記録を見返せば、はじめてこいつの前に立ったのは2005年の事らしい。
高さとほんの少し悪いランディングにビビって取り付けずにいたようだが、
2012年に意を決して触った際に、背伸びスタートで完成したのがナウシカである。
思い焦がれていた岩の上に立つことができ、さぞ興奮したことであろう。
ただ、1日で終わった課題の記憶はあまりない。
一つ覚えていたのは、それはとっても素晴らしい岩に与えられた素晴らしい道筋だったということ。
〜2015年6月、このエリアもいい加減公開すべく、まとめのために頻繁に入るようになる。
ふとナウシカを覗く。
するとホールドが下から繋がっているではないか。
当時、背伸びスタートにした理由を頭の中から探す。
確か、目の前の薄っぺらいカチ単体で離陸することが出来なかったから、その一つ上からやったような…
確かに薄っぺらいカチ単体では今も浮かない。
ただ、右のカンテ上にあるシワと組み合わせたら一瞬浮く。
とはいえ、ここからスタートでは不明瞭。
そのさらに右下にそこそこ良いポケット、そして左下に鋭いアンダーカチがある。
普通に考えたはここが明瞭なスタート地点であろう。
夏、開拓の空いた時間にちょこちょこと触る。
なんとなくシーケンスは完成したが、今の能力では不可能な気がしていた。
出来そうにない箇所が一箇所あったからだ。
秋に入る。
開拓も進み、楽にアプローチできるようになった。
10/5
本格的try初日。
先程書いたどうしてもできない箇所、それはヒールからの2発とばし。
どうしても足が切れる。
まずは他の可能性を探る。
フック解除からそのままとばし…負荷が高めな気がした。
フック解除には成功、ふとその2手先のフラットなブロックが目に入った。
飛べる気がした。
バラシで一回本気で飛びに入る。
成功、勝機が増した気がした。
繋げる。
3便出したが、繋げると全く届く気がしなかった。
再びランジの確認、すると届かない。
さっきは保持前回からのフル出力でとまったのだろう。
気温20度、だいぶマシだが、保持に頼れる気温ではない。
フック解除からのmoveを作り直す。
シンプルに夏作っていたmoveがしっくりきた。
余計な指皮の消耗をしてしまったが、気を取り直す。
一先ず完全にばれた、
そして完全にイメージができた。
こういうときは1便目が大切。
ここで失敗したら経験上、ドツボにはまる。
1便目、集中したおかげでブロックに右手がかかる。
予定ではタイミングダブルであったが、効きが悪く左手が追いつきそうになかった。
左手を本気で残しに行き、無事振られに耐えた。
思い切り左手にダメージを受けたが、そのまま上部に突入。
次のカチが正直しんどかった。
高さもあるので手を出すかどうか一瞬迷ったが、長引かせたくないので仕留める気で出す。
とまった!
これで実質終わったが、指先にチョークが全く残っている気がしなかったので上部も少しの緊張感があった。
無事完登。
今日登れると思っていなかっただけに、相当興奮した。
ただ、地に戻りすぐに冷静になった。
今日の本題はこいつじゃない……。
すでにくたくたなのに……。
名は、とりあえず帰る必要を感じなかったので ナウシカ と。
グレードはひさびさに真剣に悩んだ。
最近登れたらどれもv10くらいに感じる。
ただ、こいつはリピートしたいと思えなかったのでいつものそれらよりは難しいのであろう。
v12かv11か。v12は感覚的に何となくしっくりこない。
アンドロメダみたいな連続的な強度系や、サタンポーみたいな長ものは結構さっくり付けれるのだけど。
ただ、課題は素晴らしい。
内容やスケール、トータル的な難易度を加味すると、v11も違和感がある。
みんなの目標や、エリアのシンボルになって欲しいという側面を踏まえ、
結論はv12としたい。
本質とは離れるかもしれないが、グレードなんて所詮コミュニケーションツールということで、
みんなに、「こいつがこのエリアのシンボルだ」という思いを込めて。
久々に数値についてダラダラと書いたが、
最後に ナウシカ完成までの過程を動画にて↓