もちろん粉袋も!