焦がれた岩、そしてC’est bleu

【発見】

随分昔のこと、どうしてもたどり着けない岩があった。
先駆者から大体の位置は聞いていた。
近くを通るたびに探すが見つからず。
いつのまにか探すことを諦めていた。

昨年、とうとう仲間が発見。
聞いていたアプローチとは全然違う道だった。
結果的に同じ場所にたどりつく、これは偶然なのか必然なのか。それとも執念か。

どちらにせよ私だけではたどり着けなかった。
とんでもない悪路の先に開けた場所が。そこにいきなり巨石が在る。

【着手】

過去見上げたどの巨石にも劣らぬ存在感。残念な点をあげるとすれば少し脆い。
ただそれを補う好条件、アプローチ0/ランディングはフカフカの土、最高じゃないか。

見つけたその日から、仲間たちの岩通いがはじまった。時に違うエリアで登ったりもしていたけど、基本、そして今なお通い続けている。

私もずっと探していた岩。何とか形にしてほしいと願いつつ任せることにした。

【参戦】

巨石にラインができた。
2020年秋、私も登らせてもらう。

栗崎の登った中央から右に抜ける「聖玻璃」。言うまでもないがとんでもなく良いライン。

そしてもう一つ、右に抜けず岩の正面を直登。
こちらは「聖玻璃」以上に素晴らしいライン取り、栗崎のメインprojectだ。

時は過ぎ、奥の岩の開拓も進む。
入り口の巨石ほどではないが奥も中々良い岩がある。

その一つが丁度良い高さのルーフ。project進行の合間に仲間らが整備してくれ、春にトライを譲り受けた。

【トライ開始】

春の終わりにやる。

ルーフ出口、1本指ポケットとアンダーポケットからリップのブラインドポケットへフルスパンの一手が出来ず。あまり感触は良くなかったが、来季の気候であれば何とかなりそうな気がした。

【C’est bleu】

2021年初秋

一向に涼しくならず。10月ですら気温30℃を超える日が続く。涼しくなるのを待ちきれず出向く。
出来なかったルーフ出口の一手に成功。あとはもう登るだけなのだが、ここから苦戦した。

ルーフ出口のシーケンスが複雑かつシビアで、少しでもポジションがずれると吐き出される。少し気温が下がった日に狙いをかけるが、案の定リップ取りの一手をとめてからも落ち続けた。

核心はルーフ出口だと悟った。

2021年10月25日

気温万全、ただ早朝に強い雨が降り湿気ていた。
そもそもこの日登りきるという欲はなかったのでダラダラアップし、ほんのり狙いに入る。

核心が続く手数の多い課題は、離陸する前とても緊張する。

2トライ目、登りきることができた。

C’est Bleu(セブル) v13

【その後】

さて、最奥から。
明らかに完全ムチャぶりラインで取り付く前から若干諦めて気味だったけど、やりはじめるとやはり面白い。

結局私はルーフが好きなんだと。

少し早めに帰ろうと思っていたが結局夕方まで。思えばこの日も山を管理してくれているおじさまには会えずほんのりさみしい。

撤収、また。

整備してくれた仲間たち然り、岩を登るだけのために林道をつかっていることを快く受け入れてくれている地元の方に最大限の感謝を。

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