「その他ナイト含む」カテゴリーアーカイブ

百年の夜明けと三隈川の今

昨年夏に登った百年の夜明け。

今はまた三隈川に沈んでいる。
詳しい情報はRockClimbing誌006号に書かせてもらったので、もし機会があれば読んでもらえたらと

昨年11月初めに下流にあるゲートの調整室も復旧し、三隈川の水量も人の管理下に戻った。
当時、数人しか触られないまま沈んだその岩を少しだけ名残惜しくも思った。

先日、いつも通り岩場帰りの夕方三隈川脇を通ったところ、見慣れた光景が目に入る。

災害前、当たり前のように見ていた学生らボート部の練習。
夕陽の美しさも相俟ってその光景が胸打った。

岩登りなどどこでも出来る。
変わらぬ日々に感謝するとともに、二度と夜明岩が出てくる事のないよう願った。

ちなみに三隈川は九州屈指の練習場所で、そこで練習するボート部は全国的に見てもかなり優秀らしい。

トヤマワキにて

少し前の話だが、10月は雨が続いた。
晴れた日が来ようとも、目的の岩は濡れたまま乾かず。

仕方ない話だが心に栄養を、
ということで山の上に見えている乾きの良さそうな岩を登ることにした。

梅雨前見に行き、山にいた人に話を聞いて登れそうな岩をピックアップはしたもののアプローチ40分となかなか足が向かず。
こんな機会でなければ行かないであろう。

気持ちの良い道を40分歩く。
丁度、測量をやっていたので挨拶をし少し話すがやはり近道はないらしい。

やっとこさ到着。
そそくさと登る。

崖の上のクラック

高さも適度で気持ちよく登れるのだが、どれも乗っ越しが悪く怖い。
リップ付近のカチは脆く吹っ飛びそうで、嫌々ながら形状フル活用しマントルを返した方が幾分マシだ。

簡単なのをいくつか登ったところで難しそうなラインを見つけやる。
足の位置とホールドの向きがどうも噛み合わない。
掃除しながら色々やっていたら良いシーケンス発見し無事登れる。


ペニョ V8

そして本題のハング。リップランジ課題。
これが目的の岩であったのだがマットを敷いていざトライして気づく。
無理。

仕方なくカンテに逃げて登る。

エイライト V8

あとは優しい課題を登り散らかして撤収。
長雨の中、丁度良い気分転換になった。

動画

theDome自粛願い

こないだあげたtheDomeの情報です。
ローカルトラブルが過去に度々あり非常に繊細なエリア故、シークレットエリアなので…

ここの情報はあまり挙げない方針なのですが、
今回は自粛協力のお知らせです。

エリア上流と下流で河川敷治水工事が始まり、トラックの出入りが頻繁になりました。
道がただでさえ狭い上にトラック出入り後、散水車が活動しているようです。

本日は工事開始直後ということと、利用者の信頼から散水を遅らせて貰えたようですが、本格的に始まれば確実に干渉してしまいます。

そんなに長い工事ではなく、今年度三月には終わります。
そこでお願いなのですが、その期間の自粛協力をお願いしたいと思います。

写真提供、及び素早い連絡ありがとうございます。
私も来週、案内の予定で少しワクワクしてましたがそれはまた今度に致しましょう♪

img_2078

春夏秋冬、続きの話”辻ノ短歌”

2007年2月、シークレットエリアtheDomeにて 春夏秋冬V10を完成させる。
それはハング最奥より取り付き、うねるフレークをたどってドーム中央のブロックアンダーを目指すもの。

手数にして15手以上。
継続する悪さ、体力ギリギリで完成させることが出来た。
img_2015
(初登時の写真.終了ホールドをマッチしたところ。)

精一杯の力で登ったこのラインであるが、当時更に先を見ていた者がいた。
上の写真を見てわかる通り、ゴールは体勢キープがしづらく、やや中途半端な位置。
氏は、そのゴールを見るやさらに続くフレークの先を見つめ直した。
フレークの先は、そのまま傾斜の落ちるルーフ出口へと続く。

氏は可能性を見るやすぐに上部をバラし、春夏秋冬のエクステバージョンに取り憑かれた。


氏を少し紹介。
私が熊本時代、お世話になった言わば先輩にあたる2g氏。
表に出ることを好んでいたわけではないので、知る人は少ない。ただボルダリングの運動的魅力を、いち早く独自の感性でつかんでおり、今思えば先取りすぎたのではないかと思う。
氏に出会わなければ、私はこのタイミングで運動の理解をしようとしなかったかもしれない。

そんな氏は熊本から執拗に通い続け、その完成を目指した。


2008年の事、春夏秋冬エクステのダイレクト版が茂垣氏により完成された。
そう、Mt.robot V11である。

よりハードな春夏秋冬のショートカットが完成したわけなので、motivetionを保つには中々難しいところ。
ただ同じ頃、春夏秋冬の核心手前でありhuecoplasm V8の核心であるブロックピンチが剥離し、かなり悪くなった。ブロックピンチはカチピンチとなり、huecoplasmは悪めのV8/9となった。

という事は繋げればMt.robotを上回る難易度となる。

氏は、一旦失いかけたmotivetionを取り戻した。
ただし、春夏秋冬は難易度を増した。
この事実は中々にきつい。

クライマーなら分かると思うが、
登れる寸前でアクシデントにより難易度が増す、それも限界近いmoveが1つ加った訳だ。

motivetionを保つのがどれだけきついことか。

その後も、ペースこそ落ちたものの氏は通っていたようだ。
いつしか噂を聞かなくなった。
以降、本人からも連絡はない。

諦めたのか?
それとも登れたから、見なくなったのか?

登ったとしても氏なら連絡はしないであろう。
困ったものだ。

登れたか登れなかったか、もしかしたらそれすら興味がないかもしれない。
そんな氏が、課題名やグレードを他人に公開しようものだろうか。

最低限初登者の義務くらい果たして欲しいものだがそれはあくまで私の都合。

私はそのラインを
辻ノ詩
と呼んでいる。

グレードはV12あたりであろう。

———
2016年11月21日
どこも濡れていて登れる岩がなかったので久々にやってみた。
あいにく下部5手が濡れていたので、フエコと同じスタートから登る。

辻ノ短歌 V11

月光嶽行 5.13初登

10.10 祝日
北部九州開拓者、八面中部を仕上げた武下さんと現地で待ち合わせをし仲間と岩へ。
目的は前回、うっすらと手をつけたサラマンダーの岩の左ライン。

梅雨前に取り付いたそれは、ホールドがとんでもなく悪い。
外傾したカチがとにかく続き、動くとふわっと身体が吐き出されて落ちる。

気温が低くないと無理だと判断し、トライを次シーズンに回した。
それが今日。

到着し、武下さんと話しながらダラダラと準備。
img_0902
昼前に取り付く。

気温は20度、前回より遥かに良い。
取り付くと、記憶より遥かに効く。
初便は行けると感じたが、前回成功したヒール解除が一向に成功しない。
数便出してやばいと感じ出した。
img_0903
そもそも今回のアップ便で欠けたホールドを前回踏んでいたような気がする。
moveの作り直し、
武下さん自身は、他のホールドを保持してヒールをかけずにやろうとしていたと聞いた。

試す、それがヒット。
ヒールをかけずとも悠々にこの一手に成功。
これは梅雨前に、保持がシビアすぎて見放したmoveだ。

気温等、状況が変われば一度つくったmoveも再考しなおすべきだ。
武下さんに感謝。

ホールドと呼べそうな形状こそ多彩にあるが、
保持できる状況はどれも限られる。
足場もシビアで組み合わせが非常に難しい。

最終的に、武下さんのmoveから始まり非常にたるい棚まで繋ぐシーケンスを、その後2便かけてつくった。

行けそうな気もするが後半二手がまたシビア。
案の定次の便は、その一手でふわっと吐き出されて落ちる。

なんとなく、
無駄な気がして、一手を省いて一気に棚に行くmoveを試した。強度は上がるが、確率は増す気がした。

登れるような気もしてきた。
組みたてに時間をかけすぎ、もはや日暮れ前。

可能性を込めて大きく休む。
そして1便、
凡ミスで出だしフォール、予想通り。
私のメンタル的に、
よく出来た便の次は、気負いすぎて良いことがあまりない。
運良くノーダメージだったので、次にかける。

登れる気がしたその便は、
安定して核心を越えることが出来た。
img_0904

たるい棚を保持し次、ホールドを見失い両手共に悪いリップになった。次はガバだとわかっていたので、デッド。

落ちる気はさらさらない
が、思ったより危なかった。
かろうじてガバを捉える。

その後は5.11aのパート。
グレードは易しいが明瞭なガバがなく、残り4mのスリッピーなパート。
パンプしていたことと、落ちたくない一心で動きが硬くなりすぎ際どかった。
落ちる可能性のあるシーケンスのままツッコミ続け、無事に最終リップガバを捉えた。終了点にクリップしマントル。
ロープ解除し、上から回り込んでおりようかとも思ったが今回はめんどくさいのでやめた。

無事に初登。

想像より苦戦、昼過ぎには’今日登れないかもしれない’と弱気になってしまった。
ホールドが悪いだけにシーケンスの組み合わせが非常にシビアで難しい。
解析だけでもかなり苦戦する上に、ボルダーグレードでもv9はあると思う。
短いだけにグレードをつけづらいが一応5.13。

名前は開拓者の意向に沿って、
月光嶽行とする。
私の意向で漢字表記に、由来は動画の最後を見て貰えばわかるだろう。

周辺の整備も順調に進んでいる。
もう少しもう少し。