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快刀乱麻 三段

11月末、
仲間が見つけた岩に出向く。
その岩はとても美しかった。
岩を上下分けるかのごとく、中央に走るか細いクラックが特徴的だったので一刀両断岩と呼ぶことにした。

さてどこを登るか、弱点が見えない。ひとまず一刀両断クラックの上は中央に顕著なクラックがある。
そこを掃除することにした。土が詰まっていそうだったので、流石にロープを使う。
案の定、そこそこ時間がかかってしまったがそれなりに綺麗になった。
ホールドは見た目以上に悪い。もしかしたら上部は2級(このエリアは開拓者の希望により級段式)以上あるかもしれない。
落ちたくない高さだけに多少緊張は強いられるだろう。

夕方、下部をやる。
顕著な弱点がないので登れそうなところで離陸し、行き詰まってラインを変える。そんな作業を繰り返し、指の皮をズタズタにした。特に成果はなく、ラインすら分からないままこの岩を後に。

流石にこれだけだと不完全燃焼、移動しmagical slotの左のバリエーションをやるがキーホールドが濡れており苦戦。
敗退などしてられないとムキになってしまい帰るタイミングを失った。
日暮れまでかかったが、かろうじて登ることに成功。

大黒天 二段とした。
夕方見た光景に秋の終わりを感じた。

12月14日
一刀両断岩、どこをやろうか迷った。
前回中央周辺で痛い目にあったので右端から、一刀両断クラックを横断しようと試みるがそもそも出だしのランディングが悪すぎて、というより下地はなく落ちたらそのまま下の斜面に転がるの突っ込みきれず諦める。

結局、中央。

初手、真上にカチがある。前回と手順を変え左手で無理矢理出すことに。不可能と思ったその一手はすぐに成功し次、右の見えるガバまでランジ。
かなり遠い…とりあえず捨て身。

やりこむうちに渋い右足フットホールドに体重を掛けれるようになる。
徐々に到達高度も上がる。

とまった!
と思ったらまさかのガバではない!
そのまま無抵抗に落ちる。

唖然……ガバじゃないんか。

とはいえ動作も安定しだし、このトライで効きも分かった。数便でとまる気はした。
次の便、指の温度が上がりすぎて結露ですっぽ抜け。
暫く休み次の便、とらえることに成功。

あとはガンガン行きたいが足場が異常に悪い。
突っ込みきれず一手一手の時間がかかってしまいパンプ。
それでも行くしかないので、慎重に進む。

クラックパート、感覚が鈍っておりジャムが決めきれない。
迷っている暇はないのでガストン気味に効かせ最悪、指先の保持に保険を託し突っ込む。
かろうじて突破しリップにあった枯れた木に抱きつく。

結構やばかった。
久々に落ちる可能性を感じながら突っ込んだ。

今回は無事登りきれて良かったが、次ここを通る時はしっかりとイメージして行こうと反省。
名は 快刀乱麻 グレードは三段。

その後、指皮やられるまで左のラインを攻め撤収。

絶望岩、濡れたホールド

手帳を見返さねば、もはやいつの事かもわからない11月のある日。
鶴見岳へ。

目的はローカルクライマーの案内、
利用するにあたって気をつけてもらうと良い点などは、やはり口伝した方が想いも伝わると思ってやや遠いが行ってみた。

人の岩登りに関して、私が書くことではないので極力書かないようにしているのが、
個人的には楽しんでもらえたのではないかなと思っているし、気持ちの入った登りも見れたので良かったと思う。


私自身はリピートメイン。

登って見て思ったのが、グレードが多少ずれているということ。
2003年あたり、ようは10代の時に登ったのが特にあてにならない。
実家に長期滞在する時に一旦見直そう。

少しだけ絶望岩のprojectをやった。
相変わらずスタートとしているholdは濡れていた。
ここ5年、乾いているところを見たことがない。

いつ乾くのか、とりあえずその状態でやってみると思いのほか感触が良い。
これは常盤V12やエトピリカよりも登りやすいだろう。

問題はいつ乾くか…、もしくはこのまま登りきるしかないのか。
何にせよ、中央始まり中央突破のこのラインは登りたい。


わざわざこのために来るほどでもないが、帰省して暇が出来た時にでもやろう。


夕暮れに降り行くゴンドラを見て、昔を思い出した。
よくボロボロになりながらも今と同じ光景を見て、充実した1日の終わりを感じた。

あの頃よりも遥かに登攀能力は上がったし、
時間と労力の費やし方は上手くなった。
ただ熱の込め具合は如何なものか…

金華山の旅

11月22日、旅に出る。向かうは宮城。

元々は翌23日に行われる金華山復興支援イベントに参加する事が目的であったのだが、21日の夜、雨で中止という連絡をもらう。とはいえずっと気になっていた金華山、見るだけ見たいと思っていたところ、イベントの指揮をとっている特定非営利活動法人FAJの村上さんが案内してくれるという事で、ご厚意に甘えいざ決行することに。

※FAJはクライマーだからこそできる震災復興を目的とし活動している組織。

正午過ぎ、仙台にあるFAJの事務所にて村上さんと合流。そのままエリアのある石巻まで乗せて頂いた。私は旅に出る際、そもそも下調べなどほとんどしない。よって当日困ることが多く、それらに比べると今回は非常に楽させて頂き、もはやこの時点で感謝してもしきれない。
道中、石巻の話やエリアの話、震災や復興の話、活動の話などを聞かせて頂いた。

夕方、石巻に到着。震災の痕跡が見えた。
九州でも近年酷い災害が続き、復興まで膨大な時間を要する事はわかっていたが、やはりいざ目の当たりにすると、言い尽くせない感情が恐ろしい程湧いて出てくる。

感情を整理できぬままいると、牡鹿総合支所に着いた。どうやら支所長と打ち合わせらしい。私は待機するものだと勝手にぼっとしていたら、せっかくだからと声をかけて頂き、同行させて頂いた。そのまま復興応援隊(正式名称を忘却…とても素晴らしい活動をしているのに失礼。。。)の方々とも同席させて頂き、今後の復興ビジョンの中にクライミングが関わっている事を知った。
内容は私が書くことではないので省くが、私自身とても良い経験をすることが出来た。

支所からでるともはや陽がない。
「日暮れはや!そして暗!」
思わず口に出た。やはりここは九州ではない。

夜、おしかのれん街にて牡鹿名物を食す。何て美味しいのだろう、これはリピートしたい。

その後、民宿へ。ここで飲み過ぎ記憶をなくして初日を終える。

11月23日、起きて迷わずカーテンを開ける。
雨。
そのうち晴れてくれるだろう。美味しい朝食をいただきフェリー乗り場へ。
相変わらず雨は降っているがどうやらフェリーは出るらしく、金華山には行けるようだ。

船には比較的慣れていると思っていたが、とても揺れた。
なんだかフラフラする。
でもよくよく考えたら朝民宿を出るときも足がもつれた。これは船酔いなのか二日酔いなのか……。

〜そもそも私は何故金華山に興味が湧いたのだろうか。
宝島というどっかの島に転がる岩を登っている写真がとても美しく、いつか行ってみたいと思ったのは覚えている。
岩がある事は確実だが、課題の情報はほぼない島でのボルダリング、想像的でワクワクする。
縁あって去年の年末、旅先岡山でFAJのメンバーと出逢う事ができ、半年に一回のイベントを行っている事を知った。これは絶対に行きたいと思い、イベントがある日程が予めわかれば教えて欲しいとお願いし、今回の旅に至った訳だ。

昼前、島に着く。天気は雨。クライミングは諦めた。

エリアまでは遊歩道を歩いて行く訳だが、震災や度重なる台風の被害で荒れていた。どちらにせよ普段通っているどのエリアのアプローチよりははるかに歩きやすく、島の壮大なロケーションも相まって、飽きる事はないどころかとても気持ちが良かった。

エリアに着くが雨。
岩は手頃で面白そう。
色んなラインが出来そう。


我慢出来ずに結局登る。

完全に濡れた岩の登り方をはじめ忘れており、少し苦戦したが徐々に慣れて来た。
そんなところで時間切れ。岩に触れただけでも良かったと思うことにした。
少し急ぎ足でフェリー乗り場まで歩き、定刻、島を出た。

〜そもそもこのフェリー、実は観光用ではなく参拝用なのだ。ということで、週に2便しか出ておらずクライミングを行うのは上手く工夫せねばならない。
逆にいえば、750年の歴史を誇る黄金山神社が離島にも関わらず多くの人を呼ぶ。島に立ち、気づいたがこの壮大な環境は登らなくとも訪れるだけで価値はある。そこに歴史ある神社があるとすれば自然と興味も湧く。


帰りのフェリーで見た西の空には晴れ間が広がっていた。また来よう。

夜、ありがたい事にまたまた仙台まで送って頂き、ホテルにチェックインを済ませ、またまた仙台名物を食し就寝。

11月24日、遅めにホテルを出て、オススメのジムを聞いていたのでトレーニングを兼ねて出向く。
雰囲気は我が第2の故郷ボル天に似ており、懐かしくも私の居場所を感じた。
結局ボルダーしかしていないのだが、課題がとても丁寧に作られており楽しく登ることが出来た。

夕方の飛行機で仙台を発つ。


FAJ代表 村上様や仲間の皆様、この機会をサポートして頂いたミカさん、留守を守ってくれていたスタッフや常連方、本当にありがとうございました。

龍体山遊歩道エリア 報告11/28

先週、龍体山遊歩道エリアにてクライミング中に事故があり、ドクターヘリが出動する事態となっておりました。その事態は地方局のテレビニュースにもなりました。
緊急事態であるので、先にsnsに投稿し呼びかけました。一旦は落ち着きましたので、一連の流れを記載したいと思います。

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11/23(祝) 昼過ぎ、エリアのある地区の消防の方より連絡があり、事態を知る。私は出張中で近くにはいない状況。その日の日中に、九州各地区の知人が動いてくれていたようで情報をもらうが、肝心のその場にいた人達からの連絡はなかった。これは長引くと判断し、その日の夜、snsにて状況報告。

〜以下転記 11/23(木) 22:54

龍体山遊歩道エリア連絡
良い季節ですがお願いです。本日事故がありドクターヘリ出動があったようです。縁あって有難いことにすぐに日田の地元消防の方から連絡を頂き、救急の状況を知ることが出来ました。
ただ、地方ニュースにも乗るほどの重大事故となりますので、今後の管理や連携、報告書のまとめ等もございますので情報収集や協力依頼等少しだけ時間を頂きたく思います。
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野外においてのクライミングはやはりスポーツと言い切れるほどルールや規則の原則化が成されておらず、私自身は一定の冒険行為は容認されるべきだと思うので、リスクは背負うものだと思います。それがわかっての怪我は仕方がないことだとは思いますがそのリスクを最低限まで抑える責任も伴うものだと思いますので、この期間が一旦皆様も考える機会になると幸いかなとも思います。
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クライマー側の情報がまだ揃っておらず、情報が揃うまで龍体山のクライミングを自粛して頂けるとありがたく思います。禁止ではなくあくまで自粛依頼ですのでそれをどう捉えるかは本人の判断にお任せいたします。
素早く判断頂いた消防の方、動いてくれた方にはうちらクライマー一同感謝しております。

酒が入っており多少文章がおかしいかと思いますがご了承くださいませ。ただ今仙台にいるので現状把握が出来ません。帰り次第各所に出向きたいと思います。

追伸、ちなみにニュースはかなりクライミングに対しては好意的で注意喚起を呼びかけてくれております。これも駆けつけてくれた消防の方や関連各所の人柄によるものだと思います。私自身は感謝の一言に尽きます。何にせよ事故状況が分からぬ状態なので暫しお待ちください。


翌11/24 偶然居合わせた方から、薄っすらと状況報告の連絡は頂いたが確証がないため、事態は進展せず。その後、福岡地区のジムオーナーが動いてくれていたようで、事故発生から3日(11/26 )、あらかた状況は把握する事が出来た。その夜の記事

〜以下転記 11/26(日) 23:12

龍体山遊歩道エリア連絡
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はじめに、今回の自粛は怪我が起きた事が原因ではありません。その後の処置や対策を講じる期間という意味での自粛です。今回はかなり苦戦しました。
原因は、状況を知るメンバーからの聴取に時間が掛かったこと。特定に福岡県下のジムオーナーが動いてくれていました。ようやく来た連絡も不確かなもので情報の確証は得られず。
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その後も関係各位それぞれ勝手に動いてくれ…
その中で、わかっていた事実の中に、虚言が混ざっていた事が発覚。これでようやく事態は終結へと向かえます……
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思うのは、もっと早く解決できたのではないか、その一点に尽きます。
クライマーの上層各所連携が見られた事は嬉しい事なのですが、その反面、末梢まで連携が行き届いていない事実も浮き彫りになり……
機能していないジムなり組織があるということ。別にそれはそれで他に迷惑をかけねばいいのけれど、正直、今回は迷惑を被りました。残念で仕方ありません。
(関係一部に直接連絡し聞いた限り、今回のケースはいつもと少し違い、所属と利用が多少異なり少しややっこしいようだが。)
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というわけで長らく時間を頂きましたが、事態の把握は出来ましたので、こちら内側のまとめを来週末を目処に行い、平常通りの状態に戻したいと思います。ここに至るまで少しごっちゃ返してしまい、公に出来ない事情もございますのでネット上での報告は以上をもって控えさせて頂こうと思います。
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我が愛すべきエリアよ……悲しい。


必要以上に大ごとになってしまったこの事態、この原因をできる限り根絶すべく、また事故事態は防げなかったのかも合わせ検討・対処せねばなりませんので、もう暫くすべき事はありますが、ここまでを今回の報告としたいと思います。

般若初登までの話

2017年夏のとある日、子どもらが登った岩を通谷氏が紹介してくれた。
事前に写真を見ていたのだが、岩はこじんまりしているものの質は良さげで夏の良い気分転換になりそうだと踏んでいた。

実際、子どもらにより適度に面白い6級から4級までがすでに充実。
その日のうちに二段まで追加。

程よいエリアで目論見通り良い気分転換になった。

これで十分満足だったのだが、気になることが一つ。
入口にどう考えてもシンボルであろう巨石が佇んでいる。

果たしてこれは登攀対象になるんだろうか。
好奇心でその日のうちに少しだけトライ。

結果は微妙なところ。
でも登れなくとも存在自体が美しい。

夏も終わりに近づき、通谷氏と周辺の岩の整備や課題のすり合わせに何度か訪れる。

聞けば掃除にかなりの時間を費やしているようで、本当に有難く思った

11月初め、季節は変われどやることは変わらず、通谷氏と話したり登ったり。
昼過ぎ、通谷氏は帰っていった。
私はとりあえず、またシンボルをやってみることに。

いざじっくり見てみると何故か濡れている。

仕方ないので周辺整備することに。
そうこうしていると下部は何とか触れそうなコンディションだという事に気付いた。

とりあえずやる。
花崗岩、相変わらず下部からシビアでスリップしまくるが何とか核心部であろう中間部に突入。
夏明けに核心部入口のヒールはマスターしていたのでそこから。

次の顕著なホールドまでかなり距離がある。
とりあえず安定して手を離せるポジションを探すべく、何度もあがり爪先で花崗岩の表面をズリズリするがどこもここもどうも合わない。

着地で足もよれるのであんまり長くはトライできないが、アンダー状フレークにジャムが決まることを発見。
しかもジャムの掛かりがとてもシビアで外れやすい。逆を言えば解除しやすいので、足からしっかりと落ちれる。ハイボールをやるには大切な事の一つ。
これで行こうと決めた。


安定して手を離せるポジションをものの、そこから次のホールドはかなり遠い。
さてどうしたものか…撤収。

11月13日
本格的にやることを決めた初日、心の準備は万端だ。
岩の前に立つ。

今日は岩が小さく思えた。
はたしてどうか、いざトライ。

前回発見したジャムポイントまでは安定していける。次の一手はやはり遠い。

手を出して大丈夫か、とりあえず手を出して落ちる。
無事着地、衝撃は想定内。登れる気配はまだない。

次の便、取りに行く動作を起こす。落下、無事着地。
ジャムが外れる反動で右に振られる。想定内、マット十分。

次の便、狙いの行く。距離が全く足りない。落下、無事着地。
動作前に溜めがいる。左足はジャムでロック状態なので、溜めれるとすれば右足のスメア。シューズを剛性のあるものに変えた。

次の便、狙いに。距離は出た、そして届いたがとらえきれず落下。
思った以上に右に振られる。ギリギリマット内……。

マットを敷きかえる。
ここまで攻めて大丈夫だということは、もはや大丈夫だ。

これで落下を容認、ある種悟った気がした。

そして次の便、問題の一手をしっかりととらえる。

その後、足場がない。
普段ならじっくり考えたいところだが、さくっと決めて次の一手に備える。

次の一手はリップ、そのリップまで距離があることは予想していた。
足が想像以上に悪い。
慌てたいところだが、そんな状況じゃない。

そして足を必要以上に固めて手を出す。

核心自体は手前の一手だったが、
私のクライミング的にはこの一手をさっくり出せたことが嬉しかった。
リップをとらえる、そして岩の上に。

登れたのだ。

動画

名を般若とする。
グレードは通谷氏の意向に沿って級段でつけようと思うが悩む。
掃除に数度、ロープにぶら下がったもののmoveは殆ど起こしていない。どれくらいの強度だったのだろうか。tiamatに比べればグレード二つ分くらい難しい気もするが、これまで登ったハイボールに比べれば少し易しいだろう。
ざっくりとだが、今のところ一応三/四段としておきたい。

その後、周辺を少し登り撤収。