「RockPath」カテゴリーアーカイブ

最初の谷の巨石

由布岳西口
美しい高原の脇のコンクリート道路を15分ほど登れば岩が見える。
最初の谷のボルダー群。

細かい岩は高校卒業間際に粗方登った。昨年秋にはいくつかの巨石に取り付く。

5月16日
帰省の合間に立ち寄る。

最初の谷のシンボルとなる巨石、その中央の一番高いラインをやる。前回は上部の脆さと植生にビビり敗退。今回は掃除道具を持ってきた。

ざっと掃除し、いざ。


ビビりから中々moveを決めきれずにいたが意を決す。そして突破しトップアウト。

「Noir 」
グレードはつけないが極めて良いライン。上部は選択を誤るとかなり脆いのでホールドを破壊せぬように登ってほしい。

裏面のハング。

スッキリとしすぎた面にうっすらとホールドの在る右側。
前回サクッとできた下部が悪い。ヒナタとのセッションでテンション高めだったせいか?今回はまずリップ掃除。その後下部で苦戦したもののコツを掴んだところで完登。

「矜持 v10」

ガチャついて保持しにくく薄いカチからダイナミックに動く。


最後に、左へのトラバースを。
手数は多く保持もそこそこ悪いが、難しいmoveはなくむしろこちらが弱点になるだろう。

「魔女の月 v9」

高原の狭間を吹き抜ける風が冷たく気持ち良かった。

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projectやこれ以外のラインを登った際はご一報くださいませ。また小さな石も学生時代粗方登ったけれど、何か登れば是非とも共有したいので教えてもらえたら幸いです。

PANDORA

2014年のとある日
天井高相当に広がるルーフ、背中から落ちる恐怖に勝てずそっと敗退した。

圧倒的な格好良さを前に太刀打ち出来ない歯痒さもあり、記憶の奥底に仕舞い込み再び見上げることはなかった。

 

2022年4月28日

春先にmoveが出来たprojectは濡れていた。ここ数日雨は降っていなかった。
山は湿気を帯びている。もうそういう時期なんだろう。

ハードなトライは諦め、再びあのルーフを見上げることにした。

炎天下の藪漕ぎ。

藪を抜けるといきなり現れた巨大なルーフ。相変わらず格好良い、改めて見てみても記憶通りの威圧感。最高だ。今なら怯まず対峙出来る。

少し休憩したところで着手。思えば脆い岩にも慣れた。今なら可能性は満ちたりている。
落下姿勢を慣らす意味で左カンテをまず登る。


「匣の世界」
v9程度だろうか。

 

さて、本題はルーフ中央。

すでに満足はし、中央はこのまま取って置きたくともあった。
休憩のち結局やる。

真っ向勝負の気持ち良いmove。想像通りしっかりとした強度。がっつり中央の弱点。最高の時間だった。


Pandora v10(三段)

かつて超えられない壁を感じそっと蓋をしたもの、いつのまにか壁は消えていた。いつのまにかでも成長はするんだと。余韻に浸った後、少し早めの撤収を決めた。

針の耳

相変わらず美しいハレルヤ。
2019年初登

ニライカナイ以降も魅力的な岩を登ってきた。
近年ではロマンティカなどよだかの巨石を除けば、ハレルヤは最も素敵な岩の一つだと思う。

5月2日

案内した際久々に見上げた。トライを眺めている間、周囲のprojectやハレルヤをやってみたが流石の3年、自身の上達を感じた。

いくつかのprojectでは出来なかったmoveも解決。楽しすぎる。

調子に乗り5月6日再訪

岩は若干しっとり気味、前回出来ていたことが嘘のように出来ず。前回調子が良かったのか今回コンディションが悪いのか?

テンション下がり気味でいたら雨も降り出した。仕方なく3時間ほど練習しボロボロになったところで、近くのワイドクラックを登り〆た。

針の耳 グレードはよくわからない。5.10cくらいか?
山が湿気を帯びだした。もう時期梅雨だ。

2/21superJET

傾斜の強い一枚岩。
そのど真ん中に垂れたポケットを地ジャンで狙う。そしてリップへランジ。

「ジェット v10 三段」2015年初登

岩も動きもラインも良く結構気に入っていた一本なのだが、もう時期破壊される可能性が出てきた。

2020年豪雨の際に周囲の道路が崩壊し、その護岸工事のため現在河原に重機が出入りしている。破壊されたいくつもの巨石を見てきたのでどうも不安になる。

実はprojectもあった。

中央の垂れたポケットの下にエグい小さなポケットが2つ。ロースタートができるのではないだろうか?ジェット初登時も取り付きはしたが離陸で精一杯。

あれから随分経った。今ならどうか?ポケット耐性は増している、破壊される前にやらねば。

冬、機を探しながら過ごした。
日中は工事につき立ち寄れる感じではない。ナイトを狙う。

 

2月21日

岩場帰りの夕方、その日の工事はすでに終わっていた。いつもより少し早い。指皮、体力はまだ残っている。立ち寄ることを決めた。

初めはまだ陽があったもののアプローチに時間がかかり、結局岩は闇の中。

久々に対峙するポケット群
少し心配だったが指の収まりも良く、触った瞬間これは登れると感じた。

案の定サクッと離陸できmoveも起こせ直ぐにたるいポケットも捕らえた。問題はそこから。リップへのランジが怖すぎる。ナイトにつき落下中に下が確認できない。

不安を感じながらトライを続ける。

数トライ目、リップに指がかかるがかなり浅い。落ちるかと思ったが何とか振られをいなし身を残す。

「superJET v11」

滞在時間30分ほど。時間の割に充実したクライミングが出来た。

JetもsuperJETも極めて良い課題だと思う。消滅する可能性を恐れて勝負を急いだが、護岸工事の様子を見る限り影響はないようにも見える。

何とか残って欲しいがどうか?

 

ヒスイのルーフ

ヒスイのルーフ。

昨年秋に最大核心である出口のmoveは解決。
ルーフど真ん中から登り

C’est bleu とした。

そのままルーフ最奥からの可能性を探り希望を見た。

時は過ぎ……

4月4日
あの日見た可能性を再現すべく再訪。いざ繋げようとしたものの記憶以上に強度が高く怖気付き迷いが出た。

2手目の逆手出しの可能性を探る。全ての手順が変わる。4時間探った末、キーホールドが欠損。今日1日が台無しになった。このままでは帰れないのでせめてもと良いシーケンスを探り形作ったところで撤収。

季節は終わりつつあるが何としてももう一回来ねば…。

4月18日

気温的にラストチャンスだろう。
太陽光の届きにくいルーフ最奥、当初はライトがないと過ぎせなかったが今はもう平気。

光の薄い最奥で腰を下ろしシューズを履く。チョークを付けつつ気持ちを落ち着かせ、整ったところで岩に体重を預ける。

夢中でmoveを起こす。
そして日差しが直に当たる場所に足をつきトライを終えた。リップまでは到達したのだ。流石のこのコンディション、登りきるのは端から狙っていなかった。上々だろう。

今の次元で何とかなることがわかった。結果的に適度な強度でやれそうだ。来季へ。