「RockPath」カテゴリーアーカイブ

シーラカンス

【過ぎゆくかたわらに】

小川を渡る。
綺麗な森をくぐり、小さな丘を上がる。
すると、陽の当たる心地良い広場が。

すぐ下には圧倒的な存在感を誇る巨石。
その脇にある「小さなハング」の記録。

【巨石から】

巨石にはすぐに課題ができた。

奥にも壮大な岩がいくつか在る。
通う日々。

春の終わり、「小さなハング」のカンテに夕陽が刺さる。その光景はとても美しく、いつかこの岩も登るんだろうな、なんて思いを巡らせた。

「ロマンティカ」と「澄哲星」

巨石達に決着がついたある日の夕方、
道中にある「小さなハング」をやる。

トライしながら思い出した。
私は別にハイボールが好きなわけではない。本当に好きなのは、地面から程よい高さにある超前傾の面登り。まさしくこれじゃないか。

熱が入っていくのを感じた。


【シーラカンス】

12月23日

前半戦、ハイパワーな初手ではじまり、繊細なシーケンスで手を進める。
後半戦、強固に決めたフックのつけを清算するところからはじまり、フルスパンの一手。ここさえ堪えきれば登りきりたいところだが、追い討ちにほんのり渋い2move。

起承転結、それぞれが濃ゆい。

昼前、最終局面の一手で落ちた。
どうなるかと思ったがその後のトライで登りきることができた。

「シーラカンス v12(四段)」

春に見た陽の刺さるカンテ、いつか夕陽のもとトライしようと思っていたが…
冬は一切陽が当たらない。
凍える森の底、遠くの山にあたる日差しが恋しかった。


【共に】

初冬、巨石たちを無事登りきったあとのこと、Kさん夫婦と一緒に登る機会があった。時期こそ違えど私以上にこのエリアに通い込んでいる二人。


一緒に過ごせて良かった。事前に掃除していただいた岩を案内いただきいくつか登る。その中の一本「傾奇者v9」はマニアックで面白い。二人に感謝。

 

エルメスv12(四段)

はじまり

最初に心惹かれたライン。
UFO状の円盤の縁を奥から辿る。

時は春の終わり。日差しも強く太刀打ち出来ず。
途中から登った、それが「キュベレイ v7(初段)」

公開、再び対峙

冬がはじまる頃、とうとうエリアが一般公開された。
私も関わらせてもらったので、仲間を集め公開イベントに参加。

改めて、最初惹かれたラインを眺める。どことなく可能性を感じた。


着手

11月はまとまった時間が作れず。このラインなら日曜日の店番前でもトライできる。
少し早起きし岩に向かう。

道中、地面が濡れており何度かスリップしかけた。岩も湿気ていた。
朝露の影響なのか、雨が降ったのか。

トライ開始。

感触は全く良くないが可能性はあるように感じた。
9時過ぎ、陽も入りだし岩も乾きはじめた。が、残念ながら撤収時刻だ。


エルメス

12月20日
朝起きれず、近場のこいつへ。パッと行ける範囲に岩があるのは非常にありがたい。

エリアには先客二人。気も入っていなかったので丁度良く、心も和んだ。

ほんのり陽が入りだした頃、着手してみる。相変わらずリップはたるく、保持が効いている感じがない。moveは出来たものの、乾いていてもそれなりに悪い。

駄目そうな気がしつつ狙ってみると、キュベレイパートまで行けた。
胡散臭い保持感でも、案外バランスは保たれているようだ。

その後も何故かキュベレイパートで落ち続けたが、1時間ほどで登ることができた。

エルメスv12

岩との出逢いで、最も初めに描いたラインは大体にして素晴らしい。これも例外なく。
さらにはmove構成も複雑で、組み立てていく過程が非常に面白かった。
動画もヒントもない中探れるのは、初登の特権だと思う。

その後

目的は昼過ぎに達成されたが、まだまだ登っていない岩もあったのでのんびり過ごす。
時に友人らと談話したり、時に今在る課題で遊んだり。

合間に初登した「宙(ソラ) v7(初段)」もなかなか良いと思う。

夕暮れ時、道端の毛並みの良い猫ちゃんに睨まれながら快適なアプローチを帰る。
今日も良い1日だった。
エリア公開まで尽力された開拓者達、今日一日一緒に過ごしてくれたメンバーに感謝。

Direttissima v11/三段+

12月9日
大分出張に行く前の話。仕事は昼過ぎからだったのでちょっと大周りをし岩へ。

準備なくトライでき深追いしなさそうなものを選ぶ。(整備した二人に感謝)

1年前にmoveは作っていたので、まずはその確認。リミットは11時までだと考えていたので、10時50分あたりに狙いに入る。

核心はしっかり越えることができたがラストのランジ、ブラインドになっているガバを綺麗に外し無抵抗で落ちる。

おい!!!とツッコミ入れたくなったが、こと深刻で身体に大ダメージ受けた上にもう時間がない。

全力で10分間休み、11時に再びトライ。
指がすっぽ抜けてまたラスト一手で落ちる。敗退、終わったと思った。


時間を計算し直す。11時20分の出れば間に合うことがわかった。

11時10分、流石によれており核心突破できず。


もはやダメ元11時15分にラスト、これでダメなら終わりと決めたトライ。

核心は身体グラグラだったが何とか堪えて、ラストのランジもポジション決まりきる前にとぶ。
何とか持った。登り切ることに成功。

普段なら余韻に浸るところだが、何せ時間がない。撤収!!!
イベント準備前の心の調整になった。


ゴツいハングの中央、付け根のスタートホールド。
そこから思い切り左に腕を伸ばすと、顕著な弱点であるフレークに指が掛かる。その後フレークは右に湾曲するように続く。

フレークが途切れた先、細かいホールドひとつ挟みはさみ、良い距離間でガバが。

そう、これが先に栗崎によって初登された「聖玻璃」だ。

今回登ったラインは、左のフレークを無視しあえて真っ直ぐ登るという強点。
はっきりいってバリエーションだ。良いラインかはわからない。

取り付きはじめは「そのうち登ろう」程度に考えていたが、やはり本気でやってみると案外楽しい。

どんなラインでもやってみれば楽しいのか?
クライミングという行為自体が楽しいのか?
そもそも案外このラインが楽しいのか?

それはわからない。
トポに載るかも未定。

「direttissima v11(三/四段)」

 

サニーサイド新課題と新たな1年

先週は大分のジム「サニーサイド」にでセット!!!


C壁ライン7本
コンペ壁ライン6本

マンスリーも30本(私は5本くらいでしょうか)
さらにはイベント決勝課題4本

かなり遊べると思います?

そして…ちらっと触れましたが…
イベントとは!?

そう、サニーサイド3周年イベントでした。

久々のセッション式のコンペ、しかも36本のストロングスタイルは懐かしく…
(昔コンペはほぼこのフォーマット)必死に登ったのを思い出しました。

この形式、今だからこそ良いような気がします。

マンスリーとコンペウォールは年末のリセットまでだと思いますので、あと2週間弱だと思いますが、ぜひとも挑戦してほしいと思います。
そんでもって感想など教えてもらえたら幸いです。

イベントではC壁のラインセットは使っていないので、イベント参加者も是非やってみてほしいです。かなりリアルに渋めなものをいくつかご用意!

イベント参加出来なかった方へも、しっかり登ってもらえる課題をリアル二段まで準備しています。短い期間ですが打ち込んでもらえたらと。。。岩に行けない日々が続いても安心してもらえるよう尽力したつもりです!

ではみなさま楽しんでー
最後に。
3周年おめでとう!!!!

 

澄哲星


美しきよだかの森の源となる清流。
そのせせらぎ深く感じれる石壁(中央)をAyaさんが初登、「星を捕る人」。
存在感抜群でエリアを代表する課題。2020年10月のこと。

特徴的で超弱点の凹角の脇、超強点となるカンテ。ずっと気になっていたが、あまりに威圧的で取り付けないまま良い季節が終わった。

次のシーズンまでに掃除だけはしておこうと決めてもなかなか出向けず。


2021年6月

気は重い、それでも一分の可能性を期待し向かう。

道中、地元の師から連絡があった。詳細は略すが、深く心に刺さる内容で酷く動揺した。
行くのをやめようかと思い何度も車を停めたが、結局行った。

私はこれまで自分勝手に岩を登ってきた。時に、無意味なことに本気になれるからこそ自身にとって大切なことだと言い聞かせた。
今日も自分勝手にデカ目な岩をやる(ボルダーとしては)。社会的に何の意味も為さないどころか怪我のリスクもある。今、私は何をやっているんだ。

岩はいつもよりデカく見えた。上にまわり込み掃除の準備。ロープに身を預ける際、何度も確認した。相当弱っていることを自覚した。

掃除を進める。私の精神に追い討ちをかけるかのよう、リップ手前の棚は悪かった。成ってはいそうだが、今の私の心を折るには十分な強度だった。

掃除を終え、下部を少しだけやり、岩から去った。

この後プラトーに陥り岩を休む。誰にも話せないまましばらく過ごした。


2021年9月

良い季節の前に一度対峙しておきたかったので、再訪。夏の豪雨で荒れていたので再整備。前より冷静に判断でき、ボルダーとして登りきれることがわかった。

核心はあくまで中間部。今はできる気がしなかったが、コンディション次第だと感じた。


今年、秋は来なかった。10月に入っても暑い日が続き、葉は紅く染まらず。11月半ば、いきなり寒くなる。葉が一気に落ちる、きっとあの岩にも陽が入る頃だ。

11月29日

初級者を連れ山を歩く。道は湿気ているが岩はどうか。目標を見上げた。どうも黒く見える。

取り付くまではかなり緊張した。果たして達しているのか…。
核心入り口のフラットな12mmアンダー、フリクション勝負だと思っていたが、今回はちゃんと効くのを感じた。少し安心。

最初のトライは、狙いにくいポケットをかすめて落ちたが問題ない。すぐ捕らえれることを感じた。
その後すぐにしっかりと捕らえた。あとは上部にてメンタル勝負、そう思っていたがそんなに上手くいかず。どうも中間部が上手くハマらない。予想外のポイントで苦戦し、集中を余儀なくされた。

あるトライ、無心で動き続けリップを保持していた。登れる準備をしていなかったので驚き振り返り同行者と目があう。登れたのだ。

澄哲星 v13

 

清流に寄り添う石、その凹角は誰が見ても最弱点最中央。
「星を捕る人」は完璧なラインである。

その脇のカンテライン。仄かな存在に似合わず、どこまでも真っ直ぐで合理的。ふと見上げればきっと魅力に気付かされるだろう。


昼ご飯を済ませ移動。
連れは岩を掃除し一本初登を決めた。

コニタン v2
初めての掃除で苦戦していたがそれも楽しそうで良かった。

私もやさしい課題を登ったりprojectをトライしたりと有意義な時間を過ごした。
17時には暗くなりはじめたので下山。

車に着いた頃には一面真っ暗、冬の訪れを感じた。
撤収。