ある程度、上部が悪い事は掃除した時点で分かっていた。
壁の中で硬直する、足下5m以上…
分かっていた、最後が悪い事は……
だから最後のガバをデッドで狙うポイントまで来たら、クライムダウンをしようと決めていたのだ。
しかし降りれない…
高さ8mのボルダー、
リップ手前、悪いホールドが3つ並んだ先にガバ。
少しづつ攻め、それらのホールドの掛りを確認した後に計画を立てようと決めた。
何便目かで核心の二つ目のカチまで到達した。
ヒールをかけ次のスローパーへ。
届いたはいいが極めて悪い、
次のガバもブラインドとなっており見えない。
やばい…
クライムダウン、そう思ったがヒールの解除が出来ない。
飛び降りようと思い、下を見るとかつて体験したことのない高さ…。
下部が簡単すぎ、高度に気付いていなかった。
そして安易に解除できないmoveを選定してしまった。
進むしかない。
〜〜〜
6月8日、竜体山。
初心者の案内をある程度見届けた後、秋にやろうと思った昇竜の岩へ。
相変わらずでかく傾斜もある。脆いのが難点だが、今日はロープを持ってきた。
この岩をはじめて見上げてもうすぐ10年…。
下から見上げる景色は変わらないが、ようやくイメージができるようになった。
早速整備に取り掛かる。
奥の松をメインに支点をつくる。手前の松は全く信用できないが、奥の松だけではロープが稼働しすぎふられて危ない。スリングの長さを調整しシステムを完成させ下降。
案の定結構な浮き石が存在した。
ひたすら落とし、残ったホールドで辛うじてラインになることは感じた。あとは実際moveを起こしてどうなるのか。
作業終わり頃、ロープがクラックにスタックしたので慌てて降りる。
ついでなのでロープを抜き、マットを敷いて早速トライすることにした。
move選定のためまずはホールド確認に便を出す。
数便のトライを重ね、核心最後のホールドが確認できた
が、降りれない。
moveはシンプル、
ただ、それはブラインドのガバを狙いにデット。
正直、大怪我は間逃れないと思った。
落ちないという自信、
なかったかと言われたら嘘になる。
ただ、100%の成功が確約されない動きをこの高さでしたことがない。
ガバがどんな状態で効くのかもわからなかった。
結果は、
特に何も問題はなかった。
思ったほど反動もつかず、ロックぎみに捉えることができ、そこからのマントルも非常に単純なもので何の感情も起きなかった。
岩の上で立つことはできなかった。
倒れこむように寝そべり、ただただ振り返る、
生涯で最もやばかった瞬間を不意に迎えこなしたことを……
少し経って冷静に何を成し遂げたのか考える。
このエリアの最初のprojectが終わったのだ。
が、特に何も湧き上がるものはなかった。
狙ってなかったからであろう。
こんな状態での完登ではグレードが全くわからないので、
上に残したシステムをリメイクしトップロープができる状態をつくった。
みんなにしてもらう。
幸い今回私以外にビレイできるメンバーがいたので私も再度登る。今度は紐付きで。
非常に快適で素晴らしい課題、
前半はやはり5.10、リップ前の5手とマントルがv7。
ようはあの高度で初段をこなすということ。
結論は
私のしたものはボルダリングではなく、フリーソロであった。
ロープの整備は明らかに必要であった。
それを考えるとスタイルは完璧であったが……。
今やるべきであったのだろうか。
答えが未だ出ていない………。
世去れ龍 v7(5.12) 初登