最近、北部九州の開拓者武下さんと会う度に話題に上る岩があった。
それはサラマンダーの岩。
傾斜130度、高さは8m。
サラマンダーはその中央を走る弱点に沿ったラインで、
2005年武下さんがボルトを打つ、その後初登させてもらった。
去年あたりから話題にのぼり、私もサラマンダーの右に可能性がありそうな気がしたので、なんとなくボルダースタイルで取り付きはしたが、感触は良くなかった。
今年春、ボルトを打ったと連絡を受けた。
トライしていいか確認、快諾頂いた。
とはいえ、前回のボルダーでのトライのイメージが悪すぎ、無意識に可能性を放棄していたのであろう。
暫く放置、時過ぎた4月10日のトライ開始。
ブランクと感じていたパートも、ギリギリの位置にホールドは存在した。
リードルートにしてはホールドが悪く、動きの精度が求められる。
ブラインドのカチ狙いや、抜きの悪いホールドにデッドなど、ただ距離を出せばいいってものではなくコントロール系の運動シーケンスが続く。
素晴らしいことに終始動きに強度があり、私のクライミングスタイルにぴったりであった。
1便目でmoveはばれた。
問題は気温。やはり外傾したカチを握るには暑すぎる。
3便目、4ピン目前のこと、ぬめっているにも関わらずそのまま捨て身ランジを決行。
案の定落ちたが、モーションなく不用意にとんだためグランドフォール。
ニライカナイ等に比べ、やばくはないので無事無傷。
とはいえメンタルをやられ、この日は敗退。
心理的に道具に頼ったクライミングをしてしまったことに反省。
事故は自身の心理状態が招く。
5月22日
日曜日休みだったことを思い出し、急遽武下さんに連絡。
時間を合わせ、突入。
予報の最高気温は28度、流石に厳しい。
2便目勝負だと予測。
時間より少し早く着いたので、move確認とヌンチャク掛け。ビレイ2回目のテラコに頼む。
もちろん突っ込めないがとりあえず十分な役割を果たしてくれた。
暫く休み、武下さんたちも到着。
気温は予想より早く上がってきたが、ダメ元で2便目。
登るつもりでいたが、指先の踏ん張りが利かず3ピン目後のカンテ出しの一手で落ちる。
確かに核心ど真ん中ではあるが、ここで落ちていたら勝負にならない。
もう少し早い時期に来ていればよかったと、マイナスの感情が芽生える。
暫く休む。気温は更に2-3度増した。
とりあえず核心前の足位置に多少違和感があったのでいじることに。確認する余裕がないのでぶっつけ本番で。ついでに前半も一つmoveを変える。
3便目、カンテどりは相変わらず動きの前に変な詰まりはあったが辛うじて捉えた。
グランドした次の一手、安定姿勢を探してデッド。成功。
渋いフックでクリップ。このフック外れたらグランドだなぁなんて思いながらであったが案外冷静であった。
高さ慣れだろうか。
核心は終わった、そう思っていたがその2手後のスロットのガバどりでロックする余裕がなかった。
指先のスリップ落ちを恐れるあまり、力が入りすぎていたのだろう。
成功率7割のデットになってしまった……。
無事捉えていたから良いものの、ボルダーであったらメンタルをやられていただろう。
その後は少しわかりにくいリップ付近のmoveをこなしトップアウト。
トップアウト出来るルートは全てトップアウトして初登することを信条としている。
岩の上に上がる。ロープを解き、ドロドロになりながら裏から岩の下に降りた。
開拓者命名、ウーパールーパー5.13
ボルダー要素満載のこのルートであるが、ボルトルートとしたことで人気は出るであろう。
(早く表に出せるよう頑張ろう。)
無事、完登してからは周辺のトライと整備。
側面の泥落としが最大の核心かもしれない。
秋口数発で終わらせて、表に出そう。
駐車スペースが限られていることやシビアな条件もありネットや紙面公開できないのが残念だ。
何にせよまずは周辺整備。
お付き合い頂いた方、そして武下さんに絶大な感謝。