2.13 初庚申
年に数度だけ開く猿田彦神社に猿の面を買うために並ぶ。
1時間半程並び、もうすぐ買えるということでいうところで実家から電話が。
嫌な予感が当たってしまった。
ばぁちゃんが他界したとのこと。
予定より多く面を買い、店を調整する。
私にとってばぁちゃんはとても近い存在であった。
ここに書き出したところで吐き出しきれない悲しみに襲われるだけなのでやめておく。
福岡ではじまる認定試験の準備を済ませ、車を走らせる。
久留米に一旦荷物を取りに帰り、大分の山々を激走する。
流石に通夜には間に合うことが出来なかったが、
場に来れて本当に良かった。
スタッフみんなに感謝したい。
朝、バタバタ店に行きいつも通り開店準備をする。
忙しいくらいでちょうど良いのかもしれない。
流石にこの日は閉店後、泥のように寝た。
2.15
みんなで開拓。
正直私は登る気力なんてなかった。
ただ、ただ、岩の下にいることで気持ちは癒された。
みんなの登りを眺めていた。
そして、その瞬間は突然訪れた。
浮石と共に、仲間が落ちる。
浮石はマットを貫通するほどの威力。
幸い仲間は無傷であった。
目がさめる。
私がしっかりせねば……。
無傷で澄んだのは本当に運が良かっただけだ。
正気に戻り私もいつもと同じように岩を登る。
最後のランジがかなりやばめの課題、
風になり v9 とした。
由来は略す。
その後は特段記すこともなく無事に和やかに過ごすことが出来た。
夕方、仲間のprojectのビレイに付き合う。
短い時間の中、しっかりとこなし無事に完登。
鯉のぼり これは素晴らしいラインの誕生である。
日暮れ前に雨雲を眺めながら撤収。
2.16
体力万全。ただ天気は雨。どうするか迷ったが仲間の強い希望により岩へ。
雨でも大体なんとか登れてしまう事を知っている。
とりあえず昼過ぎまでは雨がやむことを期待し偵察。
しかし一向にやまず、登れる岩を探す。
14:30,取り付き。
登れはするものの、コンディションは最悪。
普段なら瞬殺出来るであろうパートも濡れたホールドに苦しむ。
まぁ、これはこれで楽しい。苛々はするが…。
打ち込むにつれ、何となく慣れてきて登れ出す。
そしてラインも見えてくる。
ただ、開始時間が遅かったため、moveがばれた頃には日暮れを意識し始める。
暗くなり始めた頃、クリムが目当てのラインを登った。
神隠しv7初登。
素晴らしいクライミングであった。
私も続きたいがボンミスが続き焦る。
インターバルが足りていないことは自覚していた。
それでも気を切らさずにやることを優先。
暗闇の中でひたすら打ち、地から通し二つの核心を超えた頃には、ガバを握りこむことですらやっとであった。
普段ならスタティックにいけるパートも手が出ない。
絶対に落ちないであろう見込みの最終パートはマットを敷いていなかった。
落ちたくない一心で出した一手がとまり、完登。
落ちなくて良かった。
名を崇拝、グレードをv11とする。
ぎりぎりまだ森を抜ける明るさは残っていた。
慌てて、そして少し安心して帰り支度をし撤収。