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よだか、一宮大介と

ー1月27日 一宮大介と

雨が降り出す前にと山に入る。結局雨が降り出しても登り続けた。アホだなぁ。

冷やした身体を温めるべく近くの居酒屋へ。
大分でのvivo イベントを週末に控えた月曜日、良い1日だった。

#ジムと登術

一宮大介の登り。

ここ最近も「United 六段/瑞牆」や「末法 五段初登/笠置」などを登り勢いは相変わらず。成果ももちろんだけど彼の力強い登りに憧れる。

1日岩で一緒に過ごし勉強になった。溜めをつくらない力強い登り。

「踵を落としたまま腰を据え踏み込んでいく。」

なんでそんなことができるのかこの日1日ずっと疑問だったけれど…2月頭のサニーサイドで一緒セットした際、ようやく少し理解できた。

*
シューズ先端に囚われすぎないこと。自由に足を使い自由にシューズを使うということ。
踏みやすければ母趾球や土踏まずで置いてもいい。

踏み込み、ということを深く考えさせられた。

*

基本、溜めをつくりモーションを起こし登ってきたこれまでの私のスタイル。
そのスタイルの限界を突破できそうな兆し…。

無拍子の動き

距骨に体軸を持ってきて、(つま先踏み込み起点で動作をコントロールせず)、軸を保ったまま動作。これができないのはフィジカルが達していないのではなく、そう動こうとしていなかったんだと痛感。

一宮のクライミングは面白い。
ベアフットも面白い。

 

ジョバンニへと

ー  序章

美しいよだかの森のメインロック。
最初にできたのはその中央。

「 カンパネルラ 三段 /2020年夏 」

その後も執拗に通い、最後のライン「よだかの星 四段/2020年10月」ができた。これでメインロックは完結…そう思っていた。

*

森の奥へ進む日々の中で眺めるメインロック、どうもカンパネルラと市蔵の間2mのブランクが「成っているのでは?」という疑念が沸いた。一見ホールドはない、けれど形状の噛み合わせが良くうまく押さえ込めばなんとか姿勢を保てるんじゃないか?


ー 触れる

ある日、ビッグプロジェクト群のトライの合間にやってみる。案の定全くできない…だけど不可能ではない。仮称「 ゾウネルラproject 」とし気長にやることにした。

※ゾウネルラ▶︎市蔵のスタートからカンパネルラの方向に行くので

2021年1月

全ムーブがバレさらにはラストのランジまで入れた。問題はその一手で狙い先のガバは遥か遠く…心を折るには十分な距離だった。


 

ー 小さなもの、大きな森

 

2024年春が終わった。今季も結局ゾウネルラと向き合わなかった。

挑戦から逃げている弱い自分、そして妙な責任感を自覚し来季こそは向き合うと決めた。来季のために少しでも、と森に向かう。

5月初頭

後ろ向きのモチベーションを抱え重い気持ちで森に入る。

*

変わらず森は美しく。数歩進んだだけでネガティブなもの全てが吹っ飛んだ。

はやりこの森は別格だ。壮大なスケールの美しさ、エリアに入ればその地に見合う巨石群。そんなものを前にし自己のちっぽけさを思い出し明るい気持ちになれた。

*

山深く実は涼しいよだかの森。

初日は雨上がりながら感触良く、晴れた日であれば勝負になりそうな気がして梅雨前線が活発のなる前にやり込もうと決めた。


ー その瞬間のために

通うこと3日目

ずっと落ち続けている最後のランジ。実はあわよくば止まるのではないかと思わせてくれるくらい進展していた。

“ ガバを捉える “ その瞬間が今日なのか次回なのか来季なのか。近い日なのか遠い日なのか。

その瞬間のために、一登のために準備と集中を怠らず、トライの時間を迎えたら一挙手一投足焦らず着実に力強く動く。

*

目の前の一瞬に集中していたら思ったよりも早く期待していた時を迎えることができた。ガバを掴んだその瞬間、最高にテンションが上がると共に気持ちの糸も切れた。それでももう落ちない。


ー ジョバンニへと。そして。

ゾウネルラpは完成し名をジョバンニとした。グレードはよくわからない。登れたトライは全ムーブが完璧で負荷を感じなかった。それでも強度は高く四段以上はあるだろう。

*

散歩しながら見上げた岩にまだまだやりたいラインが見えた。流石にもう暑い、秋にまた。

ラプソディ

ゾウネルラLowProject。
昨年秋にスタンドで登れ、下部も淀みなくできる。

本来ならここで勝負をかけるところだが、今季の最優先は公開迫るヒスイのproject。春にまわした。


山深いよだかの森。雪は溶け日ももう長い。

3月6日

よだかの森を歩く。いつもならシャクシャクと枯葉が鳴るのだけど、今日はぬかるみ地面がジュクジュクと呻く。森は少し湿気ていた。

岩も少し黒い。
それでもゾウネルラの核心の一手は容易にとまった。

「いけるぞ」と意気込み下部をやる。すると全然ダメ。

右脚が疲れていた。思えば最近右ヒールが課題が多くダメージが残っていたのだろう。1月の怪我も響いていると思う。

できはするけど今日ではない、そんな感覚だった。
名残惜しいが機を改めることに。


日はまだ長い。
せっかくなのでエリア中腹にある船岩のprojectへ。
随分前に王手かかっていたが、えぐめのカチとリスキーな上部に怖気付き目を逸らしていた。

山を上がる。
相変わらず自然豊かな渓谷で、目に入る全てが美しい。

シーケンスを変えて少し恐怖が和らいだ。
カチを保持し続ける、昔なら選ばない選択肢。今季はカチ保持の調子が良い。


下部も以前より好感触、これは近々登れそうな気がする。
せっかくなので日没まで本気で攻める。

辺りが暗くなりはじめた頃、登ることに成功した。

ラプソディ v12

まさか登れると思っていなかった。少し呆気にとられたがそんなものなのかもしれない。できる時にはできる。

余韻に浸る間もなく闇が迫る、森も深く夜が近い。
すぐに下山を開始した。

思わぬ成果があったもののゾウネルラは何も進展していない。
暑くなる前にチャンスがあればもう一度対峙したい。

 

くる年へ繋ぐ12月

2022年は、思うよう良い岩が登れた。
気持ちにも余裕が出来たので12月は衝動に流されず難しい岩に絞ろうと決めた。

狙うは3本。

1.   ヒスイのルーフ(通称LEBproject)
2.    VV3.0project
3.    ゾウネルラproject

普段であればその時格好良いと思う岩を、その瞬間最大熱量で狙う。
その衝動的熱量を捨て限界値を。3本。

 


最初に狙いを定めたのは

3.ゾウネルラp (よだかの岩)

市蔵のスタートからカンパネルラにつなげるライン、ゾウネルラ。実は初秋にmoveを発見していた。

12月8日 スタンドで初登

新たなシーケンスの発見で当初よりやさしくなってしまったものの、「ここが通せたら凄いラインの可能性が広がるな」なんて感じていたブランクセクションの突破に成功。

となると後はルーフの付け根から繋げるだけだ。
なんて簡単に書いたが下部はv10。果たして繋がるのか。

ゾウネルラlow start project

12月半ば、雨上がりでの挑戦にも関わらずラスト一手までは攻めることができた。
このまま通い勝負をかけようかと思った。

 


その矢先、仲間から春にヒスイを公開したいと相談を受けた。
となると1月中にヒスイのprojectは登っておきたい。ゾウネルラlowは春でもできる。仲間の気持ちを汲み、ヒスイのルーフを優先することにした。

 


1、ヒスイのルーフ

果てしないルーフ。
二日ほど通い全ての動きが解析できた、同時に自動化も進む。ルーフの奥行きが身近なものとなった。

となると早めに勝負をかけたい。そんな気持ちと裏腹に雪が。山が白く覆われる。雪解けルーフは染み出し年内の完成は絶望的となった。
それでも通う。できるパートの自動化をはかる、来たる瞬間をより早く迎えるために。

湿気た山で終えた2022年の岩登り。
岩の上に立つことは叶わなかったけど、
ゆく年に悔いなく、くる年を期待を。

2023年1月へ。

 

動画 よだか開拓記10【ゾウネルラ】

シーラカンス

【過ぎゆくかたわらに】

小川を渡る。
綺麗な森をくぐり、小さな丘を上がる。
すると、陽の当たる心地良い広場が。

すぐ下には圧倒的な存在感を誇る巨石。
その脇にある「小さなハング」の記録。

【巨石から】

巨石にはすぐに課題ができた。

奥にも壮大な岩がいくつか在る。
通う日々。

春の終わり、「小さなハング」のカンテに夕陽が刺さる。その光景はとても美しく、いつかこの岩も登るんだろうな、なんて思いを巡らせた。

「ロマンティカ」と「澄哲星」

巨石達に決着がついたある日の夕方、
道中にある「小さなハング」をやる。

トライしながら思い出した。
私は別にハイボールが好きなわけではない。本当に好きなのは、地面から程よい高さにある超前傾の面登り。まさしくこれじゃないか。

熱が入っていくのを感じた。


【シーラカンス】

12月23日

前半戦、ハイパワーな初手ではじまり、繊細なシーケンスで手を進める。
後半戦、強固に決めたフックのつけを清算するところからはじまり、フルスパンの一手。ここさえ堪えきれば登りきりたいところだが、追い討ちにほんのり渋い2move。

起承転結、それぞれが濃ゆい。

昼前、最終局面の一手で落ちた。
どうなるかと思ったがその後のトライで登りきることができた。

「シーラカンス v12(四段)」

春に見た陽の刺さるカンテ、いつか夕陽のもとトライしようと思っていたが…
冬は一切陽が当たらない。
凍える森の底、遠くの山にあたる日差しが恋しかった。


【共に】

初冬、巨石たちを無事登りきったあとのこと、Kさん夫婦と一緒に登る機会があった。時期こそ違えど私以上にこのエリアに通い込んでいる二人。


一緒に過ごせて良かった。事前に掃除していただいた岩を案内いただきいくつか登る。その中の一本「傾奇者v9」はマニアックで面白い。二人に感謝。