ハンナ、突然に

3月9日 日暮れ前、目的の岩の前に立った。

相変わらず格好良い岩だ。
ずっと憧れているハング右ラインは相変わらず悪そうだ。左側のハングから左スラブにエスケープする「久遠」のダイレクトも数年前ホールドが吹っ飛び相当悪くなった。

ひとまず久遠ダイレクトpをやる。夜にもつれこむ事必至、ということでナイトの準備後トライ開始。

何便かして、このラインと右の憧れを組み合わせて登ることこそ自然かつ顕著な弱点ではないかと思えてきた。
届かないと思っていたホールド達。二本のライン上にあるそれらホールド達はフルスパンでギリギリ届きそうな配列。

早速試し可能性を感じた。攻める。

予想は的中し、ラインは明らかに成っていた。上部はそれこそ顕著な弱点はなく形状を騙し騙し登ることになる。明瞭なmoveが存在せず、高度もある。ということでかなり怖い。

登っては跳びおりを何度か繰り返し、イメージは出来た。いざ突っ込む。
こういう課題は1便で決めたい、決めたかった。
最上部のキーとなる一手でフットホールドがぐらついた気がした。万が一の着地に備え上体を倒さず(乗り込まず)ロックして突破することに。保持感がかなり悪くなったがその一手は成功した。

気は抜けない、次の一手も集中。その時、案の定フットホールドが吹っ飛び落ちる。
落下距離こそ長かったが備えていたのでそこまでの恐怖心はなかった。

若干気は逸れたが整えてやり直し。ちなみそもそも下部もそれなりに悪く暫くはまってしまった。

何便かして上部に入れた。最上部、リップに突入。狙いをつけていたポイントが思ったよりも悪く少し焦ってしまった。すぐに突破したいという思いから一気に足上げ。
指先の効きがさらに悪くなる。一瞬空間に放り出されそうになったが保持に頼り、こらえることができた。マントルを返しトップアウト。。。

Hanna ungraded
マジで危なかった。。。たまたま上手くいったがすっぽ抜けていたら正直着地できた自信はない、今回は運が良かった。

〜登ることに集中し過去を振り返る余裕はなかったが、思えばこの岩を見上げてはじめてから10数年が過ぎた。ずっと憧れていたラインが登れたわけだが、登る力が向上したというよりは見る力がついたように思う。これも経験値、か。
登れてみると一瞬だが、踠いたり描いたりしていた時間は長い。その長き日をたまに思え出せたら良いなと思う。

撤収。

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