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山、川、岩、水ぽちゃ。

昨日のこと。

山を歩き、濡れた岩を見て
川を歩き、対岸に魅了的な岩を見た。

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あいつは4mはあるハングに違いない。
これは行くしかないぞと決意し、即移動。

対岸の上を走る道を進んだが、近くに車を停める場所がなく目的の岩を大幅に行き過ぎた広い路肩に駐車。

まずは川に降りるべく、ジャンプ。
一段下までは降りれた。
しかし悪路、側溝の脇を平均台が如く渡る。
苔の生えたそれはいつ滑ってもおかしくない風貌。しかも落ちると方や崖で方や深そうな水路。

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100m程進んだだろうか、蛇が水路を悠々と泳いでおり、こちらへ向かってくる。
仕方なく崖の下に見えた砂場に飛び降りる。
着地成功。
藪漕ぎをして目的の岩に着くと、そいつはとてつもなくショボかった。
3mの下が少しだけかぶった垂壁。

二度と来るものか精神、スニーカーで本気で打ち込み登ることに成功。v4。

帰る。
帰りはあの水路脇をたどりたくなかったので人工物の側壁を突破することにした。

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白のプラスチック製の水の吹き出し口をたどる。
最初はやさしい。しかしこれは罠であった。
リップまでが異常に遠い。
落ちれば水路、深いんだろうか……。
携帯あるし落ちたくはない。
ただ、回りたくもないので意を決して飛ぼうと反動をつけたそのとき、右足の白いやつがピキッと音をたてる。

ダメだ。。

降りる。
水路の脇の平均台に跳ぶ。
無事着地成功。
よくよく思えばかなり集中できていた。上出来であろう。

その後、手前の木を登り、そこから道にジャンプした。

夕方、ふと思う。
岩をまともに登っていない。
日暮れ寸前ではあったが、前見つけていた近くの岩に取り付く。

1時間かけ、だいたいのmoveが出来る。
繋げ一便目、見事に川に落ちる……。

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その後、登れた。
デビルズタングV10。

すぐさま撤収。
ちゃんと岩には登ったが、そんなことどうでもよく思えるほど色んなことを感じた1日であった。

ウーパールーパー5.13の記録

最近、北部九州の開拓者武下さんと会う度に話題に上る岩があった。
それはサラマンダーの岩。
傾斜130度、高さは8m。
サラマンダーはその中央を走る弱点に沿ったラインで、
2005年武下さんがボルトを打つ、その後初登させてもらった。

去年あたりから話題にのぼり、私もサラマンダーの右に可能性がありそうな気がしたので、なんとなくボルダースタイルで取り付きはしたが、感触は良くなかった。

今年春、ボルトを打ったと連絡を受けた。
トライしていいか確認、快諾頂いた。
とはいえ、前回のボルダーでのトライのイメージが悪すぎ、無意識に可能性を放棄していたのであろう。
暫く放置、時過ぎた4月10日のトライ開始。
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ブランクと感じていたパートも、ギリギリの位置にホールドは存在した。
リードルートにしてはホールドが悪く、動きの精度が求められる。
ブラインドのカチ狙いや、抜きの悪いホールドにデッドなど、ただ距離を出せばいいってものではなくコントロール系の運動シーケンスが続く。
素晴らしいことに終始動きに強度があり、私のクライミングスタイルにぴったりであった。
1便目でmoveはばれた。
問題は気温。やはり外傾したカチを握るには暑すぎる。

3便目、4ピン目前のこと、ぬめっているにも関わらずそのまま捨て身ランジを決行。
案の定落ちたが、モーションなく不用意にとんだためグランドフォール。
ニライカナイ等に比べ、やばくはないので無事無傷。
とはいえメンタルをやられ、この日は敗退。
心理的に道具に頼ったクライミングをしてしまったことに反省。
事故は自身の心理状態が招く。

5月22日
日曜日休みだったことを思い出し、急遽武下さんに連絡。
時間を合わせ、突入。
予報の最高気温は28度、流石に厳しい。
2便目勝負だと予測。

時間より少し早く着いたので、move確認とヌンチャク掛け。ビレイ2回目のテラコに頼む。
もちろん突っ込めないがとりあえず十分な役割を果たしてくれた。
暫く休み、武下さんたちも到着。

気温は予想より早く上がってきたが、ダメ元で2便目。
登るつもりでいたが、指先の踏ん張りが利かず3ピン目後のカンテ出しの一手で落ちる。
確かに核心ど真ん中ではあるが、ここで落ちていたら勝負にならない。

もう少し早い時期に来ていればよかったと、マイナスの感情が芽生える。

暫く休む。気温は更に2-3度増した。
とりあえず核心前の足位置に多少違和感があったのでいじることに。確認する余裕がないのでぶっつけ本番で。ついでに前半も一つmoveを変える。

3便目、カンテどりは相変わらず動きの前に変な詰まりはあったが辛うじて捉えた。
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グランドした次の一手、安定姿勢を探してデッド。成功。
渋いフックでクリップ。このフック外れたらグランドだなぁなんて思いながらであったが案外冷静であった。
高さ慣れだろうか。
核心は終わった、そう思っていたがその2手後のスロットのガバどりでロックする余裕がなかった。
指先のスリップ落ちを恐れるあまり、力が入りすぎていたのだろう。
成功率7割のデットになってしまった……。

無事捉えていたから良いものの、ボルダーであったらメンタルをやられていただろう。

その後は少しわかりにくいリップ付近のmoveをこなしトップアウト。
トップアウト出来るルートは全てトップアウトして初登することを信条としている。

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岩の上に上がる。ロープを解き、ドロドロになりながら裏から岩の下に降りた。

開拓者命名、ウーパールーパー5.13

ボルダー要素満載のこのルートであるが、ボルトルートとしたことで人気は出るであろう。
(早く表に出せるよう頑張ろう。)

無事、完登してからは周辺のトライと整備。
側面の泥落としが最大の核心かもしれない。
秋口数発で終わらせて、表に出そう。

駐車スペースが限られていることやシビアな条件もありネットや紙面公開できないのが残念だ。
何にせよまずは周辺整備。

お付き合い頂いた方、そして武下さんに絶大な感謝。

岩、近況。

4月日時不明

天気は曇り、午後から雨予報。
とりあえず短時間で決着が付けれそうなハクの左面をやる。中間部のフレークまで行けば何とかなりそうな気がしたが、上部があまりに汚いので仕方なくロープぶら下がりにて苔落し。

ホールドを確認したくなかったのででかいデッキブラシで適当に落し完了。
ただ、リップにまわりこむまでの蔦が酷く、掃除に1時間近く費やしてしまった。
下部をやる。案の定中間部のフレークにたどり着けない。発想を切り替え、右のカンテを巻き込むとすぐに解決。
フレークからは簡単だと読んでいたが、その先、棚状のスローパーに行くまでのブランクが想定より長い。デットでその棚に届くと思ったが、明らかなるランジ…
流石に飛びたくない高さ、渋々ホールドを探りカチを見つけた。一旦とび下りて仕切り直し、次の便でトップアウト。

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白龍 V8

トライ中から雨がぱらつき始めていたこともあり、潔く撤収。

5月12日
目的の岩はどいつも濡れていた。仕方なく岩を探すがめぼしい岩は無し。
登れぬまま帰るのも癪なので、大移動し過去に手をつけた出来そうな岩を探す。

夕方、とりあえず見つけた。
一本づつ登り終了。

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5月19日
仲間のやりたいprojectのある山中へ。
珍しく乾いている。
とりあえずアップで垂壁のハイボールをやっていたが、どうやらアップではなかった模様。半日かけて登っていた。
私もその後、取り付く。
垂壁に見えて内容はドスラブ、途中でマントルを返してまたスラブという何とも渋いハイボールであった。
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インピンジメント V5

ちなみにその後、私は4本のproject全てで一手目敗退を味わう。よってクライミングしたといえるのはこの一本のみ。
店番があるので私は先に帰ったが、その後も
仲間はprojectをトライし続け、どうやら兆しが見えたらしい。

大分にて、二つのイベント

先週末は実家大分で過ごした。
詰め込みすぎたスケジュールで岩には行けなかったがそれでも得るものは沢山あった。

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5/14 クライミングジムダイブにてイベント。
幾つか私もセットした。
得意な強度系の課題は、セッター陣を見る限り必要なさそうであったのでコーディネーション特化と変則ポジショニングのセットに尽力。後は一応時間確保用にベーシックスクールのセットとランジのレッスン課題を作ったが、イベントもスピーディに進み埋蔵。

イベントはスタートから終わりまでエネルギッシュに進行。

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常連たちの仲の良さを感じた。どこか懐かしい雰囲気、うちもジム始めたての頃のプチコンはこんな感じだったかな。
イベント終了後、というより閉店間際、少しだけレッスンして1日を終えた。

5/15 大洲リード壁イベント
これまた運営側で参加。
昨日のメンバーとはまたガラッと変わる。他にも大分には精力的なメンバーが存在することを知っているだけに、裾野の広さを感じた。
イベントのカテゴリは高校生(中3含有)男子、女子、大人男性、大人女性、4つに分けられる。

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少女は今後の可能性を感じた。

次にオープン参加に小学生がひとり。良い登りをしていた。心技体それぞれの成長を期待する。

少男は、上の世代が目立ちすぎ彼らの噂をあまり聞かなかったのでどんなものかと思って見ていた。
登りを見て、私は安心した。
この子らも3年間頑張ってきたことは、登りや身体つきを見て感じ取れた。
技術習得の機会がなかっただけで、真面目に続けてきたことは感じ取れた。
私はそれだけで嬉しい、今後もクライミングを続けてくれたらより嬉しい。

成女、順当ではあるがまだまだ県としての伸び代は感じた。

成男、ひとり飛び抜けてるのはもういいとして、2人の勝負。2人は対照的で、ひとりは時間オーバー、もうひとりはテンポが狂いフォール。偶然にも同じ位置であった。
決勝は2人ともルートの構成を完全に読みきれず、躊躇の中進み、一手差で決着がついた。

ちなみに残りのひとりは言わずもがな両ルート、淀みなく完登。
おかげで完璧な作品となった。

終了後、沢山の人と話せて良かった。

夕方、大分の重鎮開拓者も含め渋い温泉の一角で夕食を頂いた。

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アルコールなしに濃すぎる会話はとても痺れたが、この素晴らしい空間に感謝。
予想以上に充実した日々を過ごせた。
久留米に帰る。

ニライカナイ

4月16日
奇しくもこの日、生涯最高のクライミングが出来た。

3月中旬、それは偶然の出会いであった。
天気は曇、光がない方が森の中は鮮明になる。
道中、仲間が見つけたそいつはとてつもない存在感を醸し出していた。

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一目惚れだった。
巨大なハング、微かに見えるホールド。
成るか、私に為せるか。
それが不鮮明なところがまた唆る。

3月28日 / 4月3日
考えた末、ひとつの妥協をした。
後になって思えば、その妥協は私にとってはとても重大なことだということに気付いた。

その妥協とは、二日間に及ぶロープを使っての整備。
中間部の明らかに浮いたフレークを落とした。
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それだけに留まらずロープを使ってのホールド確認、そしてラインの確認。

最初に可能性を見た右カンテに向かうラインは、顕著なスローパーからカンテに出る一手が距離的に不可能だということが分かった。
次に左に向かうラインは、浮石が落ちたことにより消滅。
絶望を感じたが、3度目のぶら下がりで、右カンテに抜けるときに見た顕著なスローパーから直登の可能性も見てみる。
その間に一つカチを見つけたことで、可能性を感じたがそれはとてつもなく悪い。
言うなればもうそれは私の想像できる次元を遥かに超えていた。

ラインは成っていた。ただ私には無理だ。
そう感じた。
しかし、よくよく思えば直登の際に見たカチ、それは右抜けでも使えるのではないか。
もう一度ぶら下がる。
カンテから目一杯手を伸ばせば届く位置に、そいつはあった。
私でもこれなら何とかなるかもしれない。
希望を感じた。

4/11
本格的にトライ開始。
下部から悪く、中間部の顕著なスローパーまで一度しか到達出来ず、その貴重な1便も恐怖心に負け降りる。
ただこれで勝負にはなることが分かった。

4/16
2日前に岩場に行けるチャンスがあったが、この日に備えるべく指皮と体力温存に充てる。
何となく強度を把握出来た前回、この日が今季最後のトライになることが分かった。

早朝、まさかの事態。
まだ気持ちの整理が出来ていないので多くは書きたくないが、言わずもがな震災が起きる。
私も少なからず影響はあった。
ただ、今回はクライミングの話に徹す。

直前まで行くかどうか迷っていた。

身内のことももちろんあるが、そうじゃない部分もある。
自身のクライミングに於いて、如何なる時もほぼ楽観的なのに今回は初めて行く前に恐怖を感じた。

ただでさえリスクのある課題。
もしトライ中に地震が起こればどうなるのだろうか…。

迷っている合間に、とうとう朝が来た。
メンタル以外の準備は万端、イメージすらもう出来ていた。
結論出せぬまま、車を走らせ、気付けば岩の前にいた。

岩の前に立つと不思議なもので、自然と登りたいという気持ち以外はなくなる。

アップを終わらせ、トライを開始した。
下部を突破出来たその1便は、スローパーから落下した際の衝撃を確認すべくとび降りる。
腰まで響く。
カンテとりの凶悪な一手で落ちても何とか着地できる気はした。
ただ、その後で落ちれば怪我を回避するのは困難な気がした。
カンテまで止めれば行くしかない。

2回目の下部突破便、カンテへの一手が怖すぎ躊躇。降りる。
着地成功。
大丈夫そうだ。

下部突破3便目、カンテ出し前の体制調整でバランスを崩して落ちる。

その後暫く下部突破が出来なくなる。
完登への欲とヨレでメンタルが崩れてくる。

下部突破4便目、意を決してカンテ出しの一手を……。

成功。
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ここからは記憶がない。
難しいハイボールというのは、必然的に集中するものなのだと実感した。

一目惚れをしたその岩を発見したその瞬間の情熱を
忘れる前に登ることができた。

一目惚れした其れは、
私のこれまでの想像を遥かに越えたクライミングを行わせてくれた。

自身の想像と限界を越えたクライミング。
これはもう明らかに生涯最高のクライミングであったと言える。

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ニライカナイ V12

生涯最高のクライミング、
それは生涯最高の課題を産んだ。

私にとってのこれ以上のクライミングをする機会、それはもしかしたらまだあるかもしれない。
ただ、正直、今後これ以上の課題は残せる気がしない。

そんなニライカナイのあるビックマンタの岩。
幸いこの岩は国有林に存在する。

興味ある人が居れば案内したい。

〜後になって思う事
生涯最高のクライミングが、まさかグランドアップで成し遂げれないとは…。
それを想うと、もう少し進化は出来そうな気はする。