「遠くの岩」カテゴリーアーカイブ

広島某所にてproject

10月24日
翌日より福山出張につき、前日入りし広島の岩に出向いた。
今回は大分のダイさんと。

目的は、前回稲垣さんに教えてもらったチョックストーンproject。
ここ半年何となく頭の片隅から離れなかった岩にようやく対峙できる。
どんなものなのか…
可能性はあるのか…
どれほど勝負になるのか…

10時より登山開始。
というのも目的の岩は山の8合目辺りにある。

途中、ココペリクライマーと合流しさらに登りつめ、1時間程度で到着。
相変わらずその岩はかっこよかった。

アップ不十分ながら、気持ちを抑えきれずに取り付く。
トライの合間に横のスラブを登る同志を眺める。

1時間程度、カチを握り込みへばりついては落ちる、そんなことを繰り返した。
登れはしなかったが満足した。
これは人類でも到達可能な域だ。

出直そう。
お日様も真上辺りに来たところで、広いハングのある岩を目指す。

一旦9合目まで登り南の谷の5合目あたりまで下る。

相変わらず立派なハングだ。

ここには前回私も面白く登らせてもらった既存の課題があり、
是非ともダイさんにやってもらいたくやってきた。
さらに言えば私も脇に引けそうな3本のラインが気になっていたので丁度良い。

いざホールドを観察すると…
どのラインも2〜3手分ホールドが濡れている。
諦めきれずに全てやったがどれも中途半端に攻めきれず…。
乾いているところを登ろうと試みてmoveをばらしたものの、ラインがかっこ悪い……。

潔くやめる。

ダイさんが登ったところで、不完全燃焼をはらすべく来た道を戻り!
再び最初の谷へ。
こんなアホな判断に付き合ってくれたダイさんに本当感謝。

日暮れまでしっかりと登ることが出来た。

翌日から始まるセットに備え、夜は福山市内に泊まる。

東京御岳社会見学

日本で最も有名な課題、御岳忍者返し1級。
1982年辺りに池田功氏により初登される。

私はこれまで、単にそこに岩があったから初登されたのだと思っていた。
最近発売された雑誌を読む限り、どうやらその見解は違ったようだ。

登山界においてフリークライミングがまだ評価されていない時代、
池田氏は谷川岳衝立岩にて、業界にフリークライミングの可能性を提示した。

その後開かれたのが御岳である。

この開拓は
自らのフリークライミングを追求するためだけになされたのではなく、業界のことを考えた強い意志があったようだ。
というのも、当時まだクライミングジムなんて存在しない。
クライミングを認知・浸透させるには東京からほど近くクライミングを行える場所が必要と考え開拓に入ったと、インタビュー記事に書かれていた。

30数年の歳月が流れ、いまやいかに…


さて、日記を綴ろう。
先月の東京出張の事。間隙を縫うように御岳へ。


エリア前のショップでマットをかりる、レンタル1000円。
マットなど販売されていない開拓当時からしたらどうなのだろう、流石にかの池田氏でもここまでは想像していなかったのではないだろうか。

快適な遊歩道を歩けば、そこはもう忍者返しの岩。

快適な……
この藪は越えない。越えればすぐに忍者返しの岩なのだろうけど……。
この藪は越えてはいけない、今日は開拓ではないんだから。

忍者返しに着く。少なめではあったがクライマーはいた。

気温35度を越えても、登りに来る物好きはいるものなんだな。
軽く挨拶をし、私も混ぜてもらう。

とりあえず忍者返し。久々のこの岩はよく滑る。

先客たちとは、後にも先にもそこまで話をしたわけではないが、
写真を見るとスポットに入ってくれていた。
もちろん声援などなかったので気づかなかった。

出だしで2回ほどスリップをした後に上部突入したので、不安に思い入ってくれたのであろう。
感謝しかない。

他の岩もちょこちょこと回ったがパラパラとクライマーはいた。
岩を登る気候を大幅に外したこの時期に、である。


利用者の多い御岳の岩、
この地での開拓が如何なる意志を持ってなされたか。
池田氏の意志を、
どれだけの人が知っているのであろう。

私も雑誌を読んだ程度であり、知っているとは言い難い。

知らずともその風景に溶け込み過ごす事は出来る。
ただ、開拓者の意志や経緯等情報を知ることで、
同じ風景の中に身をおいた時感じれる味わいは深みを増す。

3年前に見た情景とはまた変わり、
良い忍者返しと出逢うことが出来た。

目論見通り、いまや御岳はクライマーで賑わい溢れている。
私もその一人になった…と書きたいところだが、流石にこの日見たクライマーは10人以下でいまいち賑わいを想像できないまま。
また何年後かの秋にでも訪れたいものだ。

2時間程度しか滞在する事はできなかったが、目的の岩もいくつか登れ充実した時間を過ごすことが出来た。